歌舞伎町を歩きながら


好きなバンドの、歌舞伎町を嘲笑する曲を聴きながら深夜の歌舞伎町を歩いて感傷に浸るような、趣味の悪い遊びはもう辞めにしたい。

昼間のライブハウスへ行くために恐々としながら歌舞伎町を歩いていたような自分はもうどこかへ消えてしまったし、キャッチに声掛けられたら怖くて急足で逃げていたような私もどこかへ消えました。突然現れる稼がせますよのお兄さんを暇潰し相手にしながら目当ての雑居ビルに向かう自分が嫌いです。

達観した大人になりたいような。多くの感情を知るたび心がしんでいくような。

アイドルも水商売もどこの世界も結局、ほんとうに売れてる人は心が綺麗な人だって、どっかのスタイリストが言ってました。本当にそんな気がします。

夢は夢のままでいたほうがいいっていうのもマジで、愛嬌の良いあの子もこの子も裏では陰口言って挨拶もできないとか知りたくなかったです。人気のある子は礼儀正しくて裏方のこちらにも笑顔で話しかけてくれる良い子が多いです。大手でもブラック企業だってことも知りたくなかったです。

お客さんからもらう原価の数十倍の値段のお酒はお金の味しかしません。お客さんとしてあげる原価の数十倍のお酒もお金が勿体無く感じます。「もらっていいですか?」「どうぞ!」が当たり前の世界が怖いです。てめえにあげたい酒はねえが断れる雰囲気はないです。

深夜の歌舞伎町はいろんな人がいておもしろかったです。正直お客さん捕まらなくていいからずっと見ていたかったです。顔が整いすぎた男と女がいっぱい居ます。4人くらいのホストに見送られて担当とアフターに行く女とかいて興味深いです。こちらが恥ずかしくなるくらいいちゃつきながら歩く男女もいれば、道のど真ん中で痴話喧嘩をはじめる男女もいます。あと焼き鳥のトラックがずっと良い匂いです。キックスクーターで颯爽と去っていく人とかもいます。正直同業者ばっかです。深夜のシーシャ屋はそういう店の人たちか、そういう店の客しかいません。

チェキやお酒を入れてもらえるとありがたいけど、ありがたい以上の感情が私には湧きませんでした。私を推してくれていた、すごく好きだったお客さんは奥さんに内緒でお店に通っていました。すごく良い人ですごく良いお客さんだったけど、奥さんとの惚気もよく聞かせてくれたけど、奥さんが嫌がるの知ってて内緒で通ってる人でした。ちゃんとサヨナラも言えなかったけど元気にしてるかな。

過去一好きだった男と出会わなければ私はこういうお店に行くことも働くこともなかったと思うと不思議な感じがします。出会えてよかったような、出会いたくなかったような。もう全然好きじゃないのに、いまだにSNSを覗きにいったりしてしまいます。本当に自分の執着心が恐ろしいです。

で、私はこの男の次に出会った男のことがもう長いことタラタラずっと好きです。顔とか仕草が好きだし、振り回してきて沼に落としてきて奇想天外をくれるから好きです。正直キリがないです。未来がないのは最初から分かっているので、もう終わりにしたい自分がいるのに、相変わらず、好きじゃなくなるのがいちばんこわい病が再発しています。どきどき夢中になれるものを手放したくないです。このまま続けたらまたいつか深く傷つく日がくること分かってるのに。もう辞めたい。もう辞めたい。

彼がそういう店で働き始めたので本当にもう終わりは近いと思います。ホストには絶対近寄らないと誓っていたのに、もはやホストと対して変わらんです。営業だって言い訳も使えるようになりました。楽しければべつに嘘でもいいのに、結局これは色恋でしかなくて、私は客でしかないんか?

楽しくヘラヘラお酒を飲めればそれで良いのですが、みんなどこまでが本音でどこからがリップサービスなんですか?その相談も他愛のない話も全部嘘なんですか?

メンヘラなので、好きな男に精神的に苦しめられるのは正直嫌いじゃないですが、度を越えすぎました、もうギブです。それでも私がいなくなっても向こうはへっちゃらなんだと思うとそれもしんどいです。

生涯誰かに一途になることはあり得ない人だと分かっているので、いちばんになりたいとか最優先されたいとかよりも、他の女とは違うおもしれー女になりたかったです。記憶に残る本命にのし上がってもみたかったです。知識量とメンタルの強さで他の女にマウント取ってみたかったです。

プラスを求めていたわけではないんです、特別な日にもマイナスを味わわされたのがつらかったんです。ただヘラヘラしていたかっただけなのに。

アイドルの嘘に夢を見るのはあんなに幸せだったのに、歌舞伎町のひとたちはみんなお金のために常に嘘をついてるような感じがして精神がどんどん参ってきます。ある意味面白くて幸せなんだけど、私が楽しめる場所ではなかったです。みんなどうして歌舞伎町で働いてるの?お金のため?承認欲求を満たすため?

私が居心地の良い場所はここじゃない、そろそろ巣に帰りたいです帰らせてくださいお願いします。


良い経験だったなあ!ってヘラヘラ笑って思い返せる未来、ちゃんとくるのかな〜〜〜幸せになりたいよ

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