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タイでのエピソード・その14

その13の続き—

「有難う御座います。〇〇の、マサヤンで御座います。」

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... 会社内の研修が終わり、私は「オペレーター」がすっかり板についていた。

マニュアル通りのことをマニュアル通りにこなし、「お客さまに対する敬語」って言うやつを覚えていった。

どうやら私には口癖が多く、なおかつ開口が不十分なためか、滑舌も良くないらしい。テレフォンオペレーターと言うことで、ここは徹底的に直されることになった(今でもそうですよね。とほほ)。

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…が、私としてはどうでもいいと思っていたからか、なかなか改善されなかった(笑)

月給は基本的に32000THB(タイバーツ)だが、 努力次第ではさらに上乗せされた。 

私が配置されたポジションは、とあるカタログショッピングの受注管理業務だが、1日に受けることができる本数に限りがある。

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日本からの注文を受けることになるので、特に英語やタイ語の能力を問われる事は無い。

ただ、1日中電話応対をしなければならないので、体力的な消耗も激しく、ストレスを感じる人は非常に多かった。

 半ば頭がおかしくなって辞めていく人も多い。クレームを受け流せない人は大体、鬱っぽくなる。デスクワークで体もガチガチになるからよけい、ね。

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「タイに行ってテレフォンオペレーターから開始しよう!」と思っている人は、よく考えた方がよろしい。

毎朝、昨日の成績の順位が発表される。1日に受けた電話の本数、クライアントが求めているカード会員加入数、 注文以外に+ αで売ることができた指定のサプリメントの数などがメイン。

電話の本数に関しては、ほとんどの場合Hの名前が呼ばれた。 奴はあまりにも要領が良すぎる。これは仕事でも同じだった。

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頭の回転が早いため、相手をうまく導いて電話を早めに終わらせるのが非常にうまい。

一方、私は感情を込めたトークが得意で、物を売る分野に向いていた。 

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特にもともとサプリメントに知識があった私は、 通常一日に一つでも売るのが難しい物を、毎日3〜6個、多いときは10個売った。

私の給料はみるみるアップし、 人事部の人たちからも、オペレーター部門の中では唯一と言っても良い位、良い目で見られていた。

居心地は決して悪くない。だが以前言ったように、言わせてもらうが周りにはクソみたいな人間しかいなかった。

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このような中にいても、私は決して成長出来ない。かといって、他の会社に移る実力もない。

何といってもここは海外だ。タイ語能力はもちろんだが、ぶっちゃけ英語ができなければ話にならない。

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だからこそ私は、仕事が終わった後に少しでも時間を作って、家で勉強するなどして工夫をした。

ちなみに、S氏がおすすめしてきたどローカルなタイ語学校に少し通ったが、全く身に付かなかった。先生がアホ過ぎた。

何と言うか...S氏って多分、人を導くセンスは無い。そこは本当に強く思う。今思えば、アパートももう少し良い所があったはずなのだ。

会社の目の前には、バンコクでも有名なストリートであるソイ・カウボーイと言う通りがある。

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会社の連中は毎日の様にそこに入り浸り、 裸の女を眺めながらお酒を飲んでいた。

場合によってはお金を払って連れ帰る。誰がどう見ても、自分の将来に対して全く考えない様なお金の使い方をしていた。

何も考えずに飛び出してきた私も、だんだんと分かってきた。ここには真面目に将来を良くしていこうと考える人間など、ほぼいない。皆、このタイと言う国のエロスに導かれてきたのだ。

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日本では超絶ブサイクと言われている人でも、こっちの国では何とかなったりする。要はカネだ。

そういった理由でこの国から離れられない女性も多いし、バイセクシャルやゲイなどといった性的な理由で日本を離れ、この国の虜になっている人間も、社内には数多くいた。

と言うか...冗談抜きで社内の三分の一は、性的にノーマルではなかった。

毎日、会社の仲間とゴーゴーバーなどに入り、お酒を飲んで帰る日々。 

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何度も言うように居心地としては悪くない。だが、このままでは私の人生は、せっかく海外に来たにもかかわらず、変わる事はないと思った。

「これでは意味が無いのでは...」

そう思った私は、徐々にモチベーションを下げていく。

最初はS氏を頼って来たつもりだった。だが、 思った以上に話の進展もない。HもS氏と一緒に何かしらの仕事をしようと考えていたようだが、うまく噛み合っていない。

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結局、S氏も大いなる「構ってちゃん」で、自己愛すっからかんの孤独を苦手とする人だった。その「心の隙間」ってやつを埋める為に、私は呼ばれた様な気すらしてきた。

たまにS氏と会って話すこともあったが、その際もやはりと言うべきか、ゴーゴーバーや日本人向けのスナックが集まるソイ・タニヤなどで遊んで終わる。

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見るからに日本のヤ◯ザが乗り回すレクサスやベンツも、S氏を避けて通った。

