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2024年1月24日(水)「醗酵食品・ヂョッカル(朝鮮半島の塩辛)」

今日の東京は晴れ時々曇り。
朝方の最低気温は2℃、日中の最高気温は7℃迄しか上がらず。
まぁ、強い寒気団が日本上空に来てて冷え込んだワケですが、思ったホドには気温低下しませんでしたね。この程度の寒さならば大寒と雖も「この冬一番の冷え込み!」等と大騒ぎするホドの寒さじゃあないですね。さて、

昨日は食い物系とはチト毛色の異なる「Web3について考える」をお届けしましたが、本日は元に戻して(?)「醗酵食品・ヂョッカル(朝鮮半島の塩辛)」について書いて行きたいと思います。

ヂョッカル。
朝鮮半島で魚貝類を塩に漬け込んで作る塩辛のコトです。日本語表記的には「チョッカル」とか「ジョッカル」とか記されたりしますが、自分としては音的に「チ」よりも「ヂ」に近いように聞こえる為、敢えて「ヂョッカル」と表記することにします。

塩辛と言うと、日本だとスルメイカホヤナマコの腸のこのわたカツオ酒盗程度が思い付くワケですが(他にも幾つかはありますが)、朝鮮半島、とりわけ韓国に於ける塩辛ってのは、日本とは比べモノにならない位種類が豊富なんですよ。コレはあまり知られていない事実であろうかと思われます(実は、韓国の干物についても種類は日本以上なのだろうと思っています)。

自分は、2019年6月から2022年10月の約3.5年、韓国はソウルに駐在しておりました。着任後約半年はコロナとは無縁であり、当時は安価なLCCも沢山飛んでいたコトもあって、しょっちゅうお友達がソウルに遊びに来たり、自分自身も日本に戻ったりして、ソレはソレは忙しい日々を過ごしておりました(笑)。が、2020年に入ってからコロナが本格化してしまったコトで、日韓間の往来はパタリと途絶え、韓国に引き籠らざるを得ない状況になりました。
でも、だからと言って大人しくしておれる性格でもないので、週末毎にレンタカーを借りて韓国ほぼ全ての主要漁港と主要市場を巡り、時には釣りなんかもしたりして過ごしてました。恐らく、クルマで韓国を3~4周くらいはしている量をコナした(?)と思います。
ソコで気付いたのが韓国に於ける塩辛文化の凄さ・深さでした(北朝鮮の塩辛文化についてはサッパリ分かりませんが)。韓国の西海岸は、実は殆ど全てが干潟のような状態になっていて、まぁ日本で言えば有明海が西海岸全般に広がっている、と言うカンジなんです(ムツゴロウワラスボなんかもいるんですよ)。
従い、塩田で良質の塩が精製されているし、貝類や甲殻類を中心とした魚貝類も豊富。となれば、保存食・醗酵食である塩辛が作られるのは当然の成り行き(必然?)、と言うことになります。
なので、西海岸の主要な市場に行けば、活魚・鮮魚・貝類・甲殻類も沢山売られているのですが、塩辛売場の広さ・お店の軒数もハンパない(塩辛屋が入っていない市場は殆ど無い、と思います)。中には、ヂョッカル専門市場なんてのもあったりするホドなのであります(コレは日本には無い市場ですよね)。

そんな韓国の塩辛ですが、日本で一番有名なのはスケトウダラの腸の塩辛である「チャンジャ」(韓国ではチョンナンヂョッ)じゃあないですかね。居酒屋でも偶にお目に掛かる位ですからね。ソレと、もうコレは日本の方がメジャーになっている「明太子」(韓国語ではミョンナン(明卵))。コレは元々韓国発祥のモノであるコトは以前にも書きましたね。ソレに、日本人にはファンの多いワタリガニの醤油漬けである「ケジャン」(醤油漬けのカンジャンケジャンと唐辛子漬けのヤンニョムケジャンがあります)。

ただ、韓国の塩辛はドチラかと言うと上述3種のようなオカズとしてよりも調味料として使用されるコトが多く、キムチを漬け込む際には主としてアキアミの塩辛である「セウヂョッ」が使われるコトが多いのですが、ソレ以外でも牡蠣やイワシ等他の魚貝類の塩辛で漬け込むコトも多いのです。そりゃあ、魚貝類の旨味成分であるグルタミン酸をたっぷり加えたらキムチが不味くなるハズが無い。矢張り、日本の浅漬け的キムチよりも、コレらの塩辛をたっぷりと入れた韓国のキムチの方が味わい深く、美味いと感じるのはこの為なのだろうと思います(従い?韓国人の中には「日本のキムチは味が薄くて食えたモンじゃない!」と評する方が多いようです(笑))。

では、韓国の塩辛に使われる魚介類にはどんなモノがあるのか?
自分が韓国各地の市場で見掛けたモノを列挙してみると…、
カタクチイワシタチウオマナガツオイシモチカンダリツマリエツキビナゴイカナゴ牡蠣アサリツメタガイイタヤガイ、ワタリガニ・アキアミ、スルメイカ・ジンドウイカテナガダコ、明太子にマダラの腸などなど。日本じゃあ塩辛にしないような魚貝類もじゃんじゃん、やっちまってますね。
しかも、原材料の影カタチも残らぬホドにドロドロになった塩辛もあって、そうなって来ると塩辛なんだか魚醤なんだか、その境界線すらも曖昧になってしまっているホド(笑)。まぁ、副食としてではなく、飽く迄も調味料として使うのであれば、ソレでも問題ないのだと思われます。

もう一つ塩辛関連で驚いたコトが。
アミエビの塩辛である「セウヂョッ」ですが、季節によって名前が異なるんですよね。旧暦5月のモノを「オ(5)ヂョッ」、6月のモノを「ユク(6)ヂョッ」(コレら2つはキムチ漬けに最適)、秋のモノを「チョ(秋)ヂョッ」、冬のモノを「トン(冬)ペッカヂョッ」(コレらは副菜用)と、呼び方・用途が細分化されているのです。韓国の方々は、日本人のようなコダワリが然程多くなく、結構大雑把・豪快系が多いと感じていましたが、アミエビの塩辛をココ迄拘っていると言うのは、矢張りコレに対する思い入れ・コダワリの強い存在なのでしょうねぇ。

とまぁ、韓国のヂョッカルについて色々と書いてみましたが、日本ではチャンジャやカンジャンケジャン、セウヂョッ等以外はあまり簡単に入手出来ぬと思うので、お店で常備するコトは出来ないと思いますが、自作するかルート模索するかして、ソレなりのものをお出し出来ると良いですね。

明日は、「未利用魚・小田原市公設水産地方卸売市場」をお届けする予定です。


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