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アメリカでPIになる

はじめに

この就活日記は2021年の夏ごろからJob hunt(就活)をしようと決意し、結果Jobサイクルを2回経験し、最終的に2023年の6月にWashUから夫婦ともに独立PIポジションのオファーを頂いた。
歴代の日本人先輩(五十嵐さん戸田さん)がTipsを共有してくれたのが米国で独立しようと思ったきっかけの一つになったので、次世代の人に役立てればと記録を残したい。過去の日本でPhDを取得した先輩方の記録は複数あると思うが(大変参考になりました!)、夫婦で同じ大学で2つの独立した研究室を持った経験談を共有してくれている例が見当たらかったので、手探りであることが多かった。次世代の似たような境遇の人に参考になれば幸いである。また、近年オンサイトインタビュー前にPrescreening interviewを行うのが一般的であり、そこでの最新のインタビューの仕方も共有できればと思う。

自己紹介

バックグランド

神経科学とタンパク質工学の両方のトレーニングを受ける。PhD+2年半ポスドク~特任助教を東大で研究する。PhDのみ(MDを持っていると別ルートがあるぽい)。
主なPaper(Nat MethodsとCellの1stを日本、Cellのco-1stを米国)
専門が学問の境界領域に相当するので、以下のような複数の多数の学部学科に志望した。学部学科によって、大学の個別カラー以上に違いがあるので、別のnoteで述べる予定である。
志望学部:School of Medicine、School of Engineering、School of Science、School of Pharmacy
志望学科: Department of Neuroscience、Department of Biomedical engineering、Department of Medical Chemistry、Department of Psychology

戦績

2年でR1大学に総計100か所くらい応募した。 
 Prescreening interview:2021年 3校, 2022年 13校
Onsite interview:2021年 4校 (no prescreening, direct zoom onsite interview)
2021年サイクルは最後のPandemic対策仕様でのインタビューでzoomがメインであった。
2022年 4校(prescreeningからのonsite, direct onsite interview, sprouse hiring)
Chalk talk経験値:Zoom、 Whiteboard 、Powerpoint

以上のように、複数のschoolで複数のタイプのオンサイトインタビューを経験したので、統計的に何かを言っても良いのでは無いかと思う。筆者はたくさんのインタビューを経験した中で、徐々にブラッシュアップし、最終的に複数の大学からオファーを頂くことができた(オファーを貰うまでに3回のオンサイトインタビューが必要であった)。しかし、出来ればインタビューを受ける前に知っていたら、より少ない時間をかけるだけで就活が進められただろうなと思うことがある。研究者は研究することが本分なので、後進には私の経験を糧に、省時間でオファーを貰えればと思う。

米国Job huntの一般的な流れ

0. 腹を括る

下記に記すように日米ともに就活はたくさんの時間と労力を要する。なんでPIになりたいのか、PIになってどうしたいのか考えてから応募すると良いと思う。一度、腹を括ったら諦めない。諦めなければそのうちjob offerは頂ける筈である。

1. 募集時期を見逃さない      

8月ごろから以下のサイトに募集がでる(Nature careers, science careers, NeuroJobs)
* 10-12月募集のピークに相当する。毎朝チェックする

2. Prescreening      

一般的に締切の3週間後くらいにPrescreening zoom面談招待がある(最短一日後、最長2か月後)。Prescreeningは15-60分と限られた時間の中でアピールしなくてはならない。ここで必要な能力はピッチ能力ではないかと思う。自分の考えをcrystal clearにしとこう。
Prescreening interviewの結果が良ければ、Onsite interviewに招待される。一般的に10-20人くらい招待されて、半数ぐらいがOn-site interviewに進める。

3. Onsite interview   

大学側がInterviewerを評価する回。これまでの成果を話すjob talkと将来展望を話すChalk talkがある。この2つのパートがとても大事である。なぜなら、この場のみが複数名の審査員とコミュニケーションを取るので、Search comittee内でのコンセンサスが取りやすいからと推察している。特に、Job talkはChalk talkの前に話すので、何でも初対面が大事なことから、Job talkが最も大事ではなかろうか。
だいたい2日間にわたる。FacultyとのOne-on-One Meeting 30-45分x10-15と複数のFacultyと一緒に食事の機会がある。学生とランチする機会もあったりする。
Onsite interviewの結果が良ければ、2nd visitに招待される。一般的に、Top candidateか2番手までが2nd visitに招待される。

