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夢見モグラは空を待ち侘びて 57日目


モグラはまた朦朧とする意識の中で階段を登っていた。
その階段を登るたびに、
モグラの背丈は少しずつ大きくなったし、
体も一回りずつ増えていった。
はじめはヨチヨチと4本足でよじ登っていたが、
いつのまにか自分の力で立ち上がり、
最終的には2本の足で、
しっかりと地面を踏みしめて、
元気よく両手を振りながら、
一段一段と力強く段を駆け上がっていった。
ふと見上げると階段は雲の先まで続いていて、
その先の景色がとても気になった。
下を向くと結構な高さまできていた。
モグラは落っこちないように気をつけながら、
はやる気持ちをできる限り抑えながら、
先を急ぐことにした。

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未来で良い味が出てくる話。


コーヒーをブラックで、
と強がりでなく注文出来るようになったのは、いつからだろうか。
(子供の頃からブラックなんて人は確かにあまり聞いたことがない。)
ピーマンの肉詰めから肉の部分だけをこっそり美味しくいただき、
ピーマンの部分の処分に困りつつ、
結局母にバレて、飲み物と一緒に飲み込んだような。
暑い日にビールに、沖縄で食べたゴーヤチャンプルー。
苦いが美味しいってもしかしたら大人の特権なのかもしれない。

どうやら苦味や、酸味、は、
歳を重ねるにつれて自然と好むようになるらしい(調べた)。

また、苦いとか酸っぱいというのは、
表現として味覚以外にも使われることもある。
主に過去に対してのネガティブな評価をする時に多い。
苦い経験、とか、甘酸っぱい思い出、とか。

なるほど、確かに、
苦い経験や、甘酸っぱい思い出なんてものも、
大人になればなるほどその価値、旨味は増していく。
渋い過去を、生かすでも良いし、語るでもいいし、浸るでもいいし、
あればあるほどいい。その人の大切な財産だ。
逆を言えば、苦い経験、甘酸っぱい思い出のない大人なんて、
なんだかちょっと味気ないような、つまらない人間のような気さえしてくる。

つまりは、
今ちょっと辛いししんどいし、恥ずかしいし照れ臭い、なんて思う出来事があなたに起こっていたとしても、
それって大人になって、もう少し先の未来でいい味出してるかもしれませんよ、という話。それではまた明日。

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本日表紙はhortensia_blue__さんの写真を使用させていただいております。


褒められても、貶されても、どのみち良く伸びるタイプです。