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【バフェットコード出資のご報告】企業情報のGoogleを目指す―バフェット・コード×グロース・キャピタルが拓く企業分析の未来

この度、ワンストップで効率的な企業分析を可能にする「バフェット・コード」を提供しているバフェットコード株式会社に私、嶺井個人として出資をさせて頂きました。

今回の出資の経緯、バフェット・コードが目指すビジョンをバフェットコード代表取締役の福田智宏さん、嶺井へのインタビューを通じてご紹介させて頂きます。

■ゴールは「企業情報のGoogle」


―最初に、バフェット・コードの事業と、今後のビジョンについて、福田社長からご説明いただければと思います。 

福田:今日はよろしくお願いします。当社は、社名と同じ「バフェット・コード」という企業分析ツールをウェブサービスとして提供しています。日米の上場企業の財務数値や株価指標といった定量的なデータや、会社概要・事業内容・IR資料・ガバナンスなどの定性的なデータを収集・収録しています。現在は日米の上場企業10,000社以上を掲載していますが、今後はスタートアップを含めた未上場企業も追加し、より網羅性の高いサービスにすることで「企業情報のGoogle」となることを目指しています。

バフェット・コード 企業概要ページ


―バフェット・コードというサービスを手がけようと思われたきっかけは何だったのでしょうか?

福田:きっかけの1つは転職した際の苦い経験です。私はもともと新卒で投資銀行に入社して、Bloomberg(ブルームバーグ)やSPEEDA(スピーダ)といったハイエンドな企業分析ツールを使って上場企業向けに財務やM&Aのアドバイザリー業務に従事していました。

そののちにIT企業に転職。今度は助言ではなくM&Aを実施する側になったのですが、転職先のIT企業では、投資銀行で使っていたツールが導入されていませんでした。買収候補企業を探すにも、企業のIR情報などから一つひとつ財務数値をエクセルに転記しながら計算する必要がありました。時間を掛ければできなくはないのですが、それだと1社分を完成させるだけでも数時間かかってしまう……。

嶺井:手作業でやるのは大変ですよね。

福田:1社ならまだしも、複数社、もっといえば、4,000社近くある日本国内の上場企業のデータすべてを手作業で処理して、スクリーニングをしていくとなると、とんでもない時間がかかってしまいます。財務データを使った企業分析業務は誰もがやる仕事ではありませんが、きっと私のように元々金融機関やコンサルティング会社にいて転職や独立した人の中には同じように困っている人が必ずいるという確信がありました。

嶺井:私もキャリアのスタートが投資銀行だったので、その事情はよくわかります。たとえば、スタートアップが既存ベンダーさんのサービスを導入しようとしても、コスト的に折り合わない。福田さんもその課題に直面して、もっと多くの人が使えるサービスを展開しようと考えられたのですね。

福田:はい。既存のサービスは法人契約のみのものが多く、そもそもツールの存在すら知らない人たちもたくさんいらっしゃいます。プロとアマのそのツール格差を埋めるために、個人・法人問わず幅広く使ってもらえるツールにしたい、もっと間口を広げたいという思いをもってスタートしました。

■話しかけるのをためらった理由

―福田社長と嶺井さんとの出会い、これまでの関係性についてはいかがでしょうか。 

嶺井: 2019年の春、アプリコット・ベンチャーズの白川智樹さん、サイバーエージェント・キャピタルの北尾崇さんに誘って頂いた集まりでお会いしたのが最初です。参加者は20人くらいだったと思います。

福田:私は白川さんにお誘いいただいて参加したのですが、嶺井さんのお名前は以前から存じ上げていました。ですので、会場で嶺井さんを見かけたときは、「あっ、嶺井さんがいらっしゃる!」「サービスについて知っていただくチャンスだ!」とうれしくなった一方で、話しかけようかどうか躊躇していました。嶺井さんはキャリアが一点の曇りもなくぴかぴかで、投資銀行時代の厳しかった上司と重なって勝手に怖そうなイメージを持っていました。そんなキレキレの嶺井さんに「こりゃダメだね」なんて言われた日には立ち直れないかもしれないと思ったからです笑。 

嶺井:そんなそんな……笑。「バフェット・コード、知っています! すごくいいサービスですよね」とお伝えした記憶があるのですが……。 

福田:はい。「ブルームバーグやCapital IQのようなサービスを目指すなら、こういうふうにしてみてはどうか」と、あたたかいフィードバックとエールをいただいたのを覚えています。 
 

深夜まで続いた白熱の議論

嶺井:その後、去年の秋、CFOの皆さんと集まった際もご一緒しましたね。そのときは、グロース・キャピタルのサービスも立ち上がっていたので、私から事業内容をご説明したり、福田さんからバフェット・コードの新サービスについてお聞きしたりと、密な情報交換ができました。 

