夢見モグラは空を待ち侘びて ８日目

モグラが地下を流れる川の近くで寝そべって本を読んでいると、
顔に何か冷たいものが落ちてきた。
慌てて手で拭いながら、開いていたページが滲んでしまったのを憤り、
何もない天井を睨みつけた。どうやら上から水が漏れているみたいだ。
やい、と凄んで見たものの、返ってきたのは自分の声。
モグラは意地になってその場にもう一度寝転び、本を読み続けた。
今度はプーンと耳元で音が鳴って、
次第に首のあたりがとても痒くなってきた。何かに刺された跡があった。
やい、と凄んで見たものの、返ってきたのは自分の声。
モグラはとうとう諦めて自分の根城に帰ることにした。
帰り道でも枯れ葉が頬を擦ったり、蛙が股の間をすり抜けたりした。
少し機嫌が悪かったのだけれど、
「モグラには何かを魅きつける、力があるから。」とオジジに煽てられて、そう言われると悪い気はしなかった。

______________________________________________＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

人を魅きつける、引力の話。

詳しい方はお察しの通り2021年上半期のBIGMAMAは
「美しき我が人生を！」と声高に叫ぶ曲をセンターに添えた作品を中心に回る。

懇意にしているクリエイターの方が協力の程前向きに検討してくれているみたいで（嬉ぴ）、それが叶えば、大いに道が開けるのではないかという期待が膨らみ、
部屋の中で風船の如く天井に張り付いて浮かれているところ（怖）。
この作品の肝にも、また新たな入り口を解き明かす鍵にもなってくれればと思う。
いや、他力本願ではいけないのだけれど。

BIGMAMAというバンドのことがより好きになったり、
一人でも多く、魅力に気付いてくれる人を増やすきっかけにしたい。
でも例えばMVひとつ作ったとて、単純に出来上がりました！YOUTUBE見てね！
とそれで終わらせてしまっては、ライブやツアーも制限がある今は、広告と考えても一回見てハイおしまい！では元もとれない（それはしんどい）。幾多数多ある動画の中で、大海の中に一滴の雫をこぼしに行くようなことになりかねない。
ただでさえ勝ち味、旨味の少ないギャンブル、少々退屈、マンネリなのもある。
また、それを届けるまでの期間が空いてしまうのも含めて、アクションとして事足らないのも正直なところ。

真ん中に音楽があって、映像があって、文字があって、
ひとつの世界を作り上げて、
それが届く頃までに、いくつドキドキする場面を作り出していけるのか、今はそんなことを考えている。
脳みそを湯煎で溶かして知恵を絞っていかなければならないなというところ。

猫の手も孫の手も総手、総動員でウェルカム。大いに力も、時に知恵も貸していただきたい。どれだけの人を巻き込んでいけるのか、新しく人と出会うことも難しいこの季節で、表現として、人間として、人を魅きつける、その引力を改めて問われているように思う。それでは、また明日。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

本日の表紙は@m622o511eさんの画像を使用させていただいております。