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事務所note:政府の骨太の方針で決まった「資産運用立国」とは?

つい先日、政府が「資産運用立国」宣言をしました。

日本政府は、約2,000兆円ある家計金融資産の「開放」を目指すそうです。

政府は、2023年6月7日に「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」を公表しました。

いつも事務所noteをご覧頂き、ありがとうございます。

名古屋と札幌で活動している、
独立系ファイナンシャルプランナーのおさかべです。

私の自己紹介になります。

今回の方針では、以下のような言及もされています。

「2,000兆円の家計金融資産を開放し、持続的成長に貢献する『資産運用立国』を実現する。そのためには、家計の賃金所得とともに、金融資産所得を拡大することが重要であり<中略>これらによる家計所得の増大と併せて、持続可能な社会保障制度の構築、少子化対策・こども政策の抜本強化、質の高い公教育の再生等に取り組むことを通じ、分厚い中間層を復活させ、格差の拡大と固定化による社会の分断を回避し、持続可能な経済社会の実現につなげる。」

by:日本政府

なんか難しい言葉が並んでいますね、、、

噛み砕くと、このような意味合いになります。

「日本は2,000兆円のお金を使って、国全体で資産運用を始めます。そのためにも、給与アップだけでなく、配当などの運用益もアップさせることが重要になってきます。これらの収入アップを通じて、社会保障制度の維持。子ども手当などの少子化対策。教育制度の再構築をします。そして、中間層を復活させ、経済格差を縮小させ社会の分断を防ぎ、経済的にも安定した世の中にしていきます。」

by:おさかべ

個人的には、「2,000兆円の家計金融資産を開放」することは、慎重に行う方が良いと思っています。

なぜなら、懸念材料が2つあります。
第一に為替、第二に円金利への懸念です。

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byおさかべ

2,000兆円もの家計金融資産を開放する際の懸念材料2つ

為替による円安効果

2,000兆円の数%でも、外貨建て資産へシフトすれば、
大変な円安圧力を生むという懸念があります。

byおさかべ

2022年末時点で、日本の家計は約1,110兆円の現預金を保有しています。

仮に、このうちの10%が「強い外貨」に移ろうとするだけでも、110兆円規模の円売りが起こります。
これは、2022年の日本の経常黒字約10倍にも相当する金額です。

昨年に直面した円安による物価高は、社会問題化しましたよね。
この時は、家計金融資産が外貨建て資産に向けて、開放されたわけではありませんでした。

もし、それが実現された場合、どれほどの円安相場が実現するのか。
そうなった場合、大企業は儲かっても、内需中心の中小企業や個人事業主にどれだけの恩恵があるのか。
また、輸入物価上昇を通じて、どれほど一般消費者や日本経済の足枷になってくるのかという危惧を抱いてしまいます。

著名人の発言からも、諸外国と比較した「安い日本」を象徴する出来事は、枚挙に暇がありません。
インバウンドが多い理由とも言えます。

そのような社会情勢から、円の弱さを懸念し、外貨建て資産に関心を持つ層は今後さらに増えるでしょう。
そのような時に、政府が「貯蓄から投資へ」を声高に叫べば、その雰囲気は強まる恐れがあります。

なぜなら、日本人は合理性よりも「皆がやっているからやる」という空気で、動く傾向が多々あります。
この点は、政策の副作用として受け入れるべき論点となります。

byおさかべ

安定している円金利への影響

そして、第二の懸念である円金利への影響です。

byおさかべ

家計金融資産が解放されることで、日本国債の安定消化構造に影響が出る可能性があります。

これまで、家計や企業が円建て現預金という運用形態を取ってきたのは、ローリスクを選択してきた結果です。

この30年近く日本経済は低成長でしたが、円建て現預金という最もローリスクで確実に少しは増える資産であり、そこに一定の経済的合理性がありました。

このような民間の合理的な決断を、政府が開放しようと揺さぶった場合、それが為替や金利にもたらす危険性についても、もっと検討されても良いと思います。

確かに、家計と企業の貯蓄過剰は日本経済低迷の証であり、円建て現預金への傾斜もその現象の1つの結果と言えます。

今回の「骨太の方針」を見ると、家計金融資産の開放が「持続的成長に貢献する」と謳われています。

それはすなわち、
「家計金融資産が解放されなかったため、持続的成長が損なわれてきた」
という問題意識を、政府が持っているとも言えます。
つまり「過剰な貯蓄は低成長の原因」という見方になります。

しかし、投資家目線で考えてみてください。
低成長が予期されるところに、わざわざ、自分の大事なお金を使って、株式や設備投資などをしますか。
おそらくしないと思います。

特にこの30年は、
「貯蓄は低成長の原因」ではなく「貯蓄は低成長の結果」という方が、経済の実情に合っていると思います。妥当な判断ですよね。

日本人の投資の判断基準としては、
「ローリスクの資産」「お金を使ってまで投資したい資産が少ない」
ということではないでしょうか。

以上から、平成以降の日本で「貯蓄から投資」が進まなかったのは、
「そうせざるを得ない経済状況があったから」という事実が、出発点になっているという見方ができます。

円建て現預金を中心とする家計金融資産の構成も、
国内で消化できている安定した国債利回りも、経済力を反映した結果です。
誤解を恐れずにいえば、一方的なレッテルを貼り、
無理やりにでも資産運用へ政策的に変えようとしているのが、
今回の「骨太の方針」で謳われている「資産運用立国」論ではないでしょうか。

byおさかべ

日本人が貯蓄しないと国債購入は外資頼みに

「民間銀行-政府部門-日本銀行」が三位一体となっている、
日本国債の消化構造は、円金利の安定という意味では盤石です。
今回の資産運用立国のもとで、
家計金融資産を開放し「貯蓄から投資」を政策的に促すことは、
この国債の消化構造を根本から揺さぶる行為になりかねません。

byおさかべ

仮に、政府の企図する通り、
「貯蓄から投資」が盛り上がった場合、国債は無難に消化されるのでしょうか。

しばしば、「眠っている」と表現される現預金は、銀行部門経由で国債購入に充てられています。

それが眠りから目覚め、例えば外貨建て資産へ投資された場合、
日本の銀行部門の代わりに国債を買う経済主体を見つけてくる必要があります。

外資に購入して貰う選択肢はありますが、日本の国内投資家のような低金利での購入は、状況が状況でない限り望めません。

日本国債の買い手が付かないと、借金もできなくなり、住宅ローンなどの金利も高騰する可能性が高まります。

円金利上昇は、円安同様、国民生活に直結する話になります。
昨年の日銀のYCC見直しで、円金利が0.5%に上昇したのは、記憶に新しいと思います。

もちろん、現実問題として、日本の家計金融資産の構成が国際的に見て過度に保守的ではあります。

個人的にも、「資産運用立国」論にも正当性を感じていますし、資産運用が活発になって欲しいと思っています。

しかし、それに付随して懸念される、
為替や金利といった国民生活に直結する影響や現状の日本人の金融リテラシーについては、さほど議論されていないように思えます。

それについては、この記事でも書かせて頂きました。

以上から、これまでの民間の判断にも相応の理由とメリットがあったこと、
現状での日本人の金融リテラシーを踏まえた上で、政府には「貯蓄から投資へ」の動きを促して欲しいと思います。

by:おさかべ

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