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タイでのエピソード・その33

その32の続き—

数日が経ち、入居までもうすぐといった所まで来た。

しかし…私の仕事はまだ決まっていなかった。

うーん…まぁ正直、ライティングだけで生きてはいける。

カードも持って来たし、ちょっと損をするが、直接ATMから引き出しても、そこまで大損するわけでもないからね。

こうやって生きている人も沢山いるのさ。ビジネスビザが無くても、この様にネット上で日本円で稼ぎ、日本の口座に入るなら法律に引っかからない。

住民票も外して来たし(ボソッ)…(笑)

とは言え…このままじゃ観光ビザを繰り返すしか無くなる。それだと恐らく3回で限界を迎える。つまり3×3=9…初月と合わせて10ヶ月程度しか居られない事になってしまう。

これでは前回までの渡タイと一緒だ。私は帰るつもりは無い。むしろ、タイで死ぬつもりで来た。全てを…全てを捨てて来たのだから。

ここは精神的に余裕を持ちたいところ。ビザの問題さえクリアになれば、カネなんてどうとでもなるのだから。

だが…

相変わらず、不採用ばかり。ええい、めんどくさい。とりあえず就活やめ!

精神衛生的にもよろしくない。ここは一旦、忘れて遊ぼう。せっかくタイに来たのだから。

ライティングでのんびりやれば、10ヶ月何も無くても最悪、生きていける。それだけの蓄えは持って来た。

私は現金だけではなく、その時ピークを迎えた仮想通貨(暗号通貨)をいくらか持っていた。

その年はちょうどリップル(XRP)が400円を達成した年。あのバブル期である。何を持っていても儲かった。

皆、突然出現した、正体不明のデリバティブに大いに引っ張られていた時代。

私はイーサリアムとモナコインを所持し、2000円近くまで上がったモナコインを売り払って全てイーサリアムに持ち替えた。

これだけの現金と仮想通貨があれば、まだ何とかやっていける。タイの仮想通貨取引所で早速アカウントを作成した。これでいつでも、タイバーツへと現金化も出来る。

しかし…久しぶりのタイと言う事で、私の銀行口座は凍結されていた。私が保有していた口座はバンコクバンクのもの。

バンコクバンクでは半年間お金の動きが無いと、口座が凍結されてしまう。たとえそこに大量のカネが入っていたとしても、だ。しかもその場合、入っていたお金は戻って来ない。The・鬼畜仕様である。

そこで、チットロム(伊勢丹やセントラルワールドがある、メインストリートの一つ。以前、赤シャツ隊が暴れた場所)のバンコクバンクまで行き、新規口座開設を試みた。

…まぁ、普通はちゃんとしたビザが無いと口座なんて作れるわけない。ましてや今の私は観光ビザすら持っていない。ノービザである。

でも…

作れてしまうんだな、これが(笑)。

その日、運良くその支店のオーナーは休みだったらしい。タイで割とモテる私は、窓口の女の子たちを呼んでひたすら口説き、「ビザ無いけどお願い♪」的に頼み通した。

夜のスナックばりに場を盛り上げた私は、結果、新規口座をあっさりゲット。…多分、2021年現在はもう、このやり方じゃ無理かな?

ちなみにパタヤビーチに行けば、口座を売ってるバイヤーも沢山いる。

タイのメイン銀行の一つ、カシコン銀行の口座などは、一万バーツも払えば売ってくれるだろう。なので、どのみち問題無い。

…よし、これでカネに関するライフラインは整えた。

後はビザか…。まぁ…何とでもなるだろうさ。

そう思った私は、自分でもびっくりするくらいに落ち着いていた。

パニック障害を克服し、トレーニングで鍛えまくった肉体と精神は、ここでも確実に役に立った。

……今からネタバレになるのだが…私はこの二年間、観光ビザだけで凌ぐ事になる。

ギリギリの綱渡りを二年間、続けた。

でも…悪く無い二年間だった。

その滞在記を、今後ゆっくりと語っていきたいと思う。


—その34へ続く—

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