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私たちが目指すのは家族じゃない

特別養護老人ホームについては、これまでから入居者・利用者の皆さんの過ごす場所としての介護施設のあり方や、入居者・利用者の皆さんに対する介護職員のスタンスが問われてきました

見学や実習生の皆さんとのやりとりの中で、よく話題に上がるのが、入居者・利用者の皆さんと家族のような温かい関係を築く…という考え方についてです

今回はこの点についてまとめてみました

私たちは、どこまでいっても家族にはなれない

まず何よりも、入居者・利用者の皆さんは、私たちが家族のように接することを望んでいるのでしょうか

そうしてあげるのがいい…、という介護の人たちの多くは、利用者が望んでいるから…、と根拠も無いのに言い切る人が多いように感じます

そもそも、そうして"あげる"とか言っちゃってるし…

上から目線なのに、家族みたいに…とか言うの?

利用者・入居者に対して、いつの間にか上から目線になってることに気がついていない…なんてこともあります

美里ヒルズが目指しているのは「住まい」

私たちが目指しているのは「住まい」として、普通の家と変わらない家庭的な生活環境であり、入居者の皆さんと家族のような関係を作ることではありません

もちろん、入居者にとっての「住まい」の形はそれぞれであったので、どう設えるのが正解なのかは、簡単に決まるものではないですよね

食卓やくつろぐ場としてのリビング、キッチン等の水回りの設えについていえば、ごく普通の家庭のそれと感じるかどうか

一方で居室は、個人の思い出や嗜好に合わせてカスタマイズできるし、ご家族の居場所も作りやすいですね

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私たちケア職の仕事は何だろう

特養に入居する皆さんは、高齢や障害(※)により身体が不自由になったり認知症が進行したりで、生活に不便を感じることが多い状態です

身体が不自由になっても、認知症でわからなくなっても、その人らしく生活ができるように支援するのが私たちの仕事です

ただ、私たちがいくら技術や知識を持っていても、ケアをしようとする相手から、受け入れてもらえなければ、何にもならないのです

できるだけ残存機能を使ってもらえるように支援する…って言っても、残った機能をフルに使って動作しようとしなければ、そうはならない

これは、ご本人の機能の問題ではなく意思の問題

自分のことを手伝ってくれる人として、私たちを受け入れてもらえるから成立するものです

これは、馴染みの関係に始まる信頼関係によるもの

誰でもできるものじゃ無いっていうのは、知識や技術があるかどうかって問題だけじゃ無く関係性がどうかってことも大きいのです

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ユニットケアは信頼関係を紡ぐケア

乱暴な言い方をすれば、一人ひとりの状態に合わせて支援するのが個別ケアで、そこからさらに信頼関係を紡いでいけるのがユニットケア

ユニットケアは個別ケアのための手段と言われてきましたが、ユニットケアの先に個別ケアがあるのではなく、個別ケアとユニットケアは分けて考えるべきだと思っています

話がそれてしまいました

ここで言いたいのは、家族のような関係性を、入居者・利用者の皆さんに対して、こちら側からそれを求めたり、押し付けたりしてはいけないということです

私たちが大切にしたいのは、入居者・利用者の皆さんが穏やかに安心して暮らしていける「住まい」としての生活環境と、ケアを必要とする人たちから寄せられる信頼関係なのです

そういう意味では、私たちスタッフも入居者・利用者にとっては、環境の一部だという見方もできるでしょう

そう捉えれば、私たちも含めた生活環境について、今一度見直してみるってことも必要ではないでしょうか

そして、このことには終わりはなく、今よりも少しでも良くなるようにと継続して取り組んでいきたいですね


最後まで、お付き合いありがとうございました

※障害という字については、害という漢字がよくないイメージであるため、平仮名で表記し「障がい」とするのが良いという考えもありますが、ここでは「健常者と同じように生活するにあたって社会に対して様々な障害を感じている人」という意味で、引き続き障害と表記しています


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