【妻が乳がんになりました】髪なくなる
「ねぇ、パパみて」
と妻がターバン(ホントは何か正しい名称があるんだろうが、俺にターバンという表現しか思いつかない。)を取る。
妻の髪は1/3は抜けており、地肌が見えている状態になっていた。
2.3日前、抜け始めたころは
「しょうがないわね。どうしようもないことだし、あんまり自分の髪好きじゃないから」
と気丈に振る舞っていた妻だが、今はちょっと泣きそうだ。
俺は何も言えず
「うん」
とだけ答えた。
洗濯物を洗濯機に突っ込み、カットパイナップルとブドウを4つの皿に分ける。
朝食用のフルーツの準備ができたので、ソファで新聞を広げる妻の隣に座る。
すると愛猫のマメが妻の膝に乗った。
「あんたは、髪がない私を好いてくれるのね」
と言う妻
「家族みんなママのこと髪がなくても好きだよ」
と俺はいった。
しかし慌てていったので、その声は滞り、妻に届いたのかどうか、わからない。
妻はマメをいつまでも撫で続ける。
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