4.  2nd visit

2nd visitまで呼ばれると、オファーを頂ける可能性が非常に高い。Interviewerが大学を評価する番。FacultyとのOne-on-One Meetingに加えて、PhD programや共通機器室を理解する。加えて、大学周辺の生活環境を理解する。

5. 正式オファー

複数のオファーがあると以下の点のネゴシエーションがしやすい。
主:Salary, Startup Funding, Space, renovations
副:Starting date, Moving expenses, Daycare slot for children

Job hunt前に準備すること

大前提
就活でオファーを貰うために、優れたPublicationは必要条件であるが、十分条件ではない。では他に何が必要だろうか?必要な要素を細分化すると100点くらいあるが、誰も100点を満たす人はいるわけではないのでご安心ください。就活を始めようという人はだいたい50-60点くらいの段階から初めて、残りの20-30点を就活時期に身に着ければ良いイメージ。何かが不足していても他でカバーできる可能性があるので、とにかく諦めずに挑戦することが大事である。100点全てを記載できないので、就活前まで準備しておきたいPublication以外に大事な要素を5点あげる。ここで記述したことは自分がかなり意識したことである。言い換えると自分にとって苦手部分なのであろう。自分が無意識にできていることは言語化しづらいので、就活に必要な要素の全てを網羅しているわけではない。
そう、日本語NativeはNon-Native speakerに日本語をどうやって獲得すれば良いかを教えられないのと同じですね。

(1)Grant獲得実績

アメリカでのbridge grant(K99のようなポスドクからAssistant Professor にかけてのGrant)獲得実績のことである。大学はcandidateが独立したあとも継続してGrant(R01)を獲得できるか吟味したいのである。従って、米国Fellowshipは無いよりマシだが将来NIH Grantを獲得できる証明になるわけではないので弱い。日本でのFellowshipやGrantはほぼノーカウント。アメリカの大学は日本のGrantやFellowshipのシステムを知らないので、残念ながら自分のように、日本で若手Bや海外学振、上原、かなえ、早石修フェローシップを取得した経験は全く評価されなかった。K99はPhD取得後4年以内なので、私のようにPhD取得してから2年半以上経過後に渡米した自分にはかなり厳しく、出さずしまいだった。PhD取得後すぐだとK99以外にも複数の米国Fellowshipの機会があるので、PhD取得後すぐに渡米することを勧める。Green cardがあると、K99以外のBridge grantの機会があるので、就活前に取得しておくと良いことがあるかもしれない。

(2)ネットワーキング構築

ネットワーキングは仕事である。非社交的(得意でなく)ても仕事の一環としてやるべき。米国の大学はcandidateに5年で2M$投資するのである。人柄やサイエンスに対する姿勢を全く知らない人より、多少サイエンス戦闘力(Publication、Grant etc.)が劣っていても、よく知っている人を採用したいのは当然なわけである。競争相手はPhDおよびポスドクと米国で経験しているので、アメリカでPhDを取得していない我々は単純計算すると半分のネットワークしか持っていない。従って、積極的に学会や大学内の集まりに出て、ネットワーキングに努めるべきである。

(3)Mentoring経験

PIになると、TraineeはMentoringするのが日々の業務の一つなわけなので、学部生や大学院生のMentoring経験はよく聞かれる。なので、ポスドクとして孤高に研究するのではなく、積極的に学部生や大学院生をMentoringする機会を持ちましょう。共著があると、指導実績になるので、そこを目指すと良いと思う。また、学部生や大学院生のMentoringを通して、よりアメリカの大学のシステムの理解につながるというメリットもある。現に自分も学部生のMentoringを通じて、研究だけではなく大学院の入試システムもざっくりと把握することができた。

