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生まれて4マス目でヤマメに食われ死亡する無理ゲー社会

今日はとある取材で宮城県南三陸町戸倉地区に行ってきたが、取材のあいまに南三陸町・海のビジターセンターに行ってきた。

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このビジターセンターは環境省が設置した三陸復興国立公園の情報発信施設で、NPO法人 海の自然史研究所が管理運営をおこなっている。

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館内には南三陸町やその周辺の自然や、各種アクティビティ情報が満載。調理室もあったりして思わず「近くにこんなのあったらいいな…」と思える施設だ。

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サケの一生がシュミレートできる「サケ生すごろく」など、体験しながら海が学べる趣向が凝らされてるのが素晴らしい。このすごろく、イメージとしては「サケの一生を題材にした人生ゲーム」で、川で産卵した稚魚が「流れに耐えられない」みたいなマスに止まっちゃうと最初に持っている3000ポイントがマイナス500されたりと、サケが自然界でぶつかる脅威を上手に遊べる教材に仕立てている。

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稚魚パートをサバイブすると、「スモルト化して大人の仲間入り!」というマスにて成魚パートへ移行できる。まさにサケ好きにはたまらないマスだ。(鮭なのに鱒…?)

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最初に3000ポイント保有と書いたが、正確にはスタート地点にサイコロ振って、マス目に応じたポイントが初期値として与えられることになる。ここで500ポイントしか持てず、4のサイコロ振ったら「ヤマメに食べられる」で即死だ。自然界の掟は厳しい。

お気づきになられた方もいるのでは、と思うが、このマス上のポイントダメージは実際に川で生まれたサケが途中で死んでしまう率を再現しているそうなのだ。つまり、サケの放流数と来遊数に基づくデータが反映されたすごろくということになる。

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2018年の放流数は14億7000万匹!!!(日本全体)

ヤバい数の放流数。しかし来遊数(日本に帰ってくるサケの数)は1973万。非常に大雑把にいうと、放流されたサケの1/100しか戻ってこないということだ。なのでサケ生すごろくは、100回トライして1回くらいしかゴールできない結構な無理ゲーすごろくということになる。子供用教材だからといって手加減なしのゲームバランスにしてるのが素晴らしい。サケに生まれなくてよかった!

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こういった仕掛けや展示に取り組まれているNPO法人 海の自然史研究所に俄然興味が湧いたのであった。

「環境理解って、こういう工夫と努力の積み重ねだよなあ」と勉強になったビジターセンター訪問だったのでした。

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しおかぜトレイル関係の情報も当然充実。ひとつひとつ丁寧な展示チョイスで、血が通った運営と感じられる場所なのでした。

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