アントニオ猪木の「最も」凄いところ
2022年10月1日
日本のプロレスを盛り上げたアントニオ猪木が他界。
金曜夜8時に放送されていた「ワールド・プロレスリング」を見て育ったプロレス・ファンな自分にとって、またしても1つの時代が終わった。
テレビでは
・モハメド・アリとの異種格闘技戦
・政治家としてのイラク人質解放
・北朝鮮との独自外交ルート
・闘魂注入のビンタ
・「ダー」のシーン
など、色んな場面を改めて見ると本当に凄いと思うのだが、
この記事では、もっと評価したいことを取り上げます。
自分が考える、猪木の最も凄いところは、
「猪木に憧れ、多くの少年たちがプロレスラー/格闘家になった」
ところだと思う。
いつもこのnoteではミュージシャンを取り上げているのだが、
自分が評価したいのは、名盤とかヒット曲を生み出したことよりも、その存在を見た少年少女が「自分もやってみたい」と思い、実際に行動してプロを目指す存在こそが、偉大な存在だと思う。
例えば、ギタリストでいえば高齢にも関わらずAC/DCのアンガス・ヤングが常に人気ギタリスト上位にいるのは「自分もやってみたい、できるかも」と思いプロになったギタリストが多いからではないだろうか。
ここでポイントは、素人が弾けない超スーパーテクニックを持つギターヒーローよりも、初心者でも頑張れば弾けるレベルが良い。
そういう意味では、不満を抱えた少年たちにバンドを組ませた
70年代後半のセックス・ピストルズや
90年代のニルヴァーナもそういう存在だと思う。
フォロワーが生まれ、増えると「シーン」になるような存在。
あと、真剣な音楽の視点からはあまり評価されづらい存在だが
M.C.ハマーを見てダンスを始めた人って本当に多いと思う。
日本ではここからダンスブームになり、後のエグザイルへと続くような。
という感じで、「まだ何者でもない少年(少女)達」にそのジャンルの興味を持たせ、実際にアクションを起こさせる人こそ偉大だと思う。
サッカーであれば三浦知良、お笑いでいえばダウンタウンのような存在。
それがプロレス/格闘技でいえばアントニオ猪木だと思う。
デビューが同じ日で、同時期に活躍した故ジャイアント馬場と比較される事も多いが、馬場さんは団体運営、外人招聘、マーケティングなどプロデューサー的な能力が凄かったのに対し、猪木はどちらかというとプレーヤーで輝く存在でした。(実際、猪木プロデュースの大会でどんだけズンドコな興行が多かったことか)
そしてアントニオ猪木が立ち上げた新日本プロレスからは多くのレスラーが猪木からプロレスを学び、次世代を盛り上げていく。
藤波辰爾、長州力、前田日明、高田延彦、船木誠勝、藤原喜明
タイガー・マスク(佐山サトル)武藤敬司、蝶野正洋、橋本信也などなど
そして団体内でスタイルを確立するものもいれば、他団体に分かれ独自のスタイルを創り上げ、その彼らがまた新日本に戻り、新しい競技を創り上げていって今日のプロレスや総合格闘技の盛り上がりがある。
恐らく今後もテレビでは、モハメド・アリ戦など目に見えやすい実績を取り上げると思うが、よく「社長は優秀な部下を育てるのが仕事ではない。 次の社長を育てるのが仕事だ」と言われるが、猪木もそこを評価したい。
似てるな、と思うのは
松下幸之助さんの塾から
京セラ、KDDI、JALの稲盛和夫さんが生まれて、
現在の社長達が生まれて日本を作っているように、
力道山が興した日本のプロレスを、
弟子のアントニオ猪木が引継ぎ、更に次世代が育ったこと。
そういえば、稲盛和夫さんも同じ2022年の8月24日という非常に近い時期に亡くなっているのは偶然か。
そして、時代は進む。
馬場さんとあちらで会うのだろうか。
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