福田:会の最中もいろいろとお話しできたのですが、2次会解散後に嶺井さんから「もう少し一緒に話しましょう」とお誘いいただいたのはうれしかったです。「こうしたらどうか」「こういうアイディアもあるんじゃないか」「これに関しては筋がよくないと思うから、こうしたほうがいいと思う」とか、終電もなくなった深夜にもかかわらず、バフェット・コードについて真剣に壁打ちをしてくださいました。

嶺井:あのときは遅くまで申し訳なかったです。CFOの皆さんとわいわいやっているその場で「こういうふうにブラッシュアップすれば、バフェット・コードの可能性が広がるのではないか」という話をするのは少し違うように感じて、3次会という名目で福田さんを自宅にお招きして、「バフェット・コードをどうしていきたいんですか」「こういうチャンスあるんじゃないですか」とか、酔った勢いでいろいろとお話ししてしまいました。 

福田:あのときいただいたフィードバックは相当刺さりました。

嶺井:たとえ善意のアドバイスであっても、愛情を込めて育てている自社のサービスについてあれこれ言われるのは、いい気はしないのが普通です。

ただ、福田さんは、「確かにですね。その視点はありませんでした」「そこは改善しようと思います」というように、私のメッセージすべてを、サービスをよりよいものにするためのアドバイスと捉えて議論してくださり、酔いつつも、「この人はすごい」と感じたのをはっきり覚えています。 

福田:嶺井さんは金融畑を歩んでこられたはずなのに、なぜ事業についてこんなにも説得力のあるご指摘をされるのだろうかと終始不思議には思っていました。しかし、腹が立つとか、嫌だったとかは滅相もありません笑。

嶺井:たしかに経歴としては、投資銀行出身で、CFOや今の仕事もファイナンス中心ですからね。

福田:そのあとで、学生時代から事業を立ち上げたり、上場企業のCFO時代には事業面も相当見ていらっしゃったというのを知って、「なるほど。そういうことか」と腑に落ちました。

少し言い方は難しいのですが、事業経験があまりない方からのアドバイスの場合、言葉が刺さらないことがあるのも事実です(もちろん、事業経験がない方から的確なコメントをいただくケースもたくさんあります)。その点、嶺井さんのコメントはとにかく説得力があって、考え方の幅が広がったり、計画の蓋然性を高められたり、やる気が出たり、反対にぐぅの音も出ない正論に凹んだり。もちろん凹んでもちゃんと立ち直れる隙も与えてくれるのですが。

嶺井:私が熱を込めて「バフェット・コードにはこんなチャンスがあると思います!」「もっとこうしたらどうでしょうか!」と語ったのには理由があって、すでに当社がバフェット・コードのユーザーで、そのよさを十分に知っていたからでもあります。 

福田:ありがとうございます。

嶺井:それも福田さんともともと知り合いだったから使い始めたのではなく、グロース・キャピタルのメンバーが、「こんないいサービスを見つけました」と言って使っていたのが、バフェット・コードでした。

それで私も使うようになって、「これは使いやすい」と思ったからこそ、ユーザー視点で、熱く語ってしまったのだと思います。

福田:その3次会のなかで印象に残っていることがあります。当時、なにをもってプロダクトがマーケットにフィットしたと言えるのかという点について考えあぐねていたので、嶺井さんに「プロダクトマーケットフィットって一体なんなのでしょうか」とお聞きしたら、「いや、もうフィットしているんじゃないですか。私たちが使っているんだから」とおっしゃってくださいました。いや確かにそうだよな、と。投資銀行出身CFO経験者が有料でご利用してくださっていること以上のフィットはないかもしれないと、大きな自信につながりました。

―嶺井さんは、バフェット・コードの特長をどのように捉えていらっしゃいますか。 

嶺井:当社グロース・キャピタルは上場ベンチャーの資金調達や成長のご支援を行っていますが、CFOの方と仕事をご一緒したり、面談する機会が多く、お会いする前には必ずバフェット・コードをチェックします。各社がそれぞれ公開しているIR情報はフォーマットがばらばらでチェックに時間がかかることがある一方、バフェット・コードはフォーマットが統一されていて、知りたい情報が一目でわかるので重宝しています。

福田:ありがとうございます。使いやすさにはこだわっています。先述した投資銀行時代の例でいえば、一次情報を求めて企業のコーポレートサイトに資料を探しにいくのですが、決算資料が公開される時期も違いますし、そもそも資料を掲載しない企業もあったりと、空振りしてしまうことが日常茶飯事でした。私がこれだけデータの海をさまよっているのなら、何百、何千、何万人という方々も同じ経験をしているに違いない。だったら、その手間を私一人が担えば、多くの方の時間をもっと有効に使えるのではないかと考えて、今のような設計にしました。 