(4)DEI commitment

学部生をTeachingする機会(例、School of Engineering、School of Science)ある、もしくはUC系の大学は非常に気にする。2020年のBLM運動以降より大事な要素になった。公立の学部生は本当に多様なバックグラウンドの人が来るので、DEIに対する思慮が無ければ勤まらないという考えなのだと思う。UC系は歴史的にDiversityに配慮が求められる土地柄なので、Medical schoolでも大事。変えられない属性(Race, Gender)で最初から選ばれないこともある。仕方ない。ただ、自分のこれまでの経験や属性に応じて、できることもたくさんある。自分はまずはDEIへの認識を深めると共に、advocateするためにStanford BioE postdoc JEDI チームに入り、Underrepresented Minorityのためのセミナーのオーガナイズをする。また、私は子持ちでもあるので、子ども扱いに多少の経験もあることから、Underrepresented Minorityの多い小学校に行って科学の授業を月一で行った。これらの活動はDEIの活動を問う箇所では非常に有効であった。とある場所のインタビューの1/3の評価項目はDEIだったりしたので、サイエンスに関係ないと思って油断するなかれ!また、学生さんとのランチで1時間にわたりDEIについて議論するとかもあるので、本当にDEI関する考えや経験がないと会話が持たない可能性があるので、ちゃんと考えを深めかつ経験値を高めるようにしておく。

(5)Teaching経験

学部生をTeachingする機会(例、School of Engineering、School of Science)のあるところは重視する。当然である。私はラボが3月一回ワークショップを開催していたので、その講師を5年以上やっていたのでTeaching経験を積むことができたのは幸いであった。一般的な研究室には受動的にはTeaching経験を積むことができない。その場合、Stanford 大学のように大学側がポスドクにTeaching経験の機会を与えることもある。教科書の内容を教えるというより、自分の研究内容やその周辺のトピックについて学部生や大学院生に教えるものである。あとはNeuromatchのTAとかでも有りである。

インタビューに際し3つの心掛けたこと

インタビューに呼ばれるということはcandidateの業績はすでに採用の基準に達しているのである。なので、業績が少ないとかで悩む必要はあまりない。大事なことは先方との相性である。筆者は複数のインタビューを重ねていくうちに以下の3つを心がけるようにした。

1.       軸
2.       Fitting
3.       Positive

3つに共通するワードは『Collegiality』である。常に将来のCoworkerとして相応しいか評価される。


  1. 評価の一つとして同僚と共同研究ができるかが見られる。その際に、自分の強みは何か、それに基づき将来的に何をしたいのか譲れないものを決める。そうすることで、常に軸がブレずに、誰にでも共同研究を提案できる。

  2. Fitting 
    1に関連するが、既存のデパートメントに何らかの貢献をしたほうが良いに決まっている。自分の強みや将来展望から、Departmentや大学とどんなシナジーが生まれるかを考える。

  3. Positive
    将来の同僚となる人はPositiveなキャラの人と付き合いたいはずである。何があっても、Positiveな答えを心がけよう。例:オンサイトインタビューで飛行機が5時間遅れて真夜中に到着しても、オンサイトインタビューの開始までに間に合って良かったと言えるような態度を心がけよう。

日本で人生27-8年PhDまで過ごして、日本の就活すらまともに経験していないと、面接でどう振る舞えば良いか困惑しませんか?
根っこにあるところは、日本の就活の面接と同じで面接官と当意即妙に会話のラリーをすること。ただし、細かくはアメリカ流のやり方があるので、アメリカのアカデミアに関係なくインタビューのHow to動画を見て勉強してください(job interviewとかで検索すると良、Ref1)。最後にAcademic就活向けのYoutube動画を見ると良いと思います(Academic job interviewとかで検索すると良、Ref2)。
Ref1 https://www.youtube.com/watch?v=5v-wyR5emRw&list=LL&index=9
Ref2 https://www.youtube.com/watch?v=8ThfJK8cL2M&list=LL&index=14

