言葉

手を握っても、抱きしめても、どこか霧を相手にしているような。そんな気がしていた。あなたは嘘つきだ。大丈夫じゃないのに大丈夫っていうし、辛いのに笑顔でいる。全部、あたしの憶測だけど。ちゃんと聞けばいいのに、あたしはあたしでちゃんと話すことを避けてしまっている。よくないとは、わかってるんだけど。でも、あなたはやさしいから、やさしい嘘をつく。そのやさしい嘘にあたしは縋りついて、それを信じようとしてしまう。そうして段々と、少しずつ、二人はズレてしまって、取り返しがつかなくなっていく。きっと、二人に足りなかったのは、本当に思っていることを言うこと。心からの、"言葉"。

ハチロクの曲作りてぇなーと思って作り始めた気がすコード進行はシンプルに行こうと思ってた。サビはずっと繰り返しだったけど、もっくんさんにアドバイスをもらって順番を変えた。ありがとうございます。「でも」と言う歌詞でB7を使っているのは、そこでひっかかりを持たせたかったから。歌詞は、自然と出てきた。子供の頃から親に話し合いを放棄されることが多くて、もっとちゃんと話したいなと思ってた。でもそれは大人になったら割とよくあることで、みんな本音を隠しながら建前をうまく使って生きてる。それは嘘だったり、優しさだったりする。この歌は優しすぎる二人の話。お互いに相手が優しいことを知っていて、それでもなお本音では話せずにいる。手を握って見つめるだけじゃ想いは伝わらないのに。嘘をついてもバレてるのに。
「あなたがいなくなったらあたしはどうなるかな」は左耳からの引用。「少しカサつくあなたの手」はコロナ禍でアルコール消毒を何回もさせられる中で浮かんだ。必死に働いていると段々と手に現れてくる。繋いだら丸わかりなのに、握り合うだけで想いが通じ合ってしまう。
二番のサビはしつこいくらい同じことを言ってるけど、それくらい粘り強く人とは向き合わないといけない。ここだけは歌詞の中に出てくる女の思いではなく、俺自身の意思だ。
「愛してるなんて言うから」
本当に愛してくれてるかどうかはわからないけど、信じることしかできない。信じてしまう。それがこれからの二人にとってどれだけ不幸なことか。信じあうことは大事なことだけど、盲信はしてはいけない。今共に生きる家族、友人、恋人と心から話し合えているだろうか?言葉は足りているだろうか?この歌を聴いて今一度話し合いに発展してくれたら嬉しい。

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