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10/9 イギリス旅日記: 産業革命の時代に思いを馳せる橋と船と博物館の街ブリストルBristol

私は2022.9〜2023.1の間、英国南西部のエクセター大学に交換留学しました。今シリーズは、エクセターを拠点にした英国内の様々な場所への旅行記です。コロナ後の鮮度が高い情報・長期滞在でなければ中々行かないような場所の情報も沢山掲載していますので、英国訪問を考えている皆さんの参考になれば幸いです。

このシリーズについて

本日の旅は、エクセターから北東に100km、セバーン河口の東にある都市ブリストルへ。ここは発明家ブルネルゆかりの地、産業革命の賜物である煉瓦製のクリフトン吊橋や2つの大博物館・世界初の鋼製蒸気船グレートブリテン号などを擁する見どころ溢れる都市である。

朝早く出発する時のコツは、前日のうちにミールディールのサンドイッチを仕入れておくこと。ひとまず電車に乗り込んで、それからゆっくり朝食を楽しもう。GWRは普通列車もクロスシートがデフォルトなので、よく寛げる。歯磨きも車内で可能だ。

Temple Meads駅着。線路4本を跨ぐトレインシェッドが出迎えてくれる。

PlusBusを提示してTemple Meads Connectionのバスに乗り込み、まずは最遠のクリフトンバス停へ。一般の住宅地のようなストリートを歩く。

見えてきた、1つ目の目的地であるクリフトン吊橋。1860年代に開通した、煉瓦製の重厚な塔に支えられた橋である。

眼下にはエイボン川の絶景が広がる。ほんのり色づきはじめた木々が美しい。最近はイギリスも本格的な夏を経験するようになってきたし、最早四季は日本だけのものではない。

さて…何やら入口には電話相談の案内が貼られている。自○の名所でもあるということだろうか…リアルである。

橋は現役で用いられていて、車は£1、歩行者自転車は無料である。てかこんな高い鉄線が張られてるってやっぱりそういうことじゃねーか。

対岸(西側)へ渡り切って撮影した写真。東側の塔は岩壁の上に立っており煉瓦の使用量が少ない。

橋の銘板。設計者ブルネルは生前に完成を見ることはなかった。

北東部には展望台があり、有名な写真はここから撮られている。こんなに重厚感ある吊橋って中々ないよね。19世紀だからこそ建設された。

クリフトンの教区教会。なかなか立派に見えるが、イギリスだとこれでも「地元の普通の教会」のレベルである。

センター方面に戻っていく。こちらはブリストル大学の建物。

そしてブリストル市立博物館へ。入場無料の博物館とのことだが..

吹き抜けのロビーに複葉機がお出迎え。これは凄い。

大英博物館はよく「盗品保管庫」なんて言われているけれども、ここのエジプト展示も結構凄い。

大型sea reptile (海棲爬虫類)の骨格。

party parrotのあいつ。実は絶滅危惧種で、保護活動の様子を取材したBBCの映像がバズった。

そして日本磁器を専門に扱ったコーナーがある。国内でもこの規模って結構少ないんじゃないだろうか?イギリスに来てから紙上や画面上以外でひらがなを見たのは初めてかもしれない。

足を伸ばしてカボットタワーというタワー?へ。螺旋階段式でまるで灯台のようである。

眺望は素晴らしく、大聖堂から河岸まで一望できた。

続いてブリストル大聖堂へ。

内部はやはり壮観そのもの。しかし、中心線が奥にかけて微妙に曲がっているのがわかるだろうか?私はどうしても気になる…

パイプオルガンの音が響く。大聖堂のパイプオルガンを聴くのは初めてかもしれない。本当に音がよく響いて素晴らしい。

ここで橋を渡って南側へ。やはり自家用ボートが多い。

南側にも無料の博物館「M Shed」がある。かつての工廠を再利用しているようで、乗り物に関する展示が多い。

二階建てバスは昔からの伝統である。

そしていよいよ本命のグレートブリテン号へ。世界で初めて進水した鋼製蒸気船であり当時世界最大、そしてこれまたブルネル設計。万国旗に彩られ本当に堂々としている。ちなみに他は皆無料だがここだけは£19の入場料をとる。

その高い入場料が何に使われているかというと、一つはこの"ドライ"ドック。湿度を低く保ち劣化を避けており、当時の画期的イノベーションであったプロペラスクリューも間近で見ることができる。

船体の反対側、鋼板の結合部がよく見える。ちなみにここは造船時のドックの場所をそのまま使っている。

Weather Dock (天気甲板)と名付けられた一番上の甲板。ネーミングセンスが素晴らしすぎる。

上級船員たちの会話。

イギリスは住所をストリートで表記するが、なんと船の中にもストリートを作っている。そして天窓から日光を取り入れており明るい。

しかし最下層の船室は過酷なもので、4人部屋で光も差し込まずベッドも短い。こんなかっこいい船で航海へ出るなんて!と羨みたくなるかもしれないが、産業革命の時代とはいえ今ほどの物量はなかったし格差も激しかった。

厨房なども見学可能である。なんと船内に動物の檻もあり、屠殺から調理まで船の中で行っていたのである。

船を出るとすっかり夕方。なんとM shedの蒸気機関車が動く場面に遭遇した。飾りの線路かと思っていたらちゃんと現役。イギリスの保存鉄道には恐れ入る。

テンプルミーズ駅へ戻ってエクセターへ。ブリストルは丸一日あっても駆け足でしか見切れない都市だった。日本ではバースばかり注目されるけれども、是非ブリストルまで一駅足を伸ばしてみて欲しい。

ちなみにここからは鉄オタ向け情報。切符をお土産にしたい人は、先に乗車券を発行した上で後から窓口で座席指定をしてもらうことをお勧めする(追加料金不要)。これだと乗車券と指定券(指ノミ券)が別々の紙になるため、乗車券が回収された場合でも指定券を家まで持ち帰ることができる。そして興味深いのは、座席指定が存在しない列車であっても、「列車時刻のみが指定され席番は**表示の指定券」が発券できるのだ。
マルス券も奥深いが、ナショナルレールの切符も研究すると中々面白そうである。

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