フィルター

最近のXの投稿群は、以前に比べてもかなり「カオス」な状況になってきていると言えるだろう。

取るに足らない芸能人のスキャンダル、愚にもつかない陰謀論や都市伝説、バズだけを狙ったエロ・グロのみを拾った下らない動画の数々。

何よりも、それらの投稿にわざわざ群がって言い合いをしている人たち。

彼らは例外なくアホだ。これが未来を担う日本の子供達だと考えると、もはや本当の意味での「日本」ってやつを取り戻すのは難しいような気もする。

私はそういった「変人たち」の負のオーラを貰いたくないので、極力見ない様にはしているのだが…何ともはや。

そんなXでの投稿で最近、またグロ系の動画が上がって来た。

戦争の最中、前線にいる兵士が暖をとる為に、隣で死んだ仲間兵士の遺体を燃やす動画だ。

めでたくその遺体は燃え、兵士は暖をとる事に成功した。

しかし…その燃えた遺体のポケットには手榴弾が入っていた。

炎によって引火した手榴弾は爆発し、暖をとっていた兵士を粉々に吹き飛ばしてしまった。

…その動画投稿主は純粋にバズりを狙っただけのようで、「あなたはこの行動をどう思いますか？」だの、「この行動は正しい？正しくない？」だのを付け加え、いかにも論破合戦を誘発する言動を見せた。

そして、まんまとその誘導に乗った愚かな人たちは、意気揚々とその動画ポストにコメントを残していた。そのコメントは何百、何千にも上った。

驚いたのは、ほとんどの人が暖をとった兵士の行動を「愚かな行為」として嘲笑し、「戦地にいるから、もう何が正しいのかどうか分からなくなってしまったのだろう」と解釈している事だ。

…誤解してほしくないのだが、私はこの兵士の爆死に対して嘲笑しているさまを理解できないのではない。安全な位置から、他人の失敗を笑う…こんなところにコメントを残す人間なんて、得てしてそんなものだ。

それよりも、この状況を見て「この兵士の行動がおかしい」と思っている事が、おかしいのだよ。

むしろ、戦地という極限の環境にいたからこそ、この兵士はある種の「フィルター」が外れていた。故に、「死んだ人間＝ただの肉」という正しい認識が出来たのだ。普通なら「一般常識」ってやつがなかなかそうさせてくれないだろう。

もちろん、死ぬつもりがなかったのであれば、兵士の遺体のポケットを確認しなかったのはマズかったと言える。手榴弾の一つくらいは入っているはずだからね。でも、その事実はさほど重要なものではない。

大事なのは、宗教観やら一般の倫理観といった邪魔な概念を捨てて、人間が「ただの肉ロボット」である事実を冷静に見抜けた…という所だ。だからこそ、彼は元仲間の「肉」に火を付ける事が出来たのだ。

この事実は、やはりヒトがただの肉で出来た「器」に過ぎない事を如実に表している。

…尤も、この動画ポストにコメントした輩たちは、こんな事考えもしないだろうがね。

彼らはどうせ、ちっぽけな「良心・道徳心」ってやつのせいで、単純に「遺体とはいえ、元仲間だった体に火を付けるなんて！」…なーんて考えているはず。

その良心も道徳心も、小さな頃から洗脳によって植え付けられたものだと知らずに…。

そんな人間ほど、信用ができない。今のXを見ると、殆どの人間がそんなもんなんだなぁ…とつくづく思うわけだよ。私は自分に一切の失望をしないタイプだが、この世には本当に失望してばかりだね…。

海で遭難し、一人しか掴まれない板を手にした時…

他の人が近寄って来たらどうする？断言するが殆どの場合、奪い合いになるだろう。なぜなら、どちらかがどちらかを蹴落としても、罪に問われないからだ。

有名な「カルネアデスの板」というやつだね。つまり、この事実から見ても「法律」やら一般常識、道徳感など所詮「まやかし」に過ぎない。

皆が「フィルター」の付いた色眼鏡を通してこの世を見ている。そして、それを「真実だ」と勘違いしながら生きているのだ。私はそれを「洗脳」と呼ぶ。

全ては、何が起きても大したものではない。「ただの出来事」なんだよ。

そこに「あなたはこれをどう思う？正しい？正しくない？」なーんて煽りを入れて、無理やりAかBに振り分けようとするなど、とんでもない愚行だ。最悪の行為と言っても良いだろうね。

そういう意味でも…収益化が始まった今のXの状況は、私にとって本当に胸糞が悪くなる状況なのだ。

ちなみに、先ほどの「カルネアデスの板」だが…例外がある。

板に飛びついて来た人が、自分にとって大切な存在だったとしたら…？

もちろん、その時はあなたが命を捨てるのだ。

おふくろが倒れた時、私は心から「変わってやりたい」と思った。

私にもそう思えたのだから、きっと、あなたにも出来るだろう。

護身術のプロとして有名な、元・自衛隊特殊部隊の田村忠嗣氏は、YouTubeの動画でこう述べている。

「もし日常で凶悪犯に襲われたり、事件に巻き込まれたら…全力で逃げて下さい。これが最強の護身法です。でも、どうしても逃げられない状況で、尚且つあなたにとって最愛の人を守らなければいけない状況になったら…そしてもし、どちらかしか助からないような状況だったら…その時は腹を括って、あなたがその人のために、命を捨てて下さい。最も大事なのは、そういう状況に巻き込まれないよう、平穏な日常を過ごす事です。」

…私はこの精神をいちいち「サムライ」などと表現しない。そんなもん、むしろシナ人が言いそうなもんだ。日本には元々、斬り合う文化も切腹もなかった。そんなペテンの歴史を持ち上げる様な、野蛮な民族と一緒にされちゃ困る。

この精神こそが「日本人」だ。ただただ、「日本人」さ。それで十分な表現じゃないか。

…SNSなどの「フィルター」に惑わされず、日本人が日本人らしく日々を過ごせる様になる事を願う。

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