配偶者と同じ大学で2つ独立研究室をもつ

1人分のオファーを貰うだけでも大変なのに、そこからさらに配偶者の分のオファーを貰うのは気の遠くなる作業であった。ただ、アメリカの方が一般的に配偶者のjobについて配慮があるので、頑張るしかない。頑張り方には2通りある。
1. 最初から同じポジションに2人とも出して、夫婦でjobを探していることを匂わせる。我々の場合は苗字が同じかつ自宅住所が同じなので、普通の人なら気づくはずである(One-on-one meetingの時に、我々が夫婦関係であるのを見抜けないサーチは間抜けであるとまで言っているFacultyがいた)。従って、インタビューに招待されるとき、2人ともに呼ばれることがそれなりに多かった。その代わり、最初から1人分の採用枠が無いところだと、どちらか片方を採用したいと思っても招待見送りのリスクがあったと思う。ただ、招待さえされてしまえば、後の面倒な配偶者のための交渉は不要なので楽であった。
2. 夫婦で独立して別々のポジションに応募して、2nd visitオファーが出たタイミングで配偶者の存在を出すのである。一般的に、片割れの配偶者も別の場所からオファーをもらっていないと、オファーが出ないので、個別に頑張るしかない。この方法は配偶者にフィットした満足いくポジションを探して貰うのが大変である。正式なオファーではなく、2nd visitオファーなので、配偶者のポジションを見つけられそうもない場合はここで先方の態度が硬化し、正式なオファーが出ない場合もある。例えば、2nd visitオファーを貰ってから、配偶者のポジションの交渉を開始するので時間的に長期間かかるというデメリットがある。ただ、我々は両方の戦法を採用し、両方とも上手くいったので、どちらが良いとは一概に言えない。夫婦でどれくらい近い分野であるとか、業績の差がどれくらいあるかとかちょっとした条件でも考慮すべきファクターが異なりそうなので、一般論はなさそうである。

オンサイトインタビューTips

1. Comittee chairとは積極的にコミュニケーションをとる。

オンサイトインタビューに呼ばれたら、そこの大学のFacultyに連絡を取って、なるべく情報収集をする。Job descriptionに求める人物像が書いていないが、サーチ側に本当は欲しい人物像があることがある。そのサーチが何を求めているのか、あらゆるネットワークを駆使して聞き出そう。
これに加えて、オンサイトインタビュー中のスケジュールはIntervieweeが黙っていても決められるが、自分で積極的にお願いすると、自分の都合・ペースで予定を組める。例えば、黙っていると、最終日の午後にJob talkをすることもあった。そうすると、それまでにOne-on-One Meetingをする人とは一から自分の研究の説明する必要があり、イマイチ話題が盛り上がらないのを感じた。もし、インタビューの後半にjob talkの日程で入っていたら、お願いして、前半に持ってくることも場合によっては可能である。

2. トイレ以外では審査されていると思え。

One-on-One Meetingや会食時も全て評価されている。それに加えて、廊下を歩いている時も見ている人は見ているものである。背中が丸まっていてはFacultyとして相応しくないという悪印象を与える可能性がある。唯一トイレの個室のみはリラックスが許される空間である。

3.  Granola barを常備しよう。

予定が立て込みすぎて、ランチを食べる機会が無いかもしれない。そのような時はトイレで栄養補給しましょう。

4. Chalk talkにはペンと時計を用意しよう

さあ、Chalk talkだ。ホワイトボードに書こうとしたら、用意されているペンのインクが切れていたり、黒板消しが見当たらないことなんて、よくあることである。安心して進めるために、自分のペンと黒板消しのセットを持参しましょう。
また、Chalk talkでは時間管理は欠かせない要素である。しかし、部屋に時計がないことは珍しくない。そんな時のために、小さな目覚まし時計などを自分で持参し、さりげなく時間を確認できる場所に置いておくと良いだろう。

FAQ

1. Green Cardは必要か?

必要では無いが、あると上記のようにGrantやFellowshipの機会が格段にあるので便利。日本人はよく日本に帰国することが知られているので、どれくらい本気で就活しているのか、それとなく聞かれることがある。その際にGreen Cardがある本気で米国に残る気があるのを説得することができる一助になる。5K$くらいの投資で済むので、悪くない。詳しくは別note

2. インタビューにスーツを着るべきか?

マストか不明だが、セーフである。スーツ&ネクタイを着ることでCandidateの本気度を服装から伝えることができる。ラボのAlumni10人くらいに聞いた結果、全員がスーツを着ていた。みなさん口を揃えてスーツが無難なので、スーツを着たとのこと。Stanfordに来たCandidateもスーツを着ているので、西海岸といえども油断するなかれ。

3. 英語力はどれだけ必要?

