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父の帰宅 46

わたしの母からマサへ

ところで今日、保健所の精神保健ケースワーカーと市役所の生活保護担当に聞きました。保健所では、パニック障害やPTSDの人は兵庫県立精神保健センターに電話をかけてみるといいといわれました。電話相談にも応じてくれるそうです。とくに阪神大震災のこともあり、そういう人が多いので十分な相談に乗ってくれるはずとのことでした。

生活保護については、まず本人が自分の今住んでいる市役所の福祉事務所に相談に行ってくださいとのことです。住民票がそこになくてもOKです。申請から二週間以内に決定と法律で決まっているので自分の窮状を訴えること。聞かれることは、病気については今かかっている医師の診断書が必要。

あとは資産関係。預貯金など、これもありませんといえばだいたい通る。親族関係。親に聞くと見つけられるので問合せして欲しくないと現状をいえば聞いてもらえます。

お金が下りるものは、医療扶助、生活扶助、住宅扶助などの実費が支給されます。決定までの生活費は市の社会福祉協議会で、小口融資として無利子で貸してもらえます。

というわけでいろいろ書いたけどとりあえず緊急を要することは理解できたうえで、一人一人の生活がちゃんと憲法で保障されているのだから気を使いながら周囲の人を当てにするのではなく市民の権利として、制度を使って欲しいととりあえずいいたいのです。

とにかく、事情を遠慮なく話して相談すること。お役所って「申請主義」といって本人から申請しないと動けないのです。よく「孤独死」というのが報道されるけどこんなになるまでなぜ周囲は何もしなかったのかと非難されるけど、本人がどんな援助も拒んだら、周囲は何もできない仕組みなのです。

そしてマサはわたしが紹介した生活保護のサイトからA4紙で一六枚印刷して、自分に必要な生活保護の法律を頭に叩き込んだ。どんなことをいわれても反論するために。マサの部屋にはピンクの蛍光ペンで線が引かれた生活保護の法律についての冊子が何冊もあった。

わたしの母からのメールを読んで、マサはまず神戸の役所にいったが実際に生活保護の支給をするのは住民票がある自治体なのでまずそこに行ってくれといわれた。

マサはこれは国の管轄ではないのかといったがだめだった。マサは橋本クリニックに提出するために作成したレジュメをすべて役所に持っていった。さらに民生課の人間にまず現状を把握してもらためにレジュメを作った。

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