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いつの日か相応しい人間に

先日、神戸の街を歩いて来た。

とても綺麗な街で、心なしか空気も綺麗な気がした。

歩いている人を観察すると、大阪の人とまた気質が異なる。神戸の人に怒られるかもしれないが、大阪の人よりもどこか「やんちゃ」な感じがした。あくまで、私のフィーリングである。

元々中華料理が好きな私にとって、チャイナストリートはとても魅力的だったし、他の食べ物も非常に美味しいものばかり。心から来て良かったと思った。

大阪の駅からわずか30分足らずで来れるとは…。そう考えると尚のこと、大阪に越して来て良かったと大いに感じている。田舎町でグズっていた時に比べて、気持ちも明るい。

ところでTwitterでは黙っていたのだが、神戸に来たのには理由がある。

実は、GUCCIのとあるシークレット・イベントに招待されたのだ。

以前、私はカネも無いくせに阪急のGUCCIでまぁまぁの散財をした。その縁あってか、大阪のGUCCIの方々に非常によくしてもらっているのだ。

「贅沢!」と言われるかもしれないが…いやいや。一般の男性に比べ、お金の使い所が違うだけなのだよ。

普段から、私は車にも女にもお金を使わない。他に特別な趣味も持たない。せいぜいゲームくらいだ。音楽も捨てたからね…。その分、アパレルにはかなり本気で突っ込む。

特に財布はお金の出どころ、入りどころ。ここにお金を使うのはもはや自己投資だと本気で思っている。

おしゃれな格好をする事で、さらに自分自身を愛する事が出来る。それがそのまま美容・健康の研鑽&維持へと繋がる。加えて、相応の格好をする事で集まってくる人も変わる。身に着ける物にお金を使う事は、私の中では立派な自己投資なのだ

今回、そのGUCCIのイベントは神戸三宮のとある場所で行われた。

イベントの内容はレザー商品の展示。パイソンやオーストリッチもあったが、ほとんどがクロコダイルだ。

もちろん見るだけではなく、カスタマイズからの購入も可能である。

会場までのタクシー代等も全て、GUCCI側が持ってくれた。

まるでヤ◯ザの親分の様に出迎えられ、会場入りをし、様々なレザー商品を見て歩く。うーん、苦しゅうないぞ。

商品を全て見終わった後、極上のシャンパンとデザートでリラックス。有難い。

もちろん買うつもりはなかった。引っ越しをしたばかりだし、そんなお金はどこにも無い。最初に「冷やかしで終わりますよ」と、スタッフにも念を押していた。

そもそも、私はレザーの製品自体にあまり興味が無い。ほとんど持っていないね。

だが…

へぇ…悪くないじゃないか。

なるほど…GUCCIでもこんなん出してるのか。

いや、そもそもGUCCIからこんなの出てる事自体、一般人は知らない。この会場でしか知り得ないからね。お金があっても、このコネクションが無いと買えない。本当に特別な人しか招待されない。

ちなみにこのレザーはクロコの「ヒマラヤ」と呼ばれるもの。知っている方もいるだろう。

通常のレザーは後から色を「足す」が、このヒマラヤは元々の革の色を脱色する。つまり、足し算ではなく「引き算」で表情を出すのだ。通常の足し算に比べて、この作業の方が恐ろしく時間と手間がかかる。

ご覧の通り、脱色した際の輪郭がぼやける為、「だまし絵」のような立体感も生まれる。最高級のレザーであり、例えばエルメスのバーキン・ヒマラヤのバッグなどは3,000万円を超えるものもある。

誰に勧められたわけでもない。

多くの展示物の中で唯一、このヒマラヤシリーズが私の目に留まった。

だから一応、見るだけ見せてもらう事にしたのだ。

値段は以下の通り。

バックパック : 1,100万円
ショートバッグ : 300万円
財布 : 120万円

1,100万円のバッグはエグいね…。まぁ、それでもエルメスに比べれば安いだろう。

だが、財布は…手が出そうだと思った。

流動、それすなわち真理なり。お金は使わないと入ってこない。

財布はお金の玄関口だ。相応しい者が持てば、相応しい富が流入するだろう。

「マサヤンさま…この財布のお値段ですが、どのくらいだと思いますか?」

まだ値段を知らない私に、スタッフがなぞなぞを仕掛けた。

私は少し考えたのち、「120万くらい?」と答えた。

すると、周りのスタッフから驚きの声が上がった。ドンピシャだったのである。ガチの話だよ。

よく分からんが…とりあえず、私のセンスはゼロではないらしい。物の価値を見る目はあるようだ。

逆に今度は、私がGUCCIのスタッフに問いかけをした。

「ここにあるものは全て、ワニを殺して得たものですよね。つまり、人間様の都合やエゴってやつで作られたものだと思うんです。人間てのは残酷です。そして汚い。だから、その行為を咎めるとか批判するとか、そういった事を言いたいわけではないのですが…単純にこの『事実』を、皆さんはGUCCIのいちスタッフとして、どの様に受け止めていますか?」

…場の雰囲気が明らかに変わった。

ほのぼのムードだった部屋の空気は、一気にシリアスモードになった。

…さぁ、どう答える?

私は所詮、たまたま縁を頂いただけの、いち貧乏人に過ぎない。この場にそぐわない人物なのかもしれない。

だが、決して己を安売りしない。物怖じもしない。私は、マサヤン=ケンヂなのだ。

イケイケでセールスをしてきていた女性が、まずは口を開いた。

「そうですね、確かにGUCCIにもしばしば、動物虐待に反対する人たちからクレームが入ったりするんですよ。でもヴィーガンの人たちなんかにも言える事だと思うんですが、じゃあ植物は良いの?っていう(笑)。それは違うと思うんですよね〜」…的な回答だった。

私もその呼吸に合わせ、「確かにそうだよね!」的に返した。

だが、私はその答えに納得しなかった。ちょっと普通過ぎるかな?と思ったのだ。

恐らくその私の心情を読んだのか、私が最も信頼している男性スタッフが、こう答えた。

「120万円の財布。GUCCIのスタッフとして勤める私としても、決して安い値段ではありません。むしろ最高に高価な部類です。この値段には、それだけの物を提供してくれた生物の…ワニの命に対しての敬意も込められていると、私は捉えています。」

…素晴らしい回答だと思った。

人間は汚い。そして愚かだ。真理に近い領域にいる自然界の動植物にこそ、敬意を払うべきである。

納得した私はもう一度、財布を手に取った。

…素晴らしい。

全身ユニクロでも、これ一つで人生を変えてしまいそうなオーラを放っていた。

全ての物に言える事だが、相応しい人には、相応しい物が入ってくる。

私には価値を見抜く目があった。引き寄せられる縁もあった。

そして…

買わなかった…。いや、買えなかった。

人生で初めて、目の前の物が手に入らない事実に対し、涙腺を緩めた。周りのスタッフも、この私の情熱を汲み取ってくれた。

くそ…私はまだまだ、小さいな。

その財布は今、私の手元にない。ならば事実として、今の私にはまだ相応しくないという事だ。

それでも、来てよかった。最近はGUCCIから興味も離れていたのだが、こういったラインもあるのだと知れたし、何より私が思っている以上に、私はアパレルに本気だという事も理解出来た。

真剣に物を見る私の姿勢を見て、スタッフたちも真剣に応対してくれた。あの時間は悪くなかったな…。

まぁ、焦る必要はない。次はもっともっと、素晴らしいものが手に入るさ。それまでのお楽しみ、って事で。

まずは、相応しい人間になろうじゃないか。

120万の財布が似合う男に…ね。

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