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ミュージカル「パレード」を終えて vol.1

皆さんこんにちは。
2021年初投稿です。
すっかり「見る専門」になっておりました。いかんいかん。
さて、先日ミュージカル「パレード」が富山にて大千穐楽を迎えました。
ご来場くださった皆様、支えて下さった皆様。誠に有難うございました。
如何でしたでしょうか。
お楽しみ頂けていたら幸いです。

ここでは話題作(問題作?)となったと噂のパレードについて出演者目線での考察を交えて綴れたらと思います。

レオ・フランク事件について

パレードをご観劇、またご興味が湧いた皆様で検索された方も多いかと思いますが概要を。

1913年4月26日にジョージア州アトランタにて13歳の少女メアリー・フェイガンが殺害されその容疑者としてメアリーが働いていた鉛筆工場の工場長レオ・フランクが逮捕されその後死刑判決を受けたものの、ジョン・マーシャル・スレイトン知事により終身刑に減刑されます。

しかしこの減刑に納得がいかなかった暴徒が移送先の刑務所からレオを拉致、私刑として殺害したという事件です。

「パレード」というのはメアリーが殺害された日が南軍戦没将兵追悼記念日で街ではお祝いのパレードが行われていたことを指しています。

作品の内容とのギャップに驚いた方も多いのではないでしょうか。私自身明るい話だと思い込んでいた為、初演台本を読んだ衝撃はかなりのものでした。

冒頭から降り積もる紙吹雪

開演は
M1「The old red hills of home : ふるさとの赤い丘」
で始まります。

ドラムロールから南北戦争に向かう若い兵士が栄光と自由の為に戦う事を力強く歌い、五十年後、片足を失った老いた兵士が誇り高く戦った戦争を語り、戦没者追悼記念日のパレードへと展開していきます。

「人は語れと云う 自由だった南部の日々を」

南北戦争後のアメリカ南部は北部に支配されそれまでの豊かさは形を顰め人々の心に大きな深い傷と影を落としています。
彼等を奮い立たせるのは「誇り」です。
スレイトンの演説中にも出てくる「我々は決して負けてはいません」という力強い言葉が南部人のコミュニティの強さとアイデンティティを確認させています。

奇しくもこの翌日にレオは逮捕されてしまうのです。


そして舞台上には大量の紙吹雪が降り注ぎます。

※初演より

これはまだ「降り始め」です。足首が埋まる程の紙吹雪が文字通り舞台を埋め尽くします。しかも一度も処理されることもなく終演まで幾度も降り続くのです。

時にそれは出演者の足を滑らせ、視界を塞ぎ、口に入り、「邪魔」以外の何者でもありませんでした。

この紙吹雪が何を感じさせているか。

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