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ブラジルで誕生した未来の怪物スタジアム

footballとはまさに、エンターテインメントの極致であり、文化であり、
人生でもある。我々はスタジアムに足を運び、
スタジアムで熱狂しfootballを体験する。

そんな日常を醸成してしまうようなスタジアムがブラジルでも
オープンした。

スタジアムの名は「Arena MRV」
白と黒でデザインされたスタジアム界の異端児である。

Campeonato Brasileiro Série A(ブラジル1部)の名門アトレチコ・ミネイロが所有するスタジアムでブラジルの
ミナスジェイラス州ベロオリゾンテ北西部に位置している。(どこや)

今回はこのスタジアムを取り上げていきたい。

アトレチコ・ミネイロ概要

Campeonato Brasileiro Série A(ブラジル1部)に所属する
アトレチコ・ミネイロは1908年設立の古豪である。
近年はリーグタイトルから遠のいているが、
フッキやパボンなどが在籍しており、注目を集めているチームである。

本拠地はベロオリゾンテにあり、黒と白がメインカラーでありながら、
チームの愛称はgalo(雄鶏)だが、私はwikipediaの情報しかないため
なぜその愛称になったか不明である。
ベロオリゾンテではクルゼイロというチームもあり、
アトレチコ・ミネイロ最大の好敵手である。

ファンタジスタ・ロナウジーニョも在籍していたアトレチコ・ミネイロ

Arena MRVの計画

アトレチコ・ミネイロのホームスタジアムはもともと
エスタディオ・インディペンデンシアという1950年のW杯に向けて作られた
ベロオリゾンテにあるスタジアムだ。

名前は特徴的であるが、ブラジル2部のアメリカFCと共同で使用していた。
そして、老朽化も見られたため
アトレチコ・ミネイロの新スタジアムとしてArena MRVが
2017年9月に計画されたのだ。
収容人数は46,000人と見られ、
中南米でも最大級のスタジアムになると予想されている。
現地の中低所得者向けの不動産開発業者であるMRVが土地を所有しており、
また、物件としての管理も行う予定である。

建設費用は?



Arena MRVの建設費用はアトレチコ・ミネイロが所有していた
ショッピングモール「ダイヤモンド・モール」の50.1%を
2億5千万レアル(約50億円)で売却し捻出している。(ほんとに約)

建設にあたる初期費用は4億1千万レアル(約100億円)であり、
現地の銀行借り入れなどでももちろん資金調達を行っている。

スキームとして、ネーミングライツがあるが、
10年で6千万レアル(約12億円)を販売している。

2023年に開場を予定しており、4月には開場式を行いクラブ理事やベロオリゾンテ市長などを含む約9000人が出席した。
その際、Arena MRVのCEOブルーノ・ムッツィは
「7月か8月にはマッチゲームを開催したい」とコメントを残している。

Arena MRV CEOブルーノ・ムッツィ

Arena MRVの施設

Arena MRVの敷地面積は、
約115,000㎡(まじたぶん、ブラジルは数字の表記がまるで違います)
そのうち、35%はアリーナ部分
30%は遊歩道、23%は自然エリアとしている。
建設にあたり、3000個もの苗を植える活動もしており、
環境に配慮した取り組みも行っている。

施設内には40か所のバー、2400台分の駐車スペースが内蔵され、
障害者利用可能なトイレやバスルームを併設、
460か所で車椅子利用者が可能なスペースを作った。
施設内にはオフィスもでき、契約可能である。
デイケアセンターやヘルスケアステーションも
遊歩道エリアなどに併設予定である。

多様性にも配慮していることが伺える。

また、リーグのスタジアム規則の変更もあったことから、
立ち見席を増設し収容人数の20%の観客を増員することが予定されている。

アトレチコ・ミネイロの新スタジアム Arena MRV

なぜ、怪物スタジアムと言うのか

アトレチコ・ミネイロの新スタジアムであるArena MRVが、
なぜ怪物と呼ぶのか。
話はここからである。

Arena MRVが南米いや、世界で今注目されているのには理由がある。
それはアクセンチュアの存在とスタジアムの定義するvisionである。

Arena MRVもしくはアトレチコ・ミネイロはスタジアム建設と
スタジアム構想において、アクセンチュアとパートナーシップを締結した。
アクセンチュアと共に、中南米で最もデジタルなソリューションを持つスタジアムを構想している。つまり、Arena MRVとアトレチコ・ミネイロの
スタジアムづくりには、アクセンチュアがサポートに入っているのである。
加えて、
共同で他スポーツやエンターテインメントイベントの会場のベストプラクティスを追求するArena Techを実現することも公表されている。

アトレチコ・ミネイロのHPには
"Atletico entrara em uma nova era esportiva e financeina"
(アトレチコはスポーツとファイナンスの新時代に突入する)とあり、
公私共に、壮大な計画であることが分かる。

Institute Galo

さらに、Institute Galo(アトレチコ・ミネイロから独立した非営利団体)やパルメイラスのサンパウロ・アリアンツパルケの商業的プロデュースを行ったLive Park社などがサポートに入っている。
Live Park社はブラジルのスポーツとエンタメに繋がるプロジェクトや会場のマネジメント、アセット管理やスポンサーシップのオペレーションなどを
業務としている。

要するに、スタジアムのデジタル面におけるプロデュースや
ハードアセットの設定はアクセンチュア、
商業面でのパートナー形成などはLive Park社が担当する。

デジタル面でImplyという会社がパートナーシップを締結しており、
顔認証を利用したスタジアムアクセスを実現する予定である。

デジタルを活用した最高のファン体験の創造と、footballをエンタメとしてサービス化もしくはビジネス化を加速させる施設になると私は感じている。

まとめ

具体的なことはあまり記事にもされていないが、
アクセンチュアとデジタルソリューションを提供し
LivePark社と共にスポーツビジネスを加速させる。
ということが、抽象的にいくつかの記事に掲載されている。
私が一番伝えたいことは、
ブラジルがこの動きを見せたことだ。
footballの文化に依存せず、それらをリソースとしたビジネスに発展させようという意志が感じられる。
日本でも里山スタジアムや長崎スタジアムシティ構想などが進んでいるが、
多様なスタジアムが日本に溢れたら面白いと感じている。

footballを定義しているのは誰か。
footballを限定するのはなぜなのか。

追求する余地はまだまだある。

また、Arena MRVというスタジアム自体が事業主体となる例は少ないと感じている。実に稀有な存在である。今後の動向にも注目していきたい。
Arena MRVについて、建設過程等も公式Youtubeにて放送されている。

是非視聴してみて欲しい。


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