アナザートレインじゃなくて、ネクストトレインだったなあ
東京に住んでいると時々、
外国人観光客に声をかけられることがある。
例えば、この電車は〇〇に行くのか?というような具合で聞かれることが多い。
そういう時、僕はその人達と何の関係も無いはずなのに、
「めちゃめちゃ正確な情報を伝えて助けになりたい」と思ってしまう。
あと、「自分の伝えた情報が間違っていたせいで、むしろ相手に損をさせてしまう」ということを避けたいと思ってしまう。
だけど、
自分の英語力ではこう、うまく言葉にできなくてすごくもどかしい気持ちになることが多い。
今日もこんなことがあった。
僕はなんとなくぼんやりと甲府行きの電車に乗っていて、
特急通過のためホームでしばらく停車中、
外国人の親子に声をかけられた。
「この電車は新宿に行きますか」
子供を連れたお父さんは電車のナビアプリが起動したスマホ画面を見せてきた。
その画面は英語がいっぱいですぐには読み取れず、僕は一瞬わからない、、!と小さなパニックになった。
だが、この電車は甲府行きだから、
新宿とは反対方向だということは分かる。
だけど、新宿に行くには反対の電車に乗らないといけない、という言葉がうまく出てこない。
それに、反対側のホームの電車に乗れば新宿に着くのかは僕にもわかっていない。
僕は早く答えないとと焦り、親子に向かって、
「ノー、アナザートレイン」
とだけ言った。
するとお父さんは、「アナザートレイン、OK」
と言って停車中の電車を降り、ホームの階段を走って上がっていった。
新宿行きの電車に乗るために、違うホームに行くということだろう。
だけど僕は謎の完璧主義が働き、「もっと正確で親切な情報を提供すべきではなかったか」と
親子が去った後も考えこんだ。
僕は降りる必要もないのにホームに降りて、電光掲示板を見た。
すると、
僕が乗っている停車中の電車が出発して10分後に、
新宿行きの電車が同じホームの同じ番線にやってくることがわかった。
上りと下りの電車が同じホームに来るのは分かるけど、
同じ番線に来るのは結構珍しいと思う。
僕はてっきり駅の作り的に、
反対方面に行くためには違うホームに移る必要があると勘違いしていた。
だから、アナザートレイン、と言ったけど、
正確には、ネクストトレイン、と言うべきだったのだ。
そうすれば、わざわざホームから階段を駆け上がり、新宿行きの電車を探して彷徨わせることもなかったのだ。
何なら、お父さんが見せてきたナビアプリの情報をちゃんと見て、自分のナビアプリでも同じ電車の情報を検索し、
「新宿には、◯番線で◯時出発の電車に乗るといけますよ」
ということをスマートに伝えられれば良かったのに、、
ということをウジウジと後悔した。
僕はこういうことが人生で結構ある。
道に迷っている人に声をかけられて、親身に答えたいのに、うまく言葉が出てこなくて、
後から「もっとこうすればよかった」「あの人はちゃんと辿り着けただろうか」と心配してしまう。
それは主に、助けられるはずだった相手を助けられなかった、という罪悪感を持ってしまうからだろう。まあそれは考えすぎなんだろうけど。
あの親子は無事に新宿行きの電車に乗れただろうか。
まあ、新宿だと思ったら甲府に着いてしまった、という最悪のパターンだけは避けられたと思えば良かった。
あの親子の日本観光が良い思い出になることを願う。
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