私が「轢かれますよ」と言い、身を挺して彼を庇おうとすると、

「俺が轢かれる?この国で?ははは!国家機密だなそりゃ」と言った。

そんな彼には、確かに誰も逆らえない。凄まじいカネとコネクションを持っていた。...まぁ、故に「独り」、と言うこと。

…にしても...私はここに何しに来たのだ。遊びにきたんだろうか。

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というか、私の周りの会社の連中は、そのようなこともあまり深く考えていないようだが...将来不安にならないのだろうか?いい歳して酒と性欲に溺れるジジババ連中ども。日本で居場所が無かった分、さぞかし気持ち良いんだろうさ。

...ついていけん。

そういった事を毎日考えながら、当時の私は特にサポートもしてくれないS氏に対しても、次第に疑心暗鬼になっていった。

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その頃の私は、まだまだ「自己責任」と言う大前提を理解出来ない甘ちゃんだった。故にそう思ったのも無理はないと思う。

とは言え、S氏の「自分で決めて来いよ。上手く行かなくても俺のせいにするな」と言うセリフが耳に焼き付いていたせいか、何とか歯を食いしばって耐えていた。

まーぶっちゃけ、S氏自体も考え方が古く、いくら頭が良いとはいえ、その頃からネットを使いこなしてブイブイ言わせてたわけでも無い。遠慮無く言えば「ひと世代前の人」だった。

また、彼はジャイアン気質で、 自分の身の回りにまるで「部下」の様な人間を多数置き、悦に浸る傾向にある。その様を、今回の渡タイで大いに思い知った。

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私は彼が頭が良く、カネを稼げる成功者である事を知っている。だが、 定期的に優秀な部下や仲間・パートナーを失い、幸せを逃していることも同時に理解していた。どうやらその気質自体は未だ、変わらないようだった。

そんな彼はしばしば、私に対して理不尽に怒鳴りつけて来た。 特にお酒が入ると質が悪い。次第に私は、S氏の誘いを断るようになった。

正直、紹介してもらった会社に関しても、数ヶ月が経った頃には嫌になって来たし、 会社の仲間とつるむことも少なくなっていた。

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給料も、下手すると50000THBくらいになる事がある。だが、それでも日本円にすれば当時で13万円ほど。 

確かにタイの物価は安く、これでも余裕のある毎日を過ごせた。だが何というか…このままだと自分がダメになると思った。

皆、安い物価にかまけてのんびりする。余ったお金を貯金せずに、風俗に使う。 男も女も、だ。

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私もしばらくはそれに付き合っていたが…ついにはやらなくなった。

...そうしているうち、日本から留学で来ていた日本人学生M君と、S氏繋がりで知り合う事になる。彼はfacebookでS氏と知り合い、仲良くなったらしい。

日ごろから割と仲良くしていたのだが、ある日「事件」が発生する。

S氏とH、そしてM君と私の四人でゴーゴーバーに遊びに行った。

その日はS氏の奢りだった。そして帰りの会計の際、お釣りが出てくると...

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M君は酔っ払っていたため、間違ってお釣りを自分の財布に入れようとした。勿論、わざとではない。

だが、その「ミス」をS氏は許さなかった。

S氏は激しく憤り、ゴーゴーバーの中にあるガラステーブルを思いっきりぶっ叩き、粉々にした。

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その後、S氏は店に5000バーツの弁償代を支払い、帰っていった。

酔っ払って店内で眠ってしまっていた私は、その顛末を知らなかった。

M君が青い顔をして私を起こす。

「マサヤンさん!マサヤンさん!俺...俺...やっちゃいました...」

「...?どうした?」

...そこで事情を聞いた私は、少し呆れてしまった。

確かにS氏はカネに厳しい。カネに苦労してきたと言うのもあるし、しっかりと人一倍哲学してきたと言うのもあるだろう。なので、カネに対する考えに関しては、彼なりの大きなプライドがあるのも事実だ。

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成功者になった今も決してそこは驕らない。 

奢るときは奢ってくれるが、そういった話がなかった場合は、きっちりと1バーツも違わず均等に割り勘にする。

そういった感性を持つS氏を、今まで尊敬して来た。

...つもりだったのだが...

ジャイアン、ここに極まれり。いい加減にしろ、と思った。

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ちょっと酔っ払った大学生の些細なミスでそこまでキレるのも、人としてどうなのだ。そのくらい、笑って許してやれよ。

...私の中で、S氏の株が大きく下がったのを感じた。

この辺りから、私はさらに孤立していく事になる。

そして...私のタイ生活を脅かす、最大最悪の事件が発生した。


—その15へ続く—

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