文学賞というものを経験した
いやはや、疲れました。『デッドライン』が発表されたのは昨年、2019年8月なので、それから一年ちょっと。その間にコロナ禍が起こり、世界が一変した——と僕は思いたくないのだが——のを挟んで、この作品は三つの新人賞にノミネートされた状態にありました。結果、最初に野間文芸新人賞をいただき、次の一月の芥川賞と、五月から九月に延期された三島賞は逃すことになった、という結果。『デッドライン』はもうだいぶ前の作品という気持ちになったけれど、最後の三島賞の結果が出ないことにはなんとなく落ち着かないものもあり、これでやっとすべて終わったわけで、肩の荷が降りました。この一年で一気に「文壇的なもの」の特訓を受けたような気分です。
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