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ゼンメルバイス、産褥熱、専門家は多くの人を殺してきた。そして、生かしてもきた。

「産褥熱とゼンメルバイスの教訓」は医学史において、繰り返し語られる。

産褥熱では産科病院に入院すると10%以上の母親が医師が消毒をしない手のままに傷が開いた陰部に触り、感染症を発症させ、死んでいった(産褥熱と言われ、恐れられていた)。家で産婆さんが取り上げた場合は全く起こらないで、医学の最先端である病院で起こっていたのだ。

ゼンメルバイスは現実をみて、観察して、手を洗うことで、産褥熱による出産後の女性の死亡を「ほぼ0」にすることが出来る事を実証した。そして発表したが、彼の主張は周りの医師たちに嫌悪された。一説によれば言い方が悪かったとも、彼の医学界での立場の問題とも言われる。

なにせ、医師が出産後の女性を殺していると言っているようなものであるのだから(笑)。「幸運な病のレシピ」みたいだ、どうしよう。

やがて、彼は気が狂っているとされ、精神病院に入れられて死ぬ。

パスツールが細菌による感染症を見つける20年前のことである。

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医療が患者を苦しめてきた事が医学史においては繰り返される。

なにせ、新しい知見が次々と現れていくからである。そして、これはアタリマエのことのようだと考えることにした。

専門家は、その専門的知識を売って生活しているのだ。今まで間違えてきたことをどう謝れば良いのだ。近藤誠さんが嫌われるわけだ(注)。

「ゼンメルバイス反射」と言う言葉もある。しかし、これは当たり前なのだ。だれだって、自分が専門家ですべてを理解していると思ったならば、自分に反対意見を言うものは殺す(社会的意味でですよ.....)。

また逆にうかつに素人が言うことを信じてマニュアルを変更したら大事になることもあろう。

ノーベル賞を受けたような権威のお墨付きの研究であっても、今では全くされていない手術もある。ロボトミーと言う前頭葉の左右を切り離す手術は今では完全に否定されている。同じことを薬でやっているが、それは良いらしい。

このページ面白いです。

問題はもう少し先なのだ。

もし、医師が自分が産院で出産するとしたらどう思っただろうか。そこで出産したら、10人に一人は死ぬのである。家で出産すれば死なないのである。「もし自分が.......」と言う観点がまったくないからこの問題は繰り返されるのだ。

自分の問題と考えれれないから、平気で殺せるのだ(生物学的意味でですよ)。

なせ、新しい病気が現れるのかと言う事が問題なのだ。

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現在、「生活習慣病とその後に来る合併症、難病、膠原病」と言われる「病気」の恐怖に私達はさらされている。

医学は為す術もない。

僕は、この50年間の社会の変化にその答えを見る。

専門家(医師や栄養士)は「家庭で食事を作らなくなったからだ」絶対に言わない。ご当人も作っていないからだ。

なぜか医師や栄養士は見た目が健康ない人が多い(デブはいない)。

だから、患者はおかしいと思うのだ。自分と異なった生き物に見えるのだ。だから、見殺しても気にならない。

地域に根ざした医療ってなんだろうか

よくそう言われるが、それは生きる場所と仕事の場所が重なっていた時代の話だ。

社会が小さく閉じていて、歩いていける範囲に職場があった時代のことなのだ。すでに「地域」と言う概念は消失している。

僕が小さい頃、町内に住んでいたお医者さんはご近所さんで家族を知っていて、お隣さんだった。彼は患者とともに苦しんだ。そして自分の無力さに嘆いたであろう。薬などと言ってもセイゼイ「頓服」程度。盲腸は大きな病院で時に死ぬこともあった時代だ。

いい時代だったとは思わない。汲み取り便所は怖いし、寄生虫も、結核での死も、恐ろしく簡単に人が死んだ時代だ。

失ったものは返ってこないが、新しいものを作るときには何を失ったのかを繰り返し見つめなければ、役人の好きなものが出来上がる。そしてそれは企業が金儲けのために吹き込んでいる専門家の意見なのだ。

年寄りを施設に隠して、「不老不死」を実現したかの本も多くでている。自分が死ぬまでの10年間をどんな風に生きるのか考えたほうが良い。

これは自分の問題である。

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注)医学史の本では「外科の夜明け」が面白かった。

狂言回しの医学研究者が様々な局面に出会っていくという構成である。麻酔が考えつかれてから心臓の手術が検討されるまでに一人の人の一生分の時間しか立っていないことが分かる。最初に読んだのは20代の頃だったと思う。医学って素晴らしいなと思ったものだが、今読むととんでもないことだ言う部分ばかり目につく。


科学史という点から考えると、アイザック・アシモフさんの「科学と発見の年表」以上のものはない。ちょっと値段は高いが、この本は素晴らしい。今探しているのだが、見つからない。確かゼンメルバイスについてもいいことが書かれていたような気がするのだが。

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注)近藤誠さんが嫌われるわけだ

僕は大好き。彼の本は随分前から読んでいる。糖尿病に関して書いてあることには余り賛成できないが。

ガンを2種類(ガンモドキとガン)に分けていらっしゃるが、まさにそのとおりだと思う。

僕も、「検査値の異常」にあたるガン(モドキ)と、「致命的な合併症」にあたるガン(治療しなければ死ぬ)があると感じている。

がんに関しての丸元淑生さんの本の記述も面白い。

随分前の本だったと思うが、ガンという状態になる前に「いい食事」をしなければならないと言う記述だ。残念ながら、その食事の内容は「オーソモレキュラーバンザイ」の食事の形なので、マイクロバイオームバンザイ派の僕は賛成はできないが。

お二人に共通する「苦しんでいる患者」の側に立つという姿は素晴らしい。

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厨房研究に使います。世界の人々の食事の価値を変えたいのです。