東証再編は日本のベンチャーの成長を促す大きな前進
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東証再編は日本のベンチャーの成長を促す大きな前進

嶺井政人/グロース・キャピタル(株)CEO

昨日発表された東証再編後の各市場の社数を受け、

「殆ど変わっていないではないか」

「市場コンセプトを明確にして海外マネーを呼び込むという掛け声は何だったのか」

という批判的なコメントが多いですが、私は本再編は大きな前進だと思っています。
(もちろん早めに経過措置の期限提示をすべきとは思っています)

今回の再編では「海外マネーを呼び込む」というコンセプト、そして東証一部に上場する企業がプライムに残れるかというポイントばかりフォーカスされていますが、JPXは当初からもう一つ大きな課題への取組みとして本再編を位置づけています。

それは「上場後に積極的な企業価値向上を促す」という点です。

参考:JPX HP「市場区分見直しの概要」

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今回、成長を促す制度変更が複数行われました。

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■各市場の上場維持基準が新規上場基準に準拠
旧来は新規上場基準よりも上場廃止基準が大幅に低く、上場後に成長する動機付けが十分ではなかったが、今回の変更により上場後、新規上場時の水準を上回って成長を目指す動機付けに


■グロース市場では「事業計画及び成長可能性に関する説明事項」の年1回以上の開示が義務化
毎年、中計の発表とその振り返りが行われることで成長が促進

※実は昨年3月時点で、マザーズ上場企業の27%しか中計を開示していません(当社調べ)


■実質的に上位市場と考えられるプライム市場を目指す上で、以前の鞍替えより高いハードルが設定
旧来のマザーズから東証一部への鞍替え基準は時価総額40億円、過去2期の経常5億円以上だったところが、今回流通株式時価総額100億円以上、2期の経常25億円以上まで引き上げられ、成長していないと上位市場にはいけないことに

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あまり注目されていないですが、このような制度変更が今回の市場再編にあわせ行われています。

4月4日は再編のスタートラインであり、且つ日本のベンチャーの成長にとっては大きな前進であると思っています。

再編後、グロース市場の上場維持基準である「上場10年経過後40億円以上」という時価総額基準に抵触してしまい、上場を維持できない企業も多数生まれるでしょう。

※マザーズだけで本日時点で時価総額40億円未満の会社が116社あります

その結果、今までほぼ行われていなかった上場ベンチャー同士のM&Aもアメリカのように活発に起きると思います。

上記の上場企業の成長を直接促す制度だけでなく、こういったM&Aによる新陳代謝、合従連衡も含め、この東証再編が日本のベンチャーエコシステムをより強くするきっかけになると思います。




嶺井政人/グロース・キャピタル(株)CEO
上場ベンチャーの株式での資金調達と調達後の成長戦略の実行を支援することで、上場後のベンチャー企業が成長をさらに加速し、日本およびグローバルのトップ企業となることを支援しています。 モルガン・スタンレー証券(資本市場部、クレジットリスク管理部)/マイネット(CFO、副社長)出身