願い事を端から順に叶えよう。

＜あなたに訊きたい７つのこと#7最終回＞

隣のテーブルで好きな歌詞の話をしていて聞き耳を立てていると、有言不実行成仏という言葉が耳に飛び込んできた。
“言ってること”と”やっていること”が違う人は嫌われるし、
逆にそれが揃っている人は見ていて気持ちがいい。
理想論で言えばさらに、
“言ってること”と”やっていること”それに加えて”思っていること”
きちんと本心が一致しているのが望ましい。

あなたがこれから出来るようになる予定のことを教えてください。

これから出来るようになる予定のことを他人に言う。
というのは、ほんの少しリスキーな行為だ。だってそれが出来なかったらカッコ悪い。それでも言う、というのが有言実行。
そうでもしないと頑張れない自分の尻を叩く以外にも、
もうひとつ良いことがあって、
それを聞いた周りの人は、あなたがきちんと誠実にそれを頑張っていれば、応援してくれやすくなる、というメリットがある。

仮に同じくらいの実力や才能があると思われる比較対象があって、
人は、頑張ってる人を、よりハングリーな方を応援したくなるもの。

人生の中でそういうのを毛嫌いしてきた部分がある。
俗にいう、頑張ってますよ感みたいなものは極力出ないようにするのが美学としてより美しいみたいな。
ただ歳を重ねて、当たり前のことを言うけれど、
頑張っていないより、頑張ってる方が200%エライ。

せっかくだから去年から弾き始めたピアノはバンドの役に立てたいし、
英語をある程度喋れないと困る状況になったのでなんとかする。
あと親孝行（主にゴルフ）。
歌やギターや製作執筆ははそもそも頑張る、という意味で割愛。
有言不実行、成仏しなっせ。

いても立ってもいられず、まだ飲み干していないままのアイスコーヒーをテーブルに置いたまま、会計を済ませて急ぎ足で店を出た。

放っておいて欲しいけど、構って欲しい。
五百円貯金のために寄り道して無駄遣いしがち。
好きなものには広がって知って欲しいけど、自分だけでそっと大事にしていたい。怒られないように生きている自分に腹が立つ。
好きな人のことを全部知りたい、けれどこれ以上何も知りたくない。
1人は好きだけど独りは嫌い。

「あなたの矛盾はとても面白いし、表現が正しいかどうかは置いといて、なんだかとても人間臭い。人が恋に落ちる理由なんてものは大体、その矛盾に興味を示すかどうか、ということが目安で、人を愛する理由なんてものもまた、その矛盾を許せるか、愛おしく思えるか、なんてところが相場じゃないかしら。」

あなたが抱えている矛盾があれば、ひとつ紹介してください。

世の中はツッコミどころを探している。
みんなが気持ちよく、なんでやねん！と突っ込む隙を作ってあげること、は、
とてつもない技術、才能だったりする。

「完璧である必要なんてないし、逆に矛盾のない人間がいたとしたら、
すごい人なのかもしれないけれど、退屈な人かもしれないよね。」

早速１つ上の質問と会話が矛盾しているのを、作者はまだ気づいていない。

ありがとう、ごめんなさい。あなたが使い慣れているのはどちらの言葉ですか？

例えば何か贈り物を貰った時、道を譲ってもらった時、
お気遣いいただいてすみません、がファーストチョイスの青年は、
肌感として、ごめんなさいの方を数としては使いこなして来たような気がしている。それはきっと遺伝というか、何を見て育ったかに大いに由来している。

言われて嬉しいのはどちらか、を考えれば、それは勿論頭の中ではわかっている。
ごめんなさいより、ありがとうの溢れる人生の方が、どうしたって幸せには近道で、可能ならばそちらを選ぶべきである。
ただ青年の場合は、中身としては同じ気持ちが入っているのだけれど、
反射的に出てくるのはごめんなさい、
きちんと頭を使って理解が追いついてようやく、ありがとう、
と言うパッケージに入れられて口から出てくる、という仕組みらしい。
言葉の外側と内側、入れ物と中身、それらをきちんと一致させながら、丁寧に生きていたいな、なんて思う青年は不器用で困る。

「願い事を端から順に叶えよう。」
いつか歌詞に書いたことがある。
身を削る、身を粉にする、という表現が正しければ、
人間も、それぞれのパーツ、つまりは心臓も考え方次第で消耗品だ。
鼓動の数が予め決められていて、いつかその音が鳴り止むこともわかっている。
そう思えば、やりたい事はやるべきだし、行きたいところには行くべきだし。
食べたいものも食べれば良いし、言いたい事は言っておくべきだし、
願い事は叶えやすいものから叶えていけば良いと思う。
いつか終わるものが終わらないうちに。

そして、そんなもの全ては憶えていられないだろうから、
忘れないうちに書き出しておくことをおすすめする。
いつもより夜が長く、いや、時間自体が間延びして感じられるこの季節は、自分にとって都合が良かったようにも思える。

Plastic Fountain Penを手にとって、その書き心地に意識を委ねて、
無意識を意識して順に書き出していくうちに、
自分が思っているよりも欲深いことに気付ていく。
もともと夢とか大志みたいなものを持ち合わせていないタイプの人間だ。
自分の周りを幸せに出来ない人間に、大事を語る資格もないし、説得力に欠けるとも思っている。
それでもおだてに滅法弱いのか、自意識の過剰分泌なのかはわからないが、まだ何も成し遂げていないことについて思いを馳せているうちに、
筆は思いの外滑らかに進んでいて、空はうっすら明るくなっていた。
もうそろそろ寝ないと、筆を置いてnoteを閉じた。

新しいドラマー探して、新体制を整えなければならない、かつコロナ禍。
一から出直しをするつもりが、
そのスタート地点がぬかるんでいてもはや沼というか、
ちょっぴりエキストラハードな環境にあった僕らも
ようやく準備の第一段階が終了したような。
まもなく良い知らせを届けられるはず。
物語はドラマティックな方が好みだし、
その条件で言えば、完璧以上の要素が揃っているように思える。

あなたの願い事リスト（PRAYLIST）の７７番目にありそうなことを教えてください。

もう一度武道館のステージに立つこと。
７７番目にはとりあえずこう書いておいた。

おわりに

永らくお付き合いいただいたこの企画、楽しんで頂けましたでしょうか？
欠かさずコメントやレスポンス頂いていたあなたも、一度きり、通りすがりのあなたも、大切で貴重な時間が、潰れずにふわりと膨らんでいてくれたら良いなと思いながら、いつもこの文章を書いていました。これから改めて本にまとめていくので、そちらも楽しみに。

言葉というものは、本来伝わるだけで、とても楽しかったり、安心することができますし、特に会話、インタビューというものは、もっとも手軽なおもちゃであり、薬でもあるとも思えます。
また、良いインタビューをされた後の僕は、心がふわりと軽くなったり、自分の中にある芯のようなものを再確認できたり、新しい自分を発見をすることがありました。これまでの記事を読んでくれていた方の中にも、もしそんなことが起きていれば嬉しく思います。

というわけで、あなたに訊きたい77つのこと。めでたしめでたし。完。

追伸、サポート頂いていた皆さん、ありがとうございます。スタッフに相談したところ、本を作る時に、ちょっと良い紙に出来るね、なんて喜んでいてくれたので、ありがたく、ちょっと良い紙、に使わせていただこうと思っています。それではまた、近いうちに。

BIGMAMA  　金井政人