カーテンコールで絶対にやっちゃいけないこと
演劇を創ろうと思った時、最初に思い浮かべることの99.9%が「面白い作品を創るぞ!」だと思います。
脚本家、演出家、キャスト、スタッフ全員がこの想いのもとひとつの作品を創っていきます。
ですが「面白い作品を作るぞ!」ということに重点を置きすぎるあまり、いつの間にか「面白い作品さえ作ればいいんだ!」という考えにスライドしてしまってると感じる公演にたまに出会います。
そういうのってたぶん作り手が作品の内容にしか目がいってないからなんですよね。
例えば、お洒落なレストランで「めちゃくちゃ美味いパスタを作るぞ!」と意気込んだシェフがパスタ作りに邁進するあまり、提供用のお洒落なお皿を用意することを怠って、お客さんにコンビニの紙皿で提供してしまう、みたいな。
もっとヒドイ場合は、使い回しの汚い紙皿だったり……。
これじゃあいくらパスタが美味しくてもお客さんは楽しく食事ができません。
そして演劇の場合、このお皿が会場の環境だったり、前説、後説だったりするわけなんです。
(※パスタはもちろん作品の内容)
僕はいつも「面白い作品を作るぞ!」と意気込むのと同じくらい「作品をぶち壊さないために、会場の環境とかも最大限良いようにするぞ!」と張り切ります。
正直に言うとむしろこっちの方が張り切ります。それくらい大事だということです。
そして、この時に大事になってくるのが「なにをやるか」ではなく「なにをやらないか」なんですね。
お客様のためになにをやればいいかはその時その時によって変わってきますが、なにをやってはいけないのかはそこそこ普遍的だと思うんです。
そして、僕が今まで観てきた中で「ああ、これは絶対にやっちゃいけないんだなあ」と思った第一位がこれです。
『キャストがカーテンコールでダラダラと喋る』
良くありがちなのが、
・今日のできの感想
・公演に至るまでの過程の話
・キャストにしかわからない身内話
・自己紹介
といった所でしょうか。
別にやったっていいじゃんって思う人がいるかもしれません。
じゃあ果たしてこれらの一体なにが悪いのか。
答えはシンプル、
「ほとんどのお客様にとって、それはどうでもいい」
こういうのって、大概がキャストだけが楽しんでてお客様は別に楽しくもなんともないっていう世紀の大事故になりがちなんですよ。
こういう時の会場はもうこの世の地獄みたいな空気になります……。
なので、もしそういうのがやりたいのならそれはもうファン感謝祭でやってくれ。一般のお客様を巻き込まないで欲しい。
これはなにも演劇のカーテンコールだけに限った話じゃないと思うんです。全てのイベントに共通することだと思います。
イベント事の最後に必ず発生する「グダグダな集合写真」とかもそう。
集合写真を撮ること自体は良いんですけど、ダラダラとやらずにテキパキとやらないとお客様の熱がどんどん冷めていきます。
日本語には「終わり良ければ全てよし」っていう素敵な言葉がありますが、これは逆に「終わりダメなら全てダメ」っていうことです。
カーテンコールやイベントの最後は来てくれたお客様に感謝を伝える時間。トークショーでもなければ、自己満足に走る時間でもないということですね。
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