あいみょん沖縄公演だけセトリが違う。【移民2世の映画 『マイ・エレメント』】
飛行機の中で、機内モニターを操作しながら、たまたま観た映画。しかし、始まって数分で「これは移民の話だ!」と思い、夢中になった。調べてみると、本作の監督自身も移民の子供だという衝撃!
本作の舞台となるエレメント・シティは、それぞれのエレメントが居住地を分けて共存しています。
日本では中々感じることはないが、アメリカでは日本人街やチャイナタウン、リトルマニラなど、同じ地域で暮らしや商売をしている景色があったことを思い出しました。
いちばん印象的だったのが、エンバーの両親がエレメント・シティに引っ越しをして家を探しているシーンです。エンバーの家族は火のエレメントであるという理由で、どこにいっても入居を断られました。
沖縄が米軍統治時代、日本に出るためにはパスポートが必要でした。本土復帰後も、当時は内地(県外)で家を借りようとしたら断られたという話をおじさんから聞いたことがあります。
僕のおじさんと同じ時代を生きていたのが、BEGIN(ビギン)です。
BEGINのデビュー曲は、ブルース『恋しくて』
今となってはBEGINといえば「島人(しまんちゅ)ぬ宝」ですが、BEGINはデビューしてから数年は今のような”沖縄ソング”を歌いませんでした。
デビュー前から振り返って、ボーカルの比嘉栄昇さんはインタビューにこう答えていました。
1980年代後半、高校卒業後に上京したBEGINのボーカル・比嘉栄昇さんは東京で日雇いのアルバイトをしていました。沖縄の本土復帰は1972年なので、この時代は沖縄がすでに日本になっている時代です。
しかし、栄昇さんは日雇い先で外国人の列に並ばされて、”外国人”と言われたりしたそうです。そんなネガティブな感情を抱えつつも、「沖縄の人も日本人である」ことを証明するため、当時同じく上京していた高校の同級生の等さん、優さんとバンド「BEGIN」を結成しました。
1989年、BEGINはオーディション番組に出演し、「恋しくて」を披露しました。とても綺麗な日本語で歌われたブルースです。そして、翌1990年に華々しくデビューを飾りました。
1990年代後半は、安室奈美恵やMAX、DA PUMP、SPEEDなど、県出身アーティストが華々しくデビューを飾ります。そして、2000年代に入ると、ORANGE RANGEやHY、MONGOL800など空前の沖縄ブームに突入します。
「うちなーんちゅも日本人」ということを証明することから始めたBEGINですが、時代の流れも感じながら、地元を思って歌ったのが「島人ぬ宝」です。
「島人ぬ宝」はBEGINがデビューして10年以上経った2002年に、23枚目のシングルとしてリリースされた曲です。
この歌はメンバーの故郷・石垣島で、当時の中学生たちから“島への思い”を聞き取り、作詞されたと言います。
私たちの世代は、時代の流れを感じることがなかったですが、こんな歴史があるんですね。今こそ「沖縄っていいよね!」「いつか沖縄に行ってみたい!」と県外の人が言ってくれますが、そんな沖縄にしてくれたのは島の先輩たちです。
ちなみに、私の好きなあいみょんのツアー「マジカル・バスルーム(2023)」は、沖縄公演だけセトリに「島人ぬ宝」が入っています。
あいみょんもルーツが沖縄にあり、この公演の1年前の沖縄ライブでは、三線を練習することを公言していました。(2年連続で沖縄であいみょんに会えて幸せでした。)
ちなみに、この記事のアイキャッチは、NHK"あいみょん18祭"のテーマソングとして書き下ろしされた楽曲「双葉」のMVロケ地となっている場所で撮った写真です。