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「私を構成する5つのマンガ」

「私を構成する5つのマンガ」というお題の記事を募集しているようなので、たまにはハリウッド映画や海外ドラマの話から離れて、映画やドラマの原作になることも多いマンガについて、少し書いてみようかなと思います。現在の「私を構成する」ということで、昔読んだパーソナルな作品から、仕事に直接関係した作品まで、書きました。

僕が選んだ5作品はこちら。
1.『シュート! 蒼きめぐり逢い』(大島司)
2.『バナナフィッシュ』
(吉田秋生)
3.『小さな恋のものがたり』
(みつはしちかこ)
4.『トーキョートライブ』
(井上三太)
5.『この世界の片隅に』
(こうの史代)

1.『シュート! 蒼きめぐり逢い』
僕はサッカーが下手で、中学・高校の体育の授業中には、それだけの理由で随分と肩身の狭い思いをしました。陸上部だった僕は、足だけはそれなりに速かったので、チームがピンチの時などには変な期待をかけられることも多く、その期待を裏切ってチームが落胆するのを見るたびに、サッカーというスポーツの存在を恨んだりもしました。そんな当時の僕が手にとり、がっつりハマったのが、この作品。

前作『シュート! 』で描かれていた田仲俊彦や平松、白石が中学校で初めて出会ってサッカー部に入り、後に俊彦の「幻の左」が生まれる瞬間までを描いたシリーズ。試合中のシーンももちろん良いのですが、何よりもキャラクター同士のドラマが最高でした。白石がチームに加入する流れや、別々の中学校に行くことになってしまった俊彦の小学校からの親友や、コーチの弟などという手強いライバルが出てきても、怯むことなく乗り越えていく彼らの姿は感動的でしたし、何よりどんなに辛くてもどこか安心させてくれる俊彦のような友達がいたらどんなに素敵かと、思ったものでした。

時系列的にはそれより後になる、高校生になった俊彦達を描いた『シュート!』(一部ですが)や、スペインに行った俊彦を追った『熱き挑戦』も読んだのですが、『蒼きめぐり逢い』が一番好きでした。たぶん、それより後の方になると、よりサッカー度が大きくなるからなんだと思っています(笑)

というわけで、この作品は、自分の中での「友達観」の形成にすごく影響を与えているのではと思います。

2.『バナナフィッシュ』
アメリカを舞台に、生真面目で優しい日本人大学生・英二と、ダウンタウンLAを拠点にする若きギャングのボス・アッシュ、そしてその背後にある危険薬物「バナナ・フィッシュ」とマフィア達の闘いを描いた漫画。

このハードボイルドなストーリーの中にあって、アッシュの繊細な一面や、英二の意外に大胆な一面、それにそれぞれのギャングのメンバーの覚悟など、魅力的なキャラクターの要素があふれていて、感情移入しまくりでした。プロットも大事ですが、やはり共感できるキャラクターって大事ですね。

ずっとこれハリウッドで実写映画化してほしいと思っていて、LAのインターン先で、上司にとりあえず読むように勝手に勧めたりしていました(笑)いつか実現してほしいと今でも思っています。

3.『小さな恋のものがたり』
みつはしちかこさんによる超ロングセラー。2014年に完結しました。この漫画は僕の母がずっと好きで、なぜか僕の部屋にあった本棚に何冊も置いてあったので、夜寝るときなどにふと手にとって読んでみました。

小さな高校生のちっちと長身イケメンのサリー、そして彼らの個性的な友達とのささやかな毎日が描かれているのですが、季節感にあふれた彼らの日々が本当に愛おしく思えます。毎日をもっと全身で感じながら一生懸命生きようと思わせてくれるシリーズです。

4.『トーキョートライブ』
実はこの作品は、詳しい中身まではっきりとは覚えていないのですが、中学校くらいの時に、ちょっと年上のいとこの部屋にあったのを読ませてもらいました。「ブッバ」という強烈な名前と、退廃的な雰囲気が頭にずっと残っていて、その後『ナイトクローラー』『ロシアン・ブラザー』『ノーカントリー(No Country for Old Men)』あたりの退廃的な映画を好きになったのは、この漫画の影響だと思っています。

ロサンゼルス留学していた時に、ちょうど映画版のアメリカプレミアがエジプシャンシアターという映画館で行われ、参加した時に作者の井上さんと一言話すことができた時、来るところまで来たなーと思いました。(実際はただこっちが一方的に挨拶しただけなので、「来るところまで来た」も何もないのですが。)

5.『この世界の片隅に』
上のアメリカ留学の時に映画プロデュースを勉強していたのですが、大学院を卒業してさらに一年後、日本に帰国して初めて関わった商業映画が、アニメ映画『この世界の片隅に』と、それに30分足したバージョンである『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』でした。

仕事ありきで読んだ作品ではありましたが、作品のもつ真摯で優しい世界観はすごく好きでした。ただ受動的に読み流すだけではわからなかった作品の奥深い世界に圧倒され、また、作品を作ることの責任というものを改めて感じたマンガでした。

#私を構成する5つのマンガ