話せる、伝わるだけではなく、Nativeレベルになるのが望ましい。
アメリカの学部からいるNon-Native speakerでも一般的にPrescreening interviewの戦績が悪いです。Zoom面談なので、よりVerbalな英会話力が試されるのでしょうかね。大学とちょっとフィットしない時にいかに挽回するか豊富な語彙力でリカバーする必要があるのかも。

4. 大量にApplicationを出すのが良いのか?少数に絞るか?

多くの人は最初のオンサイトインタビューはうまく行かないものである。従って、練習のつもり(失礼!)でも多くのところオンサイトインタビューをしてから、本命に望む方がよかったりする。斯く言う著者も最初のオンサイトインタビューで初めてのオンサイトインタビューかとDepartment Chairに聞かれてあえなく撃沈。以後のオンサイトインタビューでそのように聞かれたことは無いので、落ち着き方等挙動が変わるのでしょう。

5. 1年目に応募した機関で、書類審査落ちした箇所に2年目に応募することに意味があるのか?

イエス。同じ部局でも、年によって、欲しい人材像は変わる可能性があり、実際に該当するケースがあった。応募して損はないと思う。

6. ラボの同僚に就活経験者がいなくて、相談相手がいないことから、アメリカでの就活が上手くいくか不安である。

ラボ外にあなたの研究をよく知っている人がいれば、大丈夫!必ず、同じフロアか建物にアカデミア就活した人がいると思う。その人に自分の研究を知ってもらい、上手く自分の長所を伝えられない時に、その部分を指摘し、改善へつなげてもらおう。あなたの特性を理解していない人に聞いて貰うのも意味はなくはないが、大改善にはつながらないと思うので、ぜひラボ外にあなたの特徴を把握してくれている友人を持とう。また、海外でPhDを取得し、アメリカでアカデミア就活した人の話を聞くのも良いと思います。なぜなら、アメリカでPhDを取得した人とそうでない人では、いろいろスタート地点が違うので、その辺の苦労を知っている人から話を聞くと心強いからである。

7. アメリカでの面接経験が浅く、不安である。

自分も日本で就活したことも無く、せいぜい学振の面接くらいしか本気の面接は経験していなかった。超得意にはなれないけど、練習と研究でなんとかなるという感想である。肝は審査する側の意図を読み取り、それに対し如何に当意即妙に答えるかという、日本での一般的な面接に必要とされる能力と何ら変わりないと思った。
なので、日本語の就活用Youtube(内定チャネル)を気晴らしを兼ねて眺めて研究した。ただ、細かい言い回しはアメリカ英語特有のものもあるので、英語でもYoutubeも見て研究した。
練習は自主練習と身近な同僚とQ&Aをする。

8. Spouse hiringで気を付けたことある?

Department Chairと配偶者の両方に情報の透明化(報告)に努めた。そうすることに両者に対して、信頼を醸成できるのではと思いました。特に、配偶者は他からのオファーがあるにも関わらず、来てくれるのである。いかに他からのオファーに比べて魅力的かアピールした(汗)。また、n=2であるが、Spouse hiring枠で招待される場合、一般枠と比較して本番オンサイトインタビューの準備期間が短かった。配偶者と一緒に招待されているDepartmentの研究をしたり、家事分担を肩代わりして、短時間で万全の対策をするようにした。
配偶者の存在をSearch comitteeに伝える時に、配偶者を自分より優秀だから、貴大学にとってメリットしかないと伝えた。大学には2人も優秀な研究者を採用できて良かったねという態度で接した。謙虚になりすぎない!

参考文献

Making the Right Moves
HHMI発行による名著中の名著。PIとしてどうすればいいのかを網羅的に記載している。

 Future PI Slack
みんなの就職活動日記サイト的なもの。『敵を知り己を知れば百戦危うからず』である。毎年Google excelが更新されるので、閲覧リクエストを出そう。

website

自分の所属するDepartmentは公開Chalk talkではないので、自分でやるまで生のChalk talkを見たことが無かった。それでも、以下の参考サイトやYoutubeはChalk talkは何かを理解するのに役立った。

  1. Chalk Talk | Academic | Job Search Toolkit | JHM Professional Development and Career Office (PDCO) (jhmi.edu)

  2. Q&A: How to Give a Chalk Talk - Edge for Scholars

  3. Designing Your Chalk Talk for the Academic Job Interview (addgene.org)

  4. https://www.med.upenn.edu/shorterlab/Papers/ChalkTalk.pdf

有用なYoutube

Chalk talkとは何ぞやを把握できた

数少ないChalk talkの公開例
 https://www.youtube.com/watch?v=ttwqJ6EUZ9U

Faculty職としてコミュニケーションがいかに大事かを納得した動画

個別Meetingで何を質問すれば良いか?

