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レジデンス

透明度が上がっていく
心の透明度
歳を取るたびにまた
顔を合わせればほら

サウナでコポッっと汗をかく
そしたらポロッと心がこぼれる
そんなことを抱えていたなんて
ちっとも知らなかったな
洗い流せない事は増えていく一方で
垢が固まっていくようにも思うけど
いつかはきっと黒曜石だったり
果てはダイヤモンドだったりに
変わっていくに違いない

ジョッキでグビッと喉を打つ
グラスでゴクッと臓器を浸す
青いネイルが場を彩ると
レバーが美味いと舌鼓
そしたらポロッと心がこぼれる
そんなことがあったなんて
そんなこともあったなんて
そんなことに苛まれているなんて
ちっとも
ちっとも知らなかったな
大変だったよな
辛いよな
でもさ
今があって良かったなって
皆の顔が言っている
何かが変わるわけじゃない
けど
良くなったとしても
酷くなったとしても
僕らの関係が変わらなければ
どの方向を向いても
だいたいの事は正解だって言えるさ

そうそう
僕らは違う生活をしてたって
違う仕事をしてたって
違う苦しみを味わっていたって
一緒に住んだあの頃と
何ら変わりないのさ
二段ベッドの上と下
畳の上の横と横
壁に張り付いた机の背中と背中
その距離が少し
離れていっただけのことさ
顔を合わせればほら
僕らはずっと一緒に住んでいたんだって
ホッとして笑い合う

今のところサポートは考えていませんが、もしあった場合は、次の出版等、創作資金といったところでしょうか、、、