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フラッシュ 05

会議室につくと、すでにモニタにラボナ天文台のスタッフ二名が映し出されていた。明石は名前と所属を簡潔に伝えた。相手はラメルテ高等研究所からやってきている天文物理学の研究員、フランク・テーラーと電波望遠鏡上級技師のニコラス・バチェレだった。

「当研究所がキャッチしたニュートリノの詳細なデータについてはすでに拝見されていると思います。爆発源の恒星の特定状況はいかがでしょうか」明石が訊くと、技師のバチェレが恒星の位置を答えた。

「赤緯、赤経は割り出せました。超新星爆発の可能性がある恒星としてマークしていたどの赤色巨星にも該当しません」バチェレが答えたあと、テーラーが続けた。

「我々は『ミニットマン』について、まったくケアできていなかった。恐らく世界中のどの天文台も同じでしょう」テーラー博士は学者が通常用いる全天星表の天文カタログに明記されている英数の記号名ではなく、一般的な愛称を使った。同時に天文カタログに画面を切り替えて、該当の巨星の公式名称である『Z136a1』を形式的に指し示した。

「超新星爆発を起こす気配はなかった。少なくとも我々天文学者からすれば安定しているように映っていた。たとえ爆発寸前だったとしても、人類の時間感覚から考えるととても現実味がない時間です。何百万年後か、はたまたもっと先なのか……。しかし、今現在爆発は起こっている。

すでにラメルテ連邦の超新星爆発早期警報システムと北極の観測所から警報が発せられている。間違いなく、超新星爆発が起こっています。これは驚異的な天文学的事実です」恒星研究において世界的権威のテーラーの陶酔に満ちた表情が事の重要性を物語っている。

「赤色巨星の核融合が完全に停止して、自重で潰れて大爆発を起こし、ニュートリノが今まさに地球に到達した。今後、衝撃波がミニットマンの表面に届くと、ミニットマンは青白い輝きを放ち始める。遅くとも二、三日中、早ければ明日にでも誰にでも眼で確認できるようになり、一時的に人類はふたつの太陽を経験することになるでしょう」

明石は職域を外れているとわかっていたが、テーラー博士に説明を求めた。

「地球に到達するエックス線やガンマ線の量を早急に割り出すことは可能ですか」その質問に対してテーラーは、誠実に、そして淡々と答えた。

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