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なぜ洋楽の邦題で「愛」が減ったのか

【結論】「よくわからない」
これをふまえて本文行きましょう。
一緒に考えていただければ嬉しいです。
 ↓


先日、洋楽チャートの本を読んでいて気づいたこと。

「昔は邦題が多かったのに、最近あまり見ないな」

ということで、70~80年代の邦題をこの「年間シングルチャート」で
大人の自由研究的に調べてみたので発表。
やはり邦題といえば「愛の○○」「恋の○○」が目立つので、
その2つと、それ以外の3つで調べました。

①「愛」と「恋」がつく邦題の推移

上が70年代、下が80年代。
もうぱっと見ただけで、80年代の「愛」の少なさが目立ちます。
ピークは1977年の14曲でそこから減っていきます。
特に80年代後半はかなり少ないですね。

「恋」に関しては「恋の○○」などたくさんあるイメージでしたが、
意外と多くなかったです。 あくまで年間ヒット100上ですが。

↓ 拡大してごらんください。

1970~1979年「愛」「恋」がついた邦題
1980~1989年「愛」「恋」がついた邦題


②「愛」「恋」以外の邦題の推移

こちらも書き出してみました。
「夜の○○」「悲しき○○」「涙の○○」など
文字が細かいので拡大してごらんください。

これも一目瞭然ですね。
やはり80年代後半の少なさよ。

1970~1979年「愛」「恋」以外の邦題
1980~1989年「愛」「恋」以外の邦題


③グラフで見る邦題数の推移

これをグラフで見るとこうなります。
愛:オレンジ
恋:黄色
その他:緑

グラフの目盛りの影響もありますが、それでも「愛」は77年にピークで
1982年に一度盛り返すも、その後また現象。
その他邦題そのものはどんどん減っていますね。
これは、なぜでしょう?

④「ハイスクールはダンステリア」事件

いや別に事件という程でもないけど笑
邦題の減少要因で一つ考えられるのは
「邦題にするとアーティストの意向が伝わらない」
というのが考えられます。

その代表例がシンディ・ローパーの大ヒット曲
Girls Just Want to Have Fun(1983 US:2 UK:2)

この曲、現在ではカタカナ表記で
「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」ですが、当時は
「ハイ・スクールはダンステリア」という邦題でした。

おそらく、当時自分のような中学生にとって
「Girls Just Want to Have Fun」は長すぎて覚えられないし意味もわからない
という気遣い?から邦題が「ハイ・スクールはダンステリア」になったのかもしれません。 ただ、それを知ったシンディが激怒してタイトルが変わったと発売元であるソニーのページにも書いています。

ちなみにアルバムも当時は「N.Y.ダンステリア」でした。
女の子が集う「カフェテリア」から創った造語的な?

こういう英語長文のタイトルを短くしたのは
デュラン・デュランの「Is There Something I Should Know?」が歌詞の一部である「プリーズ・テル・ミー・ナウ」とか
U2の「I Still Haven't Found What I'm Looking for」が「終わりなき旅」など80年代中期までは珍しくなかったと思います。
ただ、曲によってはだいぶ意味が変わってしまうので段々と減っていったのではないかなぁ、というのが根拠のない肌感覚の自分の考えです。


⑤日本の出生数と相関関係はあるのか


70年代後半からどんどん減っていった「愛」の邦題ですが、
それと同時に日本の出生数も減っているのが面白い連動です。

下の図の中で、青の四角が今回調べた1970~1989年の出生数。
「愛」邦題のピークは1977年で、第二次ベビーブームは1974年までとされているので少しのズレはありますが、80年代後半に向けて減少しているのは同じです。

「邦題の愛と出生数の減少」に相関関係がるかどうかは自分もよくわからず
景気や社会背景もあるとは思うのですが、非常に興味深いテーマです。

ということで、「なぜ洋楽の邦題で「愛」が減ったのか」の結論は
「よくわからない」のですが、なかなか面白い流れではないでしょうか。


最後に余談ですが、2010年代でも「あえて狙った邦題」があって

ケイティ・ペリー「Roar(2013)」
→「ロアー~最強ガール宣言!」
メーガン・トレイナー「All About That Base(2014)」
→「オール・アバウト・ザット・ベース ~わたしのぽちゃティブ宣言」
テイラー・スウィフト「Shake it Off(2014)」
→「シェイク・イット・オフ ~気にしてなんかいられないっ!」

と、「サブタイトル戦法」も散見されます。
いやー、個人的にはそのまんまでいいと思うけどなぁ(^^;


今回はこの本を参考にしました。
非常に高レベルなチャートデータ本なのでオススメです。
ちなみに定価は3000円。。。


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