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僕とドゥルーズ

僕が言う「仮固定」というのは、科学における「準安定状態 metastable state」にだいたい対応すると思う。準安定状態というのは科学の用語だが、これを存在論に応用したのがシモンドンという哲学者で、その影響下でさらに抽象度を上げた(と言えるのかな)のがドゥルーズである。

なら、準安定状態と言った方が学術的かもしれないが、中高の頃からの口癖で「仮固定」と言っている。それはたぶん、元は父の口癖で、その個人的背景が案外大事だと思うからだ(なお、「だいじ」というのも栃木でよく使われる気がする)。

すべてのものは生成の途中であり、同一性とは仮の安定性である、というのがドゥルーズ的世界像である。ところで、僕はこれを、ドゥルーズに教えられて初めて知ったわけではない。だいたいそういう「感じ」が、中学の頃には当たり前の感覚だった。元々、強固な同一性を求めるような志向を嫌うタイプで、それは小さい頃からそうだった思う。

なので、そういう世界像を本格的に哲学にしたのがシモンドンやドゥルーズだ、という事実を飲み込むのに、かえって余計に時間がかかってしまった。

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