見出し画像

コロナ状況下から、商品・サービスの選択行動について考えてみた~魅力度と距離と被視感~ #思考整理


2020/3/31のNews Picksの記事(参考記事※1)によるとコロナの感染抑止のために約23億人が何らかの生活上の制限を受けていたらしい。世界の人口が77億人ぐらいなので、約30%の人の行動が制限されていたことになりますね。

そんな行動が制限されているなかで、これまでの商売の方法では成り立たない状況が発生し、その課題にたいして改善するアイデアをみんなが出し合っています。ぼくもそこに少しで寄与できることはないかと思い、コロナによって変化した購買行動を基に、商品・サービスの選択行動を考えたてみたnoteです。


【ざっくりまとめる】

魅力」と「距離(時間)」は、人を引き付ける要素を上手く抽象化した言葉。

・その言葉はシンプルで重要な考える軸なのかもしれない。

「誰に見られているか(被視感)」を分析すれば、「能動的に選択される商品やサービス」の変化を予測する助けになるかもしれない。


商品・サービスの選択に寄与する”魅力度”と”距離”

コロナの爆発的な感染を止めるべく移動が制限され、世界の多くの人に影響を与えている商品・サービスの選択行動。

その何かを選択する基準をシンプルにいうと、自分が持っている選択肢の中から、欲している商品・サービスの「魅力度」と、それが手に入る「距離(時間)」を加味して選択しているんだと思うんです。

「魅力度」と「距離」。この2つの要素を目にしてもしかしたらピント来た方がいるかもしれませんが修正ハフモデルの分子と分母。

修正ハフモデルとは、特定のエリアにおいて、競合を加味して自店に来店する(吸引)確率を求めるモデルの事。

ざっくりいうと、商品・サービスの選択率は、その商品・サービスの魅力度に比例し、手に入れられる距離(時間)に反比例するというモデル。その2つの要素(魅力度、距離)は、商品・サービスの選択において、人を引き付ける要素を上手く抽象化した言葉だとぼくは思う。

式の話をもう少し説明すると、修正ハフモデルの式は、吸引率=魅力度/距離となる。魅力度とは店の面積や品揃え、雰囲気、価格帯、接客など人を引き付ける要素の総体となる。もちろん、引き付ける要素には優劣があり、業態などによっても異なる。距離の方は単純にお店までの距離(時間)。

式の使い方としては、自店舗と競合店舗の商圏内において、自社と競合間でどれくらい人を引き付けられるかを考えます。今回はこの式の要素(魅力度&距離)のみを使い、商品・サービスの選択行動について考えてみました。


商品・サービスの選択優位性(before コロナ)

コロナの状況を考える前に、コロナ前で大きな変化があった”距離”の方に注目してみたいと思います。10数年前であれば、商品はオフラインのお店で買うことが主流だった。そのため、基本的にはお店までの物理的な距離(移動時間)を考慮していれば良かったと思います。

現在はというと、ロジスティックスの進化により、注文して当日・翌日届くことが当たり前になっています。すぐ届くデリバリーサービスが一般化していますよね。

その結果、商品・サービス側から距離を縮めてくれることが多くなっている。そのため、距離はお店との物理的な距離(時間)だけではなくて、商品・サービス側からデリバリーという手段によって、縮めてくれること考慮しておくことが必要になっている。

もう10年以上、商圏分析についてのアップデートをしてないので、このあたりの計算はもっと複雑なっているかもしれませんが、魅力度と距離は引き続き重要な要素だと思うんです。


商品・サービスの選択優位性(with コロナ)

今の状況下で魅力度と距離の関係を考えてみたいと思います。感染を抑制するために行動が制限されている状況下では、物理的な距離がお店に客を引き寄せる大きなハードルになっている。

ただ、そのハードルは良い方に利く場合と、悪い方に利く場合の2種類がある。良い方に利く場合としては、これまで遠くのお店にお客を奪われていたが、距離の制限によって選択肢が狭まって競合が減る場合。悪い方に利く場合はこの逆となる。

これまで、商品・サービスの選択肢は学校や職場周辺もあったが、いまは住居周辺に縮まっている。ただし、先のように宅配サービスを提供していれば、人を引き付けるネガティブ要素としての距離の影響力は下がります。

また、未来の商品(クーポンなど事前払い商品)であれば、いま享受しなくてもいい。そうすると、物理的な距離を気にせずに購入する場合もハードルが下がる。ただし、これまでのお客と良好な関係性があり、惚れられていないと難しくなります。

一方、魅力度の方に注目すると、密集の回避が叫ばれている状況下において、店内の雰囲気という要素は、来店促進としての貢献度は下がる。不特定多数がくる前提条件下では。

逆に、テイクアウトサービスがあると魅力度が上がると思います。


ただ、見方を変えてサービス内容を、地域住民で一人や家族限定などにすれば、徒歩で密集しない空間の提供ができ魅力度が上がると思う。

購買を現在から未来にずらしたり、商品・サービスのポータブル性を高めたり、サービスを独り占めさせたりと、状況によって可変出来ることに注目して変えると、新たなサービス提供の糸口が見えてくるかもしれない。

