伊藤正哉

臨床心理学者。『必要とする人に必要なケアを届ける』を目標に臨床研究。うつと不安への認知…

伊藤正哉

臨床心理学者。『必要とする人に必要なケアを届ける』を目標に臨床研究。うつと不安への認知行動療法の統一プロトコル。PTSDへの認知処理療法。人工知能やデータサイエンスを用いた心理療法の革新。ポジティブ価システム認知行動療法、複雑性悲嘆治療、周産期メンタルヘルス、感情調整。

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心理的介入の有効性検証試験の進め方

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        Photo by Viktor Forgacs on Unsplash このレポートは、Japanese Community for Open and Reproducible Scienceのアドベントカレンダー企画用に作成しました。以下の論文は、オープンサイエンスを促進させるために、論文が生まれてから羽ばたくまでの研究ライフサイクルの各プロセスで取り組める工夫が散りばめられております。たくさんの人や組織が、それぞれの持ち場で工夫できること、です。以下、簡単に内容と私の感

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          Photo by Felipe Castilla on Unsplash こちらの前編に引き続き、下記の論文の後半を要約してお伝えします。 Cristea, I. A., & Naudet, F. (2019). Increase value and reduce waste in research on psychological therapies. Behaviour research and therapy, 123, 103479. 研究情報は十分にアクセス

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           このレポートは、Japanese Community for Open and Reproducible Scienceのアドベントカレンダー企画用に作成しました。 −Photo by Ian Schneider on Unsplash 問題意識  日本の心理療法研究では、厳格な臨床試験によりエビデンスを示すことが、ほとんどできていません。心理学者による臨床試験は、無きに等しいほどです。心理的な介入の科学に取り組む仲間をたくさん作りたい。そして、臨床心理学から、価値のあ

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