これからニンジャを始める貴方へ 壱:ハウ・トゥ・ドゥ・ニンジャ

「ニンジャスレイヤーなー、読もうとは思ってるけど敷居高そうで読めてへん」

――先日友人から言われた言葉はおおむねこんな感じでした。


ドーモ、初めまして。私はΦです。善良で怖くない。

『ニンジャスレイヤー』。巷で話題に出すと「アッ、あのアイエエエの小説?」と返ってくるならば御の字、実際は名前も聞いたことがないという人が多い。世界とは広く、私たちニンジャヘッズ(註:ニンジャスレイヤーのファンのこと)の世界はかくも狭い。

そうした中で、ニンジャスレイヤーをどのような形であれ知ってくれている人がいるのは嬉しい。だが記事アタマのように、一歩先の底なし沼へ踏み出せないままでいるというのは残念だ。ナラクの底から伸びる無数の手である私たちニンジャヘッズは、深淵を覗き込んだ貴方を逃がしたくない。そのためにこの記事を書くことにした。逃げるなら今のうちだ。









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Welcome to Neo-Saitama!

まず、『ニンジャスレイヤー』とは何かという認識を統一するために、2分ほどかけて貴方の脳をハックする。怖がらないで、PVを見ていただくだけです。


……私も初めて見たときは混乱したなあ……。

理解しがたいあらすじを見ながら、それでも少なくとも一つ、真に理解できることがあるはずだ。貴方はPVの最後に豪雨に打たれながらもその威容を見せつける派手な表紙の書籍を見た。すなわち、ニンジャスレイヤーとは小説であり、読むことができることがわかったはずだ。コミックやアニメでニンジャスレイヤーを知った人もいるかもしれないが、あくまで原作は二人のアメリカ人、ブラッドレー・ボンド(Bradley Bond)&フィリップ・ニンジャ・モーゼズ(Philip Ninj@ Morzez)により書かれたサイバーパンク・ニンジャ小説だ。この小説がいかにして日本で翻訳されるまでになったかについても長いドラマがあるのだが、今回は割愛させていただく。あとサイバーパンクという聞きなれない言葉についての説明も今は控えさせていただく。デリケートな話題なのです。

さて、小説とは言ったが、私は貴方を急かして書店に走らせるつもりは今のところない。何故か。ニンジャスレイヤーは非常に独特なビジネススタイルをとっており、ほとんどのエピソードがインターネット上で無料で読めるようになっている。先ほどのPVで宣伝していたのは、それらを加筆・修正し、挿絵や書籍限定エピソード、ニンジャ資料などを追加した完全版だ。つまり。貴方はインターネット上で先にエピソードを試し読みし、ハマったら書籍を買う、といった無駄のないニンジャ体験ができる。

記事アタマの「敷居が高そう」なんてとんでもない、貴方がこの記事を見ているスマッホやPCでグーグルなんかを開いて『ニンジャスレイヤー』と検索するだけで5分もかからず読み始められる。なんなら今このページを閉じて検索してくれてもかまわない。でも出来れば最後まで読んでくれると嬉しい。

通信的ユビキタスな現代社会において、貴方は生活のどこからでも簡単にニンジャ世界にアクセスできる。通学・通勤で電車に揺られているときに見るのは単語帳やネットニュースではなくニンジャ……。優雅な午後にコーヒーのおともに用意するのはルマンドではなくニンジャ……。夜、布団に潜り込みながらニンジャ……。貴方の望むようにニンジャできる。これがニンジャスレイヤーの魅力の一つだ。私の場合は就寝前に時間をとって、柚子茶とか飲みながらニンジャしていることが多い。


続いて、具体的にどこに行けば読めるのかについての説明に移る。ニンジャスレイヤーはTwitter上の公式アカウント(@NJSLYR)で今現在も翻訳・連載されている。最新のエピソードを読んでみたいなら公式アカウントをフォローするのが一番だ。

