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タイでのエピソード・その29

その28の続き—

寒さにガチガチに震え、私は札幌行きの特急に乗った。

タイへの飛行機は新千歳空港からの直行便だったので、まずは札幌まで行く必要があった。

タイに厚着をしていくバカはいない…とはいえ、荷物を減らす努力をしたのが裏目に出た。その日に限って、メチャクチャに寒い。

運が悪い事に、私が座った普通席は暖房もほとんど効いていなかった。釧路から札幌まで約4時間ほど特急で揺られるわけだが…その間ずっと、私は寒さで震えていた。

ようやく札幌に到着した私は、そこから新千歳空港までバスで向かい、とりあえず明日の出発に控え、空港内ホテルで一泊する事にした。

チェックインを終え、美味しい料理を食べた。

さらに大きな大浴場にゆったりと浸かる。

「あぁーーー気持ちえぇ。ざまぁみろ(笑)」

なんと言うか…色々なものに「ざまぁみろ」と思った。人生で初めて、「やりたい放題」やってやった…と言う感じ。

返すアテの無い借金をこさえ、一方通行の道を行く。ここまで来ると人間ハラをくくるもので、そこまで落ち込んだものでもない。やっちまったもんはしゃーない。

その日は冷えた体を温め、ゆっくり就寝し…

そして三度、タイへと飛んだ。

連絡通路からすでに暑い空気が流れ込んでくる。むわっとした感じ。久しぶりだが、もはや驚く事も無い。

「そうそう、これこれ」と言った感じで、懐かしさすら覚えた。私にとって、第二のホームとなりつつある。

出国手続きを済ませ、私はスワンナプーム国際空港を出た。

…行くアテも無い…

と言いたいところだが、実はあった。以前の会社でそれなりに仲良くなった、ヒッピー風の知人の家に泊めてもらう事になっていた。

彼の名前はハルキ。ダンスと音楽を愛する、自称ヒッピーってやつだ。

一ヶ月3,4000バーツ程度のボロっちぃアパートに住み、相変わらずテレフォンオペレーターとして仕事をしていた。給料はやっぱり、安定の32000バーツ。日本円で大体、10万円くらい。

出来れば関わりたく無い人物だが、残念ながら他にアテも無い。

とりあえず、家が見つかるまではそこに泊めてもらう事にした。

彼は「プラカノン」と言う名前の通りに住んでいた。屋台も多く、住み心地としては悪く無い。

…その日の夜、床に寝かせてもらったが…痒くて眠れない。

どうやら、この「ござ」には虫が湧いている。

こいつ…掃除なんて滅多にしないんだろうなぁ。まぁ、泊めてもらうからには贅沢も言ってられん。私は暫く我慢して、その床で眠る事にした。

まずは食いぶちを探さなければ。実はその時点で、ライティングの業界は下火になっていた。以前ほど稼げなくなった、と言うこと。故に、これだけではあまりにも不安が残る。

そう思った私は、物件を探すのと同時に、仕事も探した。

何より…ずっと滞在するにしても、ビザが無い。ライティングの収入で食べようと思えば食べられるが、滞在する為のビザが無ければ結局、私はタイに居座る事が出来ないのだ。

観光ビザを何度も取得する方法は、この時代ではもう通じなくなっていた。まぁ出来るっちゃあ出来るが、三回目には確実にハンコを押されてしまう。

この青いハンコを押されたらもうおしまい。次から観光ビザを取得する事は出来ない。

観光ビザで滞在出来る期間は、そのままだと二ヶ月。切れる前にイミグレーションで延長手続きを行えば、一ヶ月の延長が出来る。よって、合計三ヶ月滞在可能となる。

ノービザで入ってきた私は、今のままだと一ヶ月しかいられない。この間に仕事を決めるか、もしくは観光ビザを取得してくる必要があった。

色々なところを面接してみるものの…

やっぱり、そうなるよねぇ。全て、不採用。あっそ。面接するまでも無い、か…。

かと言って、もうテレフォンオペレーターになるのはゴメンだな。

…今回こそは、何があっても戻れない。どんな手段を用いてでも、タイに滞在する必要がある。

そう決めた私は、観光ビザの取得を決意した。


その30へ続く—

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