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第3話 リーダーシップとは?

    リーダーシップという言葉は、新聞、テレビ、ラジオなど巷でもよく使われる用語なのですが、その定義は、どのようなものでしょうか。意外と人によってさまざまなものがあります。リーダーシップ研究においても研究者の数だけ定義があるといわれています。

    このような混乱が起こるのはなぜなのでしょうか、その理由のひとつには、リーダーシップをどのレベルで定義するのかの問題があると思います。例えば、インド独立の父と言われるマハトマ・ガンディー、や黒人の公民権を勝ち取ったマーティン・ルーサー・キング牧師などのように多くの民衆を巻き込み社会の変革を起こした偉大なリーダーのレベルでリーダーシップを定義するのと、会社の上司のレベルでのリーダーシップを定義するのとでは、差異が出て当然のように思います。 

   偉人がなしえたリーダーシップを思い浮かべると、自分からあまりにもかけ離れすぎているので、定義どころではなく、自分には無理となってしまい、思考停止におちいってしまいます。会社の上司のリーダーシップを定義する場合は、身近なものとなりますが、社長など多くの社員をかかえる経営トップの場合と、1人でも部下を持つ人の場合とでも異なると思います。

   では、偉大なリーダーのとるリーダーシップと1人でも部下を持つ人がとるリーダーシップについて共通していることはあるのでしょうか?あるとすれば何でしょうか?
   それは、リーダーについてくるフォロワーがいるということです。リーダーシップとは、リーダーと、ついてくるフォロワーがいて初めて成立する現象です。そして、フォロワーが喜んでついてくる度合が大きければ大きいほど、また、フォロワーの数も多ければ多いほど、そのリーダーがとる行動は影響力が大きいと言えます。

   このように考えると、リーダーシップとは影響力の問題であるということが言えます。つまり、リーダーが影響力を行使し、フォロワーがそれを受容して、フォロワーのものの考え方や行動、感情の変化が現れ、リーダーからの影響を受けた場合に、リーダーシップという現象が現れる。よって、フォロワーの受容なしにリーダーシップは成立しません。そして、フォロワーはリーダーに無条件についていくのではなく、フォロワーの追従は、リーダーと相互影響関係を続けながら形成されていきます。どういうことかというと、リーダーがフォロワーに影響力を行使しても、フォロワーが無条件にその影響力を受容するとは限りません。フォロワーがリーダーに対して一定の影響力を行使して、リーダーの言動を修正させたりすることもあります。よって、フォロワーからのリーダーへの影響力も考慮していく必要があります。つまり、相互影響関係を考慮するということです。

   では、フォロワーはリーダーの何を受容したり、しなかったりするのでしょうか。容姿ですか?確かにイケメンや美人のリーダーの方が一緒にいて楽しいかもしれませんが、いくらイケメンや美人であっても成果も出さず、ハチャメチャな言動をするリーダーは、眺めるにはいいけど、ついていくのにはちょっとと思うのではないかと思います。フォロワーはリーダーの容姿などではなく、リーダーの言動を見たり聞いたりして、その言動をフォロワーがどう意味づけるかによってリーダーを受容するか否かを決めるのです。

以上、まとめますと、リーダーシップとは
① ついてくるフォロワーがいて初めて成立する。
② リーダーとフォロワーとの相互影響関係としてとらえることが必要である。
③ フォロワーがリーダーを評価するのは、リーダーの言動である。
④ リーダーの言動をフォロワーが受け入れたときにリーダーシップが成立する。

   1人でも部下持ったらリーダーシップの問題が浮上してきますが、リーダーシップの定義について上記のような見解を持っておくことが、悩まず、行動がぶれることが少ないと思われますので紹介させていただきました。

(参考文献)
     今井芳昭『影響力 その効果と威力』光文社新書,2010年。
     金井壽宏『リーダーシップ入門』日経文庫,2005年。
     淵上克義『リーダーシップの社会心理学』ナカニシヤ出版,2002年。


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