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夢見モグラは空を待ち侘びて 59日目

「空!」
モグラは自分を呼ぶ声に目を覚ました。
身体からはいくつもの見知らぬ管が生えていて、
両手両足は動かそうともぴくりともしない。
その節々はまるで沢山のボルト、金属で繋がれているみたいだった。
かろうじて動くのは瞼だけ。
まつ毛を上に引っ張る感覚で、
瞬きをすることで返事をしてみせた。
すると、すぐに見覚えのある白衣を着たオジイが、
いや、お医者さんがこちらに急いで駆け寄ってきて、
小さなライトで目の動きを確認する。
うわ、眩しいな、と思わずびくんと頬が揺れると、
隣でガシャンと、医療機材を薙ぎ倒し、
文字の如く音を立てて崩れ落ちる母。
おそらく手応え、感覚のないであろう手をぎゅっと握り締めながらも、
ぬくもりのある液体が辺りに染み渡るのがわかった。
父の運転する車が、
長い長いトンネルに差し掛かり、ヘッドライトで暗闇を照らしてから先の記憶は、
まるで昨日のことのように、いいや遠い日のことのように、
僕の記憶の中で、不確かなまま、確かに、存在した。


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応援の話。


いきなり結論から入ると、
僕は誰か読んでもらえる相手がいないと、文章は書きたいとは決して思わない。
だって、第一に面倒だし。時間かかるし。
あくまで何か伝える手段として、道具としての扱い。
それでいうと音楽は少し事情が違う。
例え聞いてもらえる相手がいなくても、自分でこういうものが聞いてみたいと思うものがあったら、作れるし、作りたいなと思う。
世の中に発表しなくたって構わないし、そんなものは沢山ある(もちろんそれを誰かが気に入ってくれたら最高だけど)。
フィギュアや絵画を飾っておくのと同じ感覚で、自分のプレイリストにお気に入りの音楽が増えれば、それで何か満たされる欲求がある。

つまり、自分にとって、文字を書く、書き続けるということは、
つねに相手がいる、相手をしてくれている人が存在していた、ということに他ならない。まず、応援してくださる皆さんあってのことだよなあ、という話。

それと逆説的に、受け取ってもらえる相手のことを、強く意識して書いている。
ではもっと、自分のため、自分自身のためだけに書いたらどんなものが出来上がるのか。それこそが、次に、きちんと表現、作品、と呼べるものに辿り着ける道筋なのではいかな、
と、ここでこの文章を書く毎日の中で、
ぼんやり見えてきたような。そんなところ。


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サポートの話。

noteにあるサポート機能を使って、
支援、金銭のサポートしてくださった皆様、ありがとうございます。

緊急事態宣言下(僕が思っているものとは少し違っていたけれど)、
こういう時こそ自分にできることは何かなと、
誰に褒めてもらうためでもなく、圧倒的自己満足のもと、目的地も特に定めず、見切り発車なまま勝手に走らせていた企画。


皆さんの目を奪う時間を、考える時間を、
僕にくださっていること自体がまず尊いし、何より財産ですというのと、

本音を言えば、堅苦しいものでも、砕けたものでも、曖昧さを含めても、
これだ!という完成品の文章だけをきちんとお届けできるのが理想なのですが、
それらを毎日継続的に繰り出そうとすると、
読み難かったり、興に浅かったり、
温かい気持ちで、我慢強く読み続けてくださった方も多かったのではないかと推測します。
それは自分でも痛感したし、率直に身内に意見されることもあったりして。指摘された時ウッとなるみたいな。(単に僕の力不足ですし、そういう意味でこの連載の僕の自己評価価格は0円のままであります。)

それでも根気強く見守って下っていた方々、
さらにサポートしてくださった方々に頭が上がりません。平伏。

他の方のnoteの記事の購入や、
新しい創作の資料の購入に充てさせてもらったり、
本やバンドのグッズを制作する時に必要であらば、
スタッフと相談しながら、
何かしら皆さんに還元できる形で使わせて頂こうと思っています。
あまり濁したくなかったので、改めて。
心からの感謝の気持ちをここに。

ラストスパート!と思っていたら、
どんどんゴールが先に設定されているということの成果なのか、
残り2週間?も余韻で走り切るだけの、
フォーム、ペース配分はなんとなく身についているような気がするので、
日々1つでも小さくでも良いニュースを届けられるように注力しつつなのですが、
何かしらは拵えられたらと思います。
最後までお付き合いいただければ幸いです。

それではまた明日。

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本日の表紙は__pepeandさんの写真を使用させていただいています。

褒められても、貶されても、どのみち良く伸びるタイプです。