大人になってしまった僕と海
僕の最初の海は当時週6で通っていた水泳クラブのみんなで行った海だ。
兵庫県出身なので、たぶん瀬戸内海のどこかだとは思う。
記憶に残っている印象はとにかく、ゴーグル1つで走り出し、体力尽きるまで泳ぎまくった。その日は波が強くて、波乗りしようとして失敗し、そのゴーグルは結局、なくなったのだが。
そんな当時、よく思っていたことがあった。
海水浴場にはよくある、ここから先は行けませんよっていうネット。
当時の僕は全然へっちゃらで「どこまでも泳ぎたい!このネットの先を超えたい!」と本気で思えていた。
僕は冒険者なのだ。足が全くつかず、下も見えない暗い深い海なのに余裕だった。
そんな僕も大人になった。
先日、新潟に用事で行く機会があり、新潟でも綺麗で有名な笹川海水浴場に友人と行ってきた。
その日は平日だったこともあり、人も少なく、「ほぼプライベートビーチやん」と子どものように、はしゃいでいた僕。
やっぱり夏を体感したくて、たくさん泳ぎたいという気持ちは未だ健在の僕。
しかし、泳ぎ始めて違和感に気づいた。
「あれ、なんか怖いいいいいいいいい」
びっくりした。この綺麗な海にではない。あんなに楽しみにしていたのに、すぐに怖いという感情が出てきて、泳ぎ始めてすぐUターンしている自分に、だ。
なぜこんな恐怖が出てきたのか。
そう考えると、一つはほとんど人がいなかったという状況。二つ目は区切られたネットがなく、どこまでも泳いでいけるという状況。そして、三つ目が大人になってしまったから。
つまりは、この20年弱の人生経験からとんでもない想像力がついてしまったことが原因なのではないか。
たぶん、「ジョーズ」「MEG」この辺りの映画の記憶が引っ張り出されてしまった。
昔は、あのネットが自分を制限させる超えたい障壁であった。
今では、あのネットはどこか安心を思わせてくれるものになっていた。
それがないと、未知の生物やサメが来るんじゃないかという想像が止まらなくなっていた。
他の原因としては客観的に自分と状況を見る力がつきすぎて
「もし深いところまで行って足がつったら?誰にも気づかれず死ぬ?怖いいいいい!」
「自分は筋トレもしているし、強くなったつもりだけど、ここは海だぞ!勝てない。怖いいいいい!」
「今見えている状況で判断するな!死角から、その先から何かが襲ってきたらお前は対処できる力があるのか?怖いいいいいい!」
っと、そんな僕でしたが、結果、無事に楽しめました笑
知識を増やしていくのは好きだけど、子供の頃のように無駄なリスクを考えず、全力で楽しめるアクティビティが一つ減ったような気がして悲しくなりました。
しかし、もちろん大人だからこその海の楽しみ方も増えたし、、と慰めて次の海へ向かいます。次は淡路島かな。
はんだ