タイでのエピソード・その31
—その30の続き—
「あ、どーも。〇〇不動産のタニです」
そう言いながらバイクで登場した彼は、驚くほど太っていた。
肌は真っ白で、マシュマロの様な体型。学生時代に同じクラスにいたら、私は間違いなく彼に「魔神ブウ」と言うあだ名を付けていただろう。
私は「どーも、今日は宜しくお願いします」と返した。
さらに「車じゃないんですね?」と聞くと、タニ氏は
「はい。タイは渋滞がひどいので、バイクの方がスムーズに内見を回る事が出来るんです。」と答えた。
なるほど…。
彼のバイクの後ろに座って、いくつかの物件を回って見た。条件は12000バーツ前後のコンドミニアム。ジム、プール付き、コンビニやカフェが入っていればベター。
…タイを知らない人は、「贅沢!」と思うかもしれないが…
ハッキリ言って、この条件なら腐るほどある。日本円にして毎月4、5万円払う根性があるなら、立派なプールとジムがついたコンドミニアムに住むなんて余裕。
「マサヤンさん、ガタイいいですね。鍛えてるんですか?」
「はい、まぁ…。なので、ジム付きの物件が良かったんです。プールは…そこまでこだわりません。って言っても、大体付いてくるんだとは思いますけど」
「そうなんですよね(笑)。分かりました!超おすすめの物件があります!」
そう返したタニ氏は、私をオンヌットへと連れて来た。
オンヌットは、前回話したプラカノンの隣の区である。
そして…今回私が二年間滞在する地域だ。キーボードを叩いている今も、色々思い出して、胸が切なくなった自分がいる。
マガジン「タイでのエピソード」は、ようやく今回からスタート!
あぁ…また行きたいなぁ。あいつら、元気かな…。
ウイルス騒動さえ無ければ、皆さんから頂いたサポートで旅行記とか、普通にYouTubeでやらせてもらうのですが…。
私がワクチンを打たないばっかりに、申し訳ない。
オンヌットは、住みやすい。いや、住みやすいなんてもんじゃない。
男子諸君が好きなお風呂屋さんはほぼ無いが、激安で質の良いマッサージ屋が多くあり、食事処も多くて食べるに困らない。
高いが、日本人が経営する飲み屋なんかもある。バンコクの象徴「ビッグC」もど真ん中にあり、かつ駅直結でロータスまである。買い物で不便する事も無い。コンビニも豊富。
スクンビット中心部であるアソークから程よく遠いので、高級コンドミニアムの家賃も抑えられている。
これクラスが普通に10000〜15000バーツ程度で借りられる。駅の目の前でも、だ。
遠いと言っても、BTSに乗ってしまえば15分〜20分くらいで都心部に行けるので全く問題無い。
しかも、日本人居住者も結構いる。トータルで見て、マジでおすすめ出来る場所。
タニ氏が連れて来たのは、オンヌットのソイ1/1から入った所にあるコンドミニアム。
コンドミニアムタイプの集合住宅街と商業施設が一体化した、「ハビトモール」。私はここに、二年間住み着く事になる。
ソイから結構歩く事になるのだが、ソイの出口まで、さらにオンヌット駅までの無料シャトルバスがコンドミニアムの目の前から定期的に(30分毎)出ていると言う、凄まじい仕様。
おーいなんじゃそりゃー、これはヤバいだろ(笑)。こんなん、便利すぎるがな。
ソイからまぁまぁの距離入ってくる為、バンコクの喧騒からも程よく離れた地域に住む事ができる。
実際、ハビトモールに入った瞬間に空気がガラッと変わり、まるで日本の住宅地域に迷い込んだ様な錯覚さえ覚える。
人によってはいちいちバスを使うのが面倒だと思うかもしれないが、私の様にPC一つで仕事が出来る人間にとっては、ここに引きこもるだけで十分。
ハビトモール一階には電気使い放題のカフェ、ドラッグストア、セブンイレブン、銀行、サブウェイなどの軽食屋が立ち並ぶ。
休日にはおしゃれな屋台が出てプチお祭り的なイベントをするし、クリスマスには何日にも渡って有名人を招いたフェスティバルも行われる。
さらに2階に行くと、ベトナム料理や韓国料理、日本料理などを満喫出来るレストランがある。
3階まで行けば歯医者、美容外科、ムエタイジム、コワーキングスペースまでもがあるのだ。
これら全てが、家の目の前にあると言うこと。なんじゃこりゃ。
実際、引きこもって稼げる投資家、トレーダーなんかにはすこぶる人気の物件らしい。
肝心のコンドミニアムだが、1K、1LDKタイプのものと2LDKがある。
私が選んだ部屋は、1K…を無理やり1LDKにした感じの部屋。決して広いとは言えないが…一人で暮らす分には、全く問題無い。
ハビトモールの目の前にある、「 The Base Park East」と言うコンドミニアムを内見した。
もう高級感しか無いな(笑)。すげぇ。タイ、すげぇよ。
私は虫が出ない方が良いので、若干家賃が高くなっても高層を選ぼうと思っていた。
タニ氏が用意してくれたのは17階。真ん中よりちょっと上くらい。ここまで高い所なら、流石にアリも出ない。建物自体も建てられたばかりだし。
部屋をチェックしてみると…
冷蔵庫あり。電子レンジあり。て言うか、鍋やら何やらもあり。一応、シャワーとトイレも別。狭いけど。
タイならではの謎の間取り。でも、私としては十分だった。ここまでの好条件で贅沢は言ってられん。最高すぎる。家賃はいくらだ?
「ここ、月いくらですか?」
「13000バーツです(笑)」
マ・ジ・か!ここに月4万円で住めるのかい。
即決。写真には洗濯機が載っているが、最初は無かった。その後、部屋のオーナーと交渉し、洗濯機を付けてもらう事になった。はい、パーフェクト。
当然、プール、ジム付き。
ジムはまぁ…ショボい。本格的なものとは言い難い。コンドミニアムのジムなんて、どこもこんなもん。ガチで鍛えるなら、スポーツジムに行かなきゃダメ。これはタイでも一緒だね。
やっと、あの痒いゴザからおさらば出来る…。
物件を見つけた旨をハルキに電話で伝え、私はまた、あの小汚いアパートに戻った。
クリーニングが入るので、入居までにはまだ時間がある。それまでまた奴のアパートで世話になる事になった。
…部屋は見つかった。あとは収入だ。仕事。そしてビザ。
何とかしなければ…
—その32へ続く—
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