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フィジカルに向き合えよ

 新しいチャリンコを買ったよ!

強くて速そうだろ

 前乗っていたチャリはホーマックで当時一万円を切っていたママチャリだった。自宅も大学もそれぞれ最寄りから遠かったのでチャリを二台持ちし、それぞれの間をチャリで移動していた。その時に用意したチャリを大学四年間に加え社会人八年目までまるまる使っていた。かごは歪み、ハンドルやボディは錆び、極め付けは走り出しにチェーンが空転するというオンボロ具合だった。ふつうに危ない。

 近所の友人に、ちょっとそこまで的な用事のときに貸してあげることも多かったが、件のチェーンのせいで彼は何度も転びかけ、借りた礼は言いつつも「捨てちまえよ」と仰せつかったほどだった。そりゃあそう。時代や身分によっては手を上げられているよ。

 そんな十二年選手の我がママチャリを卒業し、新しい自転車を買った。車輪は27インチでそこそこ大きく、走りやすそうなタイヤの太いモデルを選んだ。変速も付いている。前述の友人が買い物に付き合ってくれて、俺の軽に乗せるのも手伝ってくれた。(わざわざYouTubeで俺の車種を調べて、乗せ方のコツまで把握しておいてくれていた。)

 ちなみに、購入する時に店員から色々説明を受けその度元気に返事をしていたが、鍵紛失の際の流れが理解できていないのに返事をしていたら店員が何かを察して友人の方へ確認を取り始めた。友人にも後に「さっき分かってなかったでしょ。」と言われた。そんなにハテナマーク頭上に浮かんでいたかな。ちゃんとお金は払ったんだけど。支払い能力のあるアホです。

 家に持ち帰ると、早速友人と代わる代わる運転し、確かなハンドリングに感銘を受けたり、六段階という変速の多さに驚いたりした(分かっていなかったんかいという)。翌朝、駅の方に行きたかった友人に貸して、夜は俺が銭湯に行くのに使った。銭湯は家からそこまで離れておらず、よく車で行くところを選んだ(流石に初めてのところにチャリで行く勇気はなかった)。途中、車ならアンダーパスを抜けられるところをチャリで上を通過したところ、知らぬ間に大学の敷地内に迷い込んでしまった。

 そこの大学は総合大学だし獣医学部や農学部もあるためにやたら広く、女神が横たわったらそのまま島になりましたみたいな横に長い敷地をもっていた。そのため、わが町の10キロ以上を「通せんぼ」している。そこに大学があるのはもちろん分かっていたが敷地内に入っていくら進めど先が見えないため不安になっていった。アンダーパスしか通ったことがないため、体感時間が全然違ったのだ。

 そして、大学とは言え緑がかなり茂っており、森か山かといった様相だった。街灯も少なく道もうねり、向こう側は見通せない。たまに暗がりから夜間ランナーが飛び出てきて、避けるために右往左往した。まぁ、あちらも同じことを考えていただろう。また、チャリも何台も来る。夜だからそこまで人気は多くないと踏んでいたが、チャリの量までは考慮していなかった。たまに後ろからも来るため三六〇度警戒しながらの運転となった。

 まぁそこまで時間もかからず銭湯について、一っ風呂浴びてサッと帰った。帰りは小雨が降っていて、少し遠回りしたかったが真っ直ぐ帰ることにした。せめてもの楽しみとして行きとは違う、JR沿線を通ってみた。たぶん単純計算だと遠回りのルートだったけど、大学の方を通らなかった分走るのは楽で、速く着いたような気もした。

 車を持っているので、こうやって風呂とか行くときは大体車で行ってしまいがちだし、ドライブもしてしまう。夜通し走ってつい隣の市まで行ってしまうこともよくある。でも、チャリだとそうはいかないなぁと思った。常に自分の身体を動かしていないと前に進めないし、前後左右の安全確認を怠ったら危ないし、大袈裟だけど生きてるって感じがする。ドライブだと夜中なのも相まって色々悪いことや憂鬱なことも考えてしまうけれど、チャリンコ運転中は目の前のことに集中しないと命に関わるし、それに走り終わった後は中々爽快だ。メンタルザコ勢な俺だけど、身体を動かすことに目を向けるとそこには心地よい疲れとすっきりした頭があるということに気がついた。

 忙しいしなんか太ってきたし身体を動かす機会というのが最近はめっきり減ってきている。なぜか握力は増えてたけどね。メンタルだけじゃなくたまーにチャリ乗ってフィジカル面にも向き合うの良いかもね。北海道は冬が長い。乗れる内にたくさん乗っておこうか。

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