嶺井:福田さんのおかげで、私というIRサイトの大海原で遭難しかけていた人間が救われました笑。そうした情報量や一覧性に加えて、スクリーニングや企業比較といった分析機能の豊富さも現場で重宝している理由のひとつです。M&Aに積極的な企業であれば、他のどのツールよりも細かく検索条件が設定できるので、買収候補企業の選定が捗ると思います。CFO時代の経験からも、企業比較機能を使って自社と競合他社の業績や市場評価を並べて印刷して定例会議で共有するようにすれば、経営幹部の間で定期的に企業価値についてディスカッションする素地にできるので便利そうです。

福田:ありがとうございます。まさにそうで、こうした分析ツールはいかに社内の経営上のオペレーションに組み込むかが重要だと思っています。調べ物や買収企業の選定などのスポットの使い方も重要ではありますが、それ以上に、定例会の報告項目の一つとして機能させて、定期的に経営陣の間で企業価値に対する意識合わせや感度のチューニングをすることは大切に思います。 

嶺井:そうですね。なお当社での組み込み例をひとつご紹介すると、バフェット・コードのWeb APIを使ってエクセルアドインを利用して業務の効率化を実現しています。
 

■出資によって生まれるシナジー効果 

―今回、嶺井さんが出資をされた理由をお聞かせください。 

嶺井:理由は2つあります。

これまでもお話ししたように、情報の網羅性、使いやすいUI(ユーザーインターフェイス)を兼ね備えているサービスそのものに魅力を感じたというのが1つ目の理由です。グロース・キャピタルで繋がりのあるCFOの皆さんが、情報収集する際にも役立つサービスだと思っており、サービスの紹介をはじめとして連携できるイメージも持てました。

2つ目は、福田さんの経営者としてのコミットメントの強さ、そして、これまでのご経験で培われたビジョンを実現する力に惹かれたからです。

今回の出資にあたって、バフェット・コードの将来性、足元の課題、バリュエーションに至るまで、福田さんと何度も議論するなかで、福田さんの経営者としての凄みを感じたからこそ、出資をさせていただきたいと私からお願いしました。

また、バフェット・コードの公式ツイッターのフォロワーが13万人を超えていることからもわかるように、バフェット・コードの発信は多くの投資家に支持されています。ただ単に企業情報を集約するだけでなく、サービスや発信がきっかけとなって新たな議論が生まれたり、投資に興味をもつ方が増えたりと、日本の投資環境の強化・底上げに確実に寄与している点もすばらしいと感じています。

バフェット・コード 公式Twitter


―続いて、福田社長が出資を受けられた理由についてもお聞かせください。

福田:嶺井さんに同じ船に乗っていただくことで、これまで見えていなかった新しい世界を見ることができると思ったからです。

嶺井さんは真摯に、真剣にバフェット・コードの事業と向き合ってくださっていて、ダメなところはダメとはっきりとおっしゃいます。企業の代表にとって、NOを言ってくれる人というのは貴重な存在です。お金という点でいえば、ありがたいことにこれまでも多くの出資のお話をいただいてきました。もちろん、お金も大切ですが、出資を受ける際は、胸襟を開いて壁打ち、ディスカッションすることで、重要な示唆をいただけるかどうか、見えていなかった世界に気付かせてくれる存在かどうか、潜在顧客とのリレーションの有無、今後の調達において果たしていただける役割などを重要視しています。嶺井さんはそれらの観点でこの上なく当社の企業価値最大化に一緒に取り組んで頂けると確信して株主になっていただきました。

嶺井:その期待に応えられるように、引き続きがんばりたいと思います。

福田:ぜひよろしくお願いします。
 

―福田社長、最後に今後の抱負をお願いします。

福田:私たちはこれからも企業情報の集約と分析機能の提供を通じて、上場企業やスタートアップの経営陣、投資家の方々の分析のサポートをしていきたいと考えています。そのためには引き続きハイエンドな機能開発はもちろんのこと、ツイッターでの情報発信に加えて、嶺井さんのネットワークをお借りしたり、的確なフィードバックをいただくことが欠かせません。まだまだ実現したい理想のプロダクトイメージの半分も実装出来ていないので、今まで以上によいサービス作りに邁進していきたいと思っています。嶺井さん、引き続きお力添えをよろしくお願いします。

嶺井:こちらこそよろしくお願いします。「企業情報のGoogle」を目指して一緒にがんばりましょう。

バフェット・コード
https://www.buffett-code.com/

グロース・キャピタル
https://www.gckk.co.jp/