そのあたり、新たなサービスの優位性を考える上で、参考記事※3を使い、いま好調な企業の要因から紐解いていくのも面白いかもしれません。


商品・サービスの選択優位性(After コロナ)

また魅力度と距離に注目すると、5フォース理論でいう代替品の脅威を考える材料としても使えるかもれしれない。

たとえば、ある遊興施設の魅力度がものすごく高く、体験する場所までの距離が長いサービスがあるとします。

エンタメを楽しむサービスで、
「距離が極端に短いサービスはなんだろう?」
「距離が短くて魅力もあるサービスはなんだろう?」
と考えてみる。

魅力度はそこそこでも、距離がものすごく短いので、スマホゲームに取られる可能性もあるかもしれない。

または、VR,ARの様な魅力度が高く、距離が短いサービスが競合になる可能性が出てくるかもしれないなと。

もちろん、圧倒的な魅力度に敵わないパターンもあると思います。

ただ2つの指標に注目して思考を巡らしたなかで、競合だと考えてもみなかったサービスが露出すれば、脅威に対して事前の対策を検討しておけるかもしれないと思うんです。

商品・サービスを選択行動に寄与する、魅力度と距離についてはここまでにし、もうちょとだけ、モノの選択に影響を及ぼす人に見られるコトについても考えてみたいと思います。


人に見られるコトの変化

商品・サービスの選択は、お店のポテンシャル(魅力度と距離)だけに依存するわけでなくて、誰に見られているかでも変わりますよね。その影響を与える集団を専門用語でいうと準拠集団(reference group)と言うそうです。

準拠集団とは、
個人の意識や行動に与える集団のことであり、家族や学校、職場・地域の友人グループなどが代表的である。ただ、個人が過去に所属していた集団や、これから所属したいと思っている集団も、準拠集団として個人の意識や行動に影響を与えることがある 出典:書籍_マーケティング戦略(第5版)より

準拠集団の影響度合いは、「必需品」か「贅沢品」かや、見られている集団によって変わります。

例えば、同じ時計でも腕時計はブランドを気にしがちだけど、目覚まし時計はほとんど気にしないですよね。腕時計は多くの人の目に触れやすいが、目覚まし時計は自分と家族以外にはほとんどみられないと思います。

準拠集団の影響は、人の目にさらされるものの影響は大きく、さらされないものの影響は小さくなります。また、必需品と贅沢品では贅沢品の方が周りの人の目を気にし、必需品は気にしないといった傾向があるそうです。

まとめる下記の表となります。

参考:書籍_マーケティング戦略(第5版)より

今回は、準拠集団の話の中でも、パブリックとプライベートについて焦点を当ててみたいと思います。見られるのがプライベートだけなのか、それともパブリックなのかについてを。


人に見られるコトの変化(with コロナ)

コロナ状況下では、人との接触機会が減っているため、準拠集団の目を気にしなくなり化粧品や行動にともなう医薬品の需要が減っているそうです。詳しくは下段の参考記事の※3をご参照ください。

また現在、これまでプライベートであった家の中は、パブリック化していると思うんです。

これまで自分の部屋を人に見せる機会は少なかった。でも今は、zoomなどを使い、インターネット経由で部屋を見せるこが多くなってきていると思う。(意外とバーチャル壁紙にする人少ないなと。)

部屋がパブリック空間よりに変化すると、人の目を気にし始めてブランド品を選択する方向に変わっていく可能性もあるのではないかと思うんです。これまで、どれでも良かった目覚まし時計がパブリックにさらされることで、おしゃれなものになったり、インテリアに気を使うようになったりと。

見られるという行為は人の選択行動に変化を与え、コロナ後もリモートワークの比率が伸びていけば、モノ選択にも影響する。そうすると、ブランド買いするする商品・サービスが変わってくるかもしれないなと。


まとめ

今回、商品・サービスの「魅力と距離の関係」と「人の目による選択の変化」を考えてみました。改めて思ったのは、未来は予測できないなので複数のシナリオをつくり、その課題に対してどう対処すべきかを事前に考え、対処できる幅を広げておくことは重要だなと。

また、シナリオでいうと、今は物理的なウイルスですが、オンライン上でウイルスが発生し、インターネットを使えない状況が発生したらと思うとぞっとしますよね。今度そのあたりも考えてみたいと思っています。

少しでも何か気づきを与えられていたら幸いです。



参考記事

※1【完全図解】人類史上初。ロックダウン・エコノミーの全て


※2【全リスト公開】250社の最新データから見えた「10の新習慣」


※3コロナで「売れた」「売れなくなった」商品TOP30


【図解】最新版:新型コロナのすべて



よろしかったらTwitterのフォローをお願いします!!


いただいたサポートは本の購入費用に充て、みなさんの新しい知識・視点の発見に少しでも寄与できればと思っています!