このような幾何学模様が飛んだ時、更新が始まる。連載は不定期なので、通知機能でも設定してのんびり待っていよう。時間帯は主に昼から夜、金曜ロードショーとかがあるとその時間にぶつけてくる傾向が有るとか無いとか。


では過去に連載されたエピソードは?ニンジャスレイヤーは2010年からTwitter連載を続けている。ツイート数はもうすぐ70000に届こうかというところだ。どうやったって遡れるログの量じゃない……。

そんなときはまずここに来よう。ニンジャヘッズ有志によるWikiだ。ここには過去のすべてのエピソードのあらすじやキャラクターのデータ、作中用語からニンジャヘッズ間で使われるスラングまでもが網羅されている。

そしてこのWikiで読みたいエピソードのページを開くと、

このようにまとめというものが併記されている。これはTwitterの複数の投稿をひとまとめにできるTogetterというサービスを利用して、過去のエピソードが保存されたものだ。

一番上の『◆まとめ◆』を選べば、本編のツイートのみがまとめられたシンプルでミニマルなものが読める。

『◆実況付◆』は当時リアルタイムで読んでいたニンジャヘッズの反応も一緒にまとめられているので、お好みでどうぞ。ただし、考察や他エピソードのネタバレを含む可能性もあるので注意。

また、いくつかのエピソードは再放送されたことがあり、そのときに多少の修正が加えられている場合もある。その場合は上のように『◆再放送まとめ◆』がある。

また、Togetterは小説を読むには目にやかましすぎると思うなら、ニンジャヘッズ有志によって開発されたリーダーアプリがおすすめ。貴方がAndroidユーザーなら「Njslyr Reader」、iPhoneユーザーなら「NJRecalls」が使えるはずだ。これらは非常に便利で、かつ無料。開発者様には感謝してもしきれない……。


もちろん、「電子で読むのは性に合わないぜ」と最初から書籍を買いに書店に行く強いニンジャ行為も大歓迎。巨大でカラフルなトーフみたいな本を探そう。書店によって置いている場所がまちまちなので注意。海外文学の棚でシャーロックホームズとかクトゥルーに囲まれてたり、ライトノベルの棚の近くでカワイイな女の子イラスト表紙に混ざってジゴクめいた眼光を向けてきてたりする。

また、ebten内の特設サイトからは、Tシャツやステッカー、スシ皿などがついてくる特装版が購入できるので、書籍購入時は一度検討してみてね。想像以上にいいものが付いてくるよ。

ニンジャスレイヤー物理書籍公式サイト

ebten内特設サイト「コケシマート



いかがだっただろうか。ニンジャスレイヤーがお手軽に踏み込める場所だと理解してもらえただろうか。これだけエントリーが簡単ながら、既に存在する多種多様・膨大な量のエピソードは貴方を飽きさせない。私自身、ニンジャスレイヤーに初めて触れたのは2013年頃だったが、そこから現行で連載しているエピソードまであらかた読み終えるまでに2年ほど要したように記憶している。もちろんすべてのエピソードを読む必要は全くないのだが、一度読み始めるとほかのエピソードが気になって仕方なくなってしまった。どうか軽い気持ちで手を出してニンジャ中毒スパイラルに嵌ってほしい。大丈夫だよ……怖くないよ……。こっちにおいで……。

これで一人でも多くの人がニンジャスレイヤー本編に触れてくれるならば、それに勝る喜びはない。

今回は「どうやって読むか」を解説したが、次回は「何から読むか」について少しアドバイスめいたことをしてみようと思う。


(……奥ゆかしさだ。奥ゆかしさを知れ。これで終わりじゃない。ここから始めるんだ。お前自身が。カラテのドーを知った、ただそれだけで慢心すれば、そこまでだ)
――シルバーカラス (ニンジャスレイヤー第一部エピソード『スワン・ソング・サング・バイ・ア・フェイデッド・クロウ』より)


オツカレサマドスエ!



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