Masayuki Naitoh

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[言葉の繊維] 11.稲留公民館 (糸島の言葉)

映画の撮影現場には、人を結びつける力があるように思う。 もともと知り合いかと思うくらい盛り上がって話をされている人たちが、 さっき会ったばかりだったりする。 エキストラに参加されている方は、 ほとんどは糸島市、もしくは、福岡県の方で 関東から来ていた方もいた。 「糸島の映画をつくると聞いたので」 「友人の手伝いをしたくて、仕事を調整して来たんです」 「糸島で勤めていて、趣味で劇団をしています」 「移住してきました。糸島が変わってきたのは最近なんですよ」 「糸島

    • [ 言葉の繊維 ] 10. 稲富公民館(糸島の星空)

      旅は空気を感じさせてくれる。 福岡で飛行機から降りたとき。 岐志漁港で潮風を感じたとき。 風情ある建物が残る前原商店街を歩いたとき。 気温。風。匂い。音。透明感。 その土地の空気の肌触りというか感触は、 体全体で感じるときもあるし、頬で感じるときもある。 撮影のそれもまた独特のものであった。 映画「糸」の主人公である「絢」を演じる 田中美里さんがおなじ空間にいる。 糸島で生まれ育った絢は、上京して傷つき戻ってきている。 そんな絢が、人々が集まる会で前

      • [ 言葉の繊維 ] 8. 稲富公民館 (紡ぐ人)

        「演技なんて初めてだし、と難しく思われている方もいると思いますが、  大丈夫です」 撮影現場に集まったエキストラの方々、 一人ひとりと目を合わせるようにして、監督はそう言った。 映画「糸」の撮影がはじまろうとしていた。 20〜30畳ほどの広さの公民館は、 役者さんやカメラや音響などのスタッフで熱を帯びている。 趣のある「書道」や「水墨画」に見守られた畳の空間から、 この地に住む方々が集い、支え合ってきた息遣いを感じる。 置かれている「ホワイトボード」は決して新しいも

        • [ 言葉の繊維 ]7.牡蠣小屋

          冬の漁港には、牡蠣小屋が並んでいた。 数えると、10はある。 店舗という雰囲気ではない。 100人規模の大きなビニールハウスである。 牡蠣小屋を開いている漁師さんの漁船の名前なのか 「◯◯丸」などの看板が目立つ。 中では、牡蠣が運ばれている。炭が運ばれている。 牡蠣小屋中が、炭の煙でモクモク。 煙から身を守るために用意された ジャンパーを着たお客さんたち。 低めの椅子に腰掛けて、 牡蠣をガシガシと炭火の網にのせている。 まるで、全員同じツアー客のような一体感

        [言葉の繊維] 11.稲留公民館 (糸島の言葉)

          [ 言葉の繊維 ]6.ひめしま渡船直売所

          オール糸島ロケで製作された 田中美里さん主演の映画「糸」。 糸島半島の岐志漁港にある「ひめしま渡船所」は、 主人公が働く野菜の直売所である。 エキストラとしてここで自分が出演する予定はないが、 少しでも撮影現場を見たい。 そう思った僕は、 まず岐志漁港に向かった。 福岡空港から電車で一本。 約40分で糸島市の筑前前原駅に着き、 カーシェアで海を目指す。 しばらく走り、牡蠣小屋の看板が目立ってきたなと思うと 港に着いた。 駐車場には100台を超える車が止まってい

          [ 言葉の繊維 ]6.ひめしま渡船直売所

          [ 言葉の繊維 ] 5. 道

          あまり考えもせず、 航空会社を決めたことで、 焦ったことがある。 映画「糸」のエキストラ出演のため、 初めて糸島へ向かった日。 僕は、成田空港から福岡までの LCCを予約していた。 そのLCCは空港第3ターミナルにあり、 最寄りの空港第2ビル駅からも距離がある。 その距離600m以上。 徒歩約15分、連絡バスで約5分。 バスもでているほど遠いのだ。 その日駅に着いたのは、 搭乗手続きのリミット15分前。 成田を利用したことがある方はわかると思うが、第3ターミ

          [ 言葉の繊維 ] 5. 道

          [ 言葉の繊維 ] 4. 疑問

          エキストラ募集のメールには、1〜5まで番号が振ってあり、 それぞれの撮影日時(すべて11月)・場所・条件が記してある。 --------------------------------------------------------------- 1.筑前前原駅 (11月1日) 2.糸島市岐志 姫島行渡船場(3日11時〜16時) 3.糸島市稲富公民館集合(3日15時〜21時(遅くなる可能性あり。  交通手段の関係上、お車で来られる方限定)) 4.市役所玄関集合(4日

          [ 言葉の繊維 ] 4. 疑問

          [ 言葉の繊維 ] 3.フリーランス

          話は、数ヶ月前にさかのぼります。 僕は、フリーランスのコピーライターとして、 映画のコピーを頼まれているわけではない。 映画「糸」の製作を知ったのは、クラウドファンディグ「CAMPFIRE」からです。 力を合わせて一つのことを成し遂げようとしている人たちがいる。 糸島って美しい。遠そうだけど、東京から飛行機で3時間ほど。 ごはんも美味しいだろうな。あっ、お腹減ってきた。 もともと、映画の製作にも興味あり。 この人たちと会いたい。 リターンのなかには、エキスト

          [ 言葉の繊維 ] 3.フリーランス

          [ 言葉の繊維 ] 2. ゲストハウス「前原宿ことのは」

          一人旅では、その土地のものを食べ歩きしたいので宿に夕飯はいらない。宿を予約しないときもある(予定がないのが楽)。 でも、今回の目的はいつもと違う。 世界一周をして糸島にゲストハウスを開いたという夫婦に会いに泊まりにいくのだ。 「旅の途中で多くの方にお世話になったので、今度は私たちが、糸島に来られた方におもてなしをしたいと思っています。観光紹介をしたり、移住の相談に乗ったりもしています」 宿のダイニングキッチンでご夫婦から頂いた糸島産のみかんを食べながら話を聞いた。

          [ 言葉の繊維 ] 2. ゲストハウス「前原宿ことのは」

          [ 言葉の繊維 ] 1. メゾンデリス三番町

          -----------------------------------------------------------------------------2018年3月24日(土)、糸島映画祭「いとシネマ」にて、福岡県の糸島を舞台とした映画「糸」の上映会が行われました。映画「糸」は、3月31日(土)から、福岡は中洲大洋映画劇場で上映がはじまります。[言葉の繊維]では、映画「糸」のエキストラ出演や糸島の体験をマイペースに綴っていきます。映画が好きな人、糸島が好きな人、旅が好きな

          [ 言葉の繊維 ] 1. メゾンデリス三番町