ハンドメイドってなんだ

「機械の大量生産で無く、人の手作業によって作られた物は価値がある」

いわゆる「ハンドメイド」という言葉そのものが随分とブランド化してしまって、店頭POPの「一点一点、手作業で作成されております」の文言を見て「おぉ!手作業の商品がこの値段で!!安い!」と購入をしている人が多いように思います。

今回はハンドメイドの意味勘違いしてません?について


ハンドメイドの拡大解釈①

例えばメーカー側は「ハンドメイド」の文言を入れるだけで売れる様になるので、なるべく全ての商品に「ハンドメイド」を付けたくなります。この時に

「そう言えばこの商品、どっかで手作業加わってなかった?」

「一応1個の工程で手作業入りますが…」

「お!じゃあこれハンドメイドで打ち出そう!」

てな事が起こったりする。するとまるで1工程で無く、全行程を手作業かの様に紹介します。想像ですよ?あくまで個人的な想像でソースはありません。


ハンドメイドの拡大解釈②

例えば「このテーブルの天板は、職人が手作業で切り出した無垢材を使用しています」って書いてあると、「お!ハンドメイドじゃん」て思いますか?流石にないと思いますが、ハンドメイドのワードが全盛の2010年代はこんな文言も目にした様な気がします。思わず「手作業とか言ってチェーンソー使ってんだろ!」と突っ込みたくなります。

こんな具合にハンドメイドを拡大解釈すれば大概誰でも使えちゃうわけです。

そしたら一体何がハンドメイドなんだ?!

まず境界線として、「機械使ってたらマシンメイドだろ!」は分かりますが、例えば「手縫い」と「ミシン」

手縫いは紛れも無いハンドメイドに分類されると思いますが、ミシン縫いはミシンが機械なのだからマシンメイドだろと思いきや、ミシンを操作する人によって出来栄えが変わるので、ハンドメイドに分類されるかもしれません。ここでいう本当のマシンメイドはミシン操作に人の手が加えられない機械で作った場合(そんなものがあるのかは知りませんが)。要は機械を使っても操作する「技術」が入るならばハンドメイドに括れるかと。

さてどこまでがハンドメイドでどこからがマシンメイドかが少しはっきりしました。では、そもそもなんでハンドメイドが良いのだろう?

「ちゃんとした物を選んでいるぞ!だから手作りのものを選ぶぞ!」というブランドに囚われている人は、実は物の価値を捉えていなかったりします。

品質を語る時、ハンドメイド=丁寧と言うのは必ずしも成立しません。手でやったところで、技術がなければ品質は低いです。ハンドメイドがいいのはその人の「技術」が乗っかっているからです。

したがって、「ちゃんとした服を選ぶぞ!」と意気込む場合は手縫いかどうかを見るのでは無く、縫いが綺麗かどうかを見るべきで、機械で作った方が質がいいなら、機械で作るべきです。

「ものを買う時にそこまで見れませんわ、いい縫製とか分かりませんわ」と言う人に「手作業で丁寧に作ってます」というコミュニケーションが産まれたのだろうけど、誰彼かまわず使っているうちに、そのコミュニケーションの信頼は無くなってしまった様に感じます。

選択の基準には、定量的なクオリティ以外に、定性的な部分に価値を見出すこともあります。「綺麗じゃ無くていいの、凸凹だけど手で造った事がわかる陶器に温もりを感じるの」という人は、クオリティを抜きにして手作りのものを選ぶ意味があると思います。詰まる所、全て好みの問題なので。

「ちゃんと物の価値がわかる様になりたい」と言う人は男性誌のbeginや、女性誌のlala beginに割と詳しく品質の解説があるかと。

&premiumは雑誌の見解よりも、「センスのいい人はこんなものを選ぶ」とか「こんな価値基準を持っている」などの第三者のレビューやエッセイなどが書いてあるので、考え方の参考になるかもしれません。

王様の仕立て屋という漫画はとても教養があります。いろんな情報を元に質のいいものがどんなものかが織り込まれていてオススメです。

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