一時保護司法審査
虐待されているおそれのある子どもを児童相談所(児相)が親などから話して一時保護するときに必要となる、裁判所の審査のことです。
いまは導入されていませんが、2022年6月8日、国会で成立した改正児童福祉法によって、3年以内に開始されることになりました。
児童相談所(児相)は、都道府県または政令指定都市やそれに準じた市に設置されています。児童福祉法で、子どもの状況に応じて必要なときには、親などから子どもを引き離して施設に一時保護できる権限が児相に与えられています(33条)。ただし、この期間は2ヶ月以内とされています。
虐待を受けている子どもも、一時保護できる対象です。児童虐待防止法には「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者」の、児相などへの通告を努力義務としています(第6条)。
「思われる」を通告の対象としていることで、通告が増え、本来必要のない一時保護が行われているとも言われています。
そのため、一時保護が必要かどうかを裁判所が審査し、不当・不要な一時保護を減らそう、というわけです。
その一方、悲惨な児童虐待事件は後をたちません。児相の対応の遅れが、こうした事件につながっているという指摘も多いです(報道的には、こちらのほうが多いかも知れません)。
しかし、一時保護は、不当であると考える親とのトラブルに発展する可能性も高いといいます。それを恐れる児相は、どうしても対応が遅くなってしまう、とも言われたりしています。
そうした児相に対して、一時保護をしてよいという裁判所からの「お墨付き」が与えられる、という意味で、効果がある、という声もあります。
ただ、いずれにせよ一時保護が解除されると子どもは親元に帰さないとなりません。悲惨な児童虐待事件は、その後発生したりしていることを考えると、こうした制度的なものだけでなく、児相の職員体制や、専門職養成・配置など、ソフト的な改革も合わせて行われなければならない気がします。
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