タイでのエピソード・その51

—その50の続き—

「時間は、まだある」

…その事実は、私を堕落させた。家にいながらもほとんど仕事せず、日本から持って来たお金がそれなりにある事を良い事に、ゲームばかりしていた。

最初の頃はモンハンやってたっけ。PS4は持って来ていたのだ。

テレビも、最初に備え付けだった物は納得出来なかったので、自分で買い替えた。

SONYのブラビア。確か20,000バーツくらい。遅延も無く、4K対応で快適に遊べた。

幸い、仮想通貨はまだまだ上がっていた。

まさに黄金時代と言っても良い。何を買っても、上がっていた。私を含めた「ズブの素人」でも買えば勝てる。この時代の強烈さは、参入した人なら忘れられないだろう。

念の為、タイの仮想通貨取引所のアカウントも作成しておいた。思った以上にあっさりと作る事が出来た。観光ビザでも問題無し。うーん、さすがタイ。

この頃から、私のメインの仕事であるライティングの案件は、徐々に少なくなっていった。それは、日本にいる間にも実感していたのだ。

なので、この仮想通貨の取引を覚えて成功してやる、と思っていたのもある。現実はそう甘く無いが、要は素人にも「これでやっていける…！」と思わせるだけの「熱量」が、当時の市場にはあったのだ。

持っているだけで、私の資産は増え続けた。

だが、流石にこの状態がずっと続くわけではあるまい。バカの私でもそこは分かっていた。いずれはこのバブルも弾ける。

そこで、キリの良い所で全て売り払うか、トレードをしてさらに増やす事を考え始めた。

時間はある。腐るほどに…。

私はYouTubeをメインの学習ツールとして活用し、あらゆる手法を学びつつ、毎日を過ごした。

しかし…どうしても、上がり切った銘柄を手放す事が出来なかった。「損切り」が出来なかったのである。

結果、私は資産を大きく減らし、またピンチを迎えてしまう。

バカか俺は…あぐらをかき過ぎた。

まだ数ヶ月、生活できる余剰資金は残っているものの、そこまで豊かな状態では無くなった。

時既に遅し… とは言え、とりあえず下がりに下がった仮想通貨を現金として「救出」し、これからの策を練る事にした。

幸いにして、まだビザの期限はある。

最近は青ハンも押されない傾向にある様だ。すぐダメになるって事はあるまい。

そして…なぜかそんな私を助けるかの様に、ライターの仕事が沢山入ってくる様になった。

よし…これだけのペースで仕事が入れば、まずは生きて行ける。

相変わらず、この「救済スイッチ」ってやつは崖っぷちにならないと働かないが…それでも毎回、こうして絶妙なタイミングで救ってくれる。

しかし、この状況もずっと続くわけでは無い。

こうなったら、タイ国内で仕事を探すか…？いや…今更それは無いだろう。

「また、返り咲くための土台を作ってやる…」

そう思った私は、また懲りもせず、徐々に仮想通貨の資産を貯金の感覚で増やしていった。

選んだ銘柄はリップル（XRP）。底をついた20円程度の時に、ちょうどよくそこそこの枚数を購入出来た。

今後はこのXRPを増やし、今度こそエリートビザを取得して生活の基盤を作る。そう誓った。

それが出来ると、思っていたのだ。

その時は…ね。

—その52へ続く—

※YouTube「真理探求チャンネル」も是非、宜しくお願い致します🙇‍♂️。又、【stand.fm】でラジオ放送もやってます。チャンネル名は「真理探求ラジオ」です。iPhoneの方はApp Store、Android端末の方はGooglePlayからアプリをダウンロードの上、是非ともご利用下さい😊