香港のFauve Recordsが鳴らすグローバルなダンス・ミュージック


もももも


 香港のFauve Recordsを知ったのは、2019年10月頃だった。このレーベルからリリースされたロメインFXのEP「The Drive」を聴いたのだ。メタリックなシンセ・サウンドが印象的なイタロ・ディスコという趣で、シンプルな4つ打ちとキャッチーなメロディーが耳を虜にした。
 ヤズーや初期のデペッシュ・モードも脳裏に浮かんだ。これはおそらく、ほのかにインダストリアルの匂いが漂っているからだと思う。

 「The Drive」以降もレーベルの動向を熱心に追いかけた。日本での知名度は高くない気もするが、そんなのは関係ない。作品が出ればすぐに購入し、家や友人がやってるバーのDJブースで何度もスピンした。

 Fauve Recordsといえば、秀逸なリエディット作品群も忘れてはいけない。ボリウッド映画のサントラからソウルまで、実にさまざまな曲をダンスフロア向けにアレンジしている。
 なかでも今年2月にリリースされたEP「Extinct Melodies From The Bollywood Warehouse」は素晴らしい。ボリウッド映画のサントラを再構築した曲が収録されたもので、外れがひとつもない。デペッシュ・モード“People Are People”(1984)的なビートが際立つ“Buppa Buppa (RFX Edit)”、ペット・ショップ・ボーイズ“Heart”(1988)のシンセ・フレーズをまんま鳴らす“Bolly Wood (Bongo Edit)”など、すべての曲が私たちを汗だくになるまで踊らせてくれる。

 ピックアップするアーティストの多彩さもFauve Recordsの特徴だ。サウス・ロンドンのラジオ局Balamiiに番組を持つランニング・ホット、インドネシアを拠点とするミッドナイト・ランナーといった面々がレーベルの作品に参加している。リエディットのネタ選びと同じく、コラボ相手のチョイスも国境にとらわれていない。
 そうした奔放なセンスには、ダンス・ミュージック・シーンのみならず、世界中の音楽ファンの耳を喜ばせる輝きが宿っている。


※ : MVはないので、Fauve Records作品でも特におすすめの作品のリンクを貼っておきます。


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