子育て就活Tips

以下では子育てしている人向けのメッセージやTipsを共有したい。  

1. 前倒しで事前準備

オンサイトインタビューの時期は冬である。そう子供がよく風邪をひく季節でもある。大事なインタビューの前に限って風邪を引き、看病をするまたは自分に風邪がうつるものである。半分くらいのインタビューの機会で子どもの風邪の看病しなくてはいけないまたは風邪をうつされつつインタビューを受けることになった。従って、インタビューの予定が決まったら、十分すぎるほど前もって準備しよう。一度オンラインインタビューの当日朝に子供が胃腸の風邪による吐しゃ物の掃除をした1時間後にインタビュー開始という経験ありました。

2. オンサイトインタビュー時の宿泊 (Airbnbも選択肢)

ホテルよりAirbnb が良い場合がある。こちら側からリクエストしない限りは、大学から近いホテルを手配してくれる。ホテル宿泊のメリットはキャンパスの近くなので、朝ぎりぎりまで寝ることができることである。しかし、2人とも同じ場所に2nd  visitに呼ばれるということは子ども連れて行くことになる。一般的に片方が2nd visitしている間にもう片方がこどもの面倒をみることになるので、合計1週間程滞在することになる。我々はまだまだ好き嫌いが激しい3歳児がいたので、Airbnbに滞在して、軽く自炊していました。Airbnbだと部屋が複数あるので、visitする側は子供と別の寝室にして集中できるというメリットもあります。

3. ディナー時会話

子育てしていると、ディナーの時の会話に全く困らない。サイエンスの話になると各人強い哲学があるので、衝突する可能性がある。一方子ども関連のどこの学区が良いかとか週末子どもと何するかなど、当たり障りが無いが、こちらとしても住環境を知る上で大変有用なので、無限に話せる。子どもに感謝ですね。

あとがき

  • 就活はcandidateの研究能力だけでなく、コミュニケーション能力、これまでのネットワーキング力等を発揮しなければならない。誰しもが人生を賭して全力で臨む総力戦である。準備期間が大事であると同時に、多くの人のサポートを頂いた。恐らく、メンター、同僚、友人を含めると100人くらいアドバイス・叱咤激励を基に今がある。本当に周囲の人に恵まれたと深く感謝している。そして100人が100人良かれと思って異なる意見を言ってくれる。それを上手く咀嚼し、受け入れるかどうかがあなたの個性でもあり、腕の見せ所である。Be creative!

  • 100人の名前の挙げられる方々に加えて、これまでの多くの日本人がアメリカで築き上げた無形の信用もあったと思う。面識がない諸日本人先輩方に感謝である。

  • PhDメンターの尾藤先生やポスドクメンターのKarlの推薦書に加えて、要所でのアドバイスは、さすが亀の甲より年の功と思った。日頃からメンターとは良好な関係を築こう。

  • この文の作成にあたり、井上清香から有益なアドバイスを頂いたことに感謝したい。

  • 今後、気が向いたら、上記の項目のいくつかについて深堀りしたい。何かリクエストがあればコメント欄に書いてください。

  • 私の体験談が役立ったと思ったあなた、次は後進のためにあなたの体験談をシェアしてください。多分、精神的な部分では10年経っても劣化しないと思うが、インタビューの形式はoutdatedする可能性があるので、次世代の体験談は貴重です。

  • 色々思いの丈を書いたが、とりあえずやってみることが大事。考えすぎず、行動するのも大事。4サイクル目でJob offerを貰った実例も目撃しました。

他にFaculty Job Searchに役立ちそうな参考サイト
ここに書いてないOfferを得た後のことも書いてあるので、一読をお勧めする。



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