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敬語は上下でなく内外4

敬語は上下でなく内外、の続きを述べます。
第一回から、敬語の基礎基本にして最重要事項を必ず述べています。
敬語の基礎基本は内外。上下は二の次です。

我が党は総理も仰っている?

政界が不正解

前回の「社長が仰いました」と同様の単純ミスであるのが「我が党は総理も仰っている」です。

「我が党は総理も仰っているように」
「我々与党は総理の仰った何々を」

単純ミスであるので、誰か指摘するべきです。
自党の人間は内側。
もっと言うなら「我が党」なら「総理」でない。
同一人物であろうと「党」は「総裁」です。
「我が党は総裁が申しておりますように」が敬語として正しいのです。(※総理が総裁の場合。)

誰も指摘しない、誰も指摘できないというのは、集団として、不健全です。
党内であれ、派内であれ、刺激だとか成長だとか言う割に、敬語が滅茶苦茶なのは、誰も指摘していないことを示してしまうのです。
言論の府で、言論で戦うなら、言論に対し敏感であるべきはずです。
政策だけしか高め合ってはならない、などという規約も理屈も無いはずです。

抜群に敬語が正しかった国会議員は

こういう単純ミスは与党に限りません。
確かに与党は敬語のミスが多いように見受けられますが、党を問わず見受けられるものです。

ただ、少なくとも、私の記憶の限りにおいては、国会議員の敬語が滅茶苦茶になってきたと感じるのは、直近十年程の間です。

抜群に敬語が正しかった、と私が思いますのは、藤井裕久さん(元財務相)です。

「我が党は幹事長の小沢が申しますように」
「我が党幹事長の小沢が申しておりますのは」

完璧ですね。
幹事長は上側だけど内側だから謙譲語とする。
基礎基本の徹底された敬語です。

何故正しくなくなったか

では、何故正しくなくなってしまったのか。
藤井裕久さんが引退したから、ではありません。

敬語を上下で捉える人間が増えてしまったから。
敬語の基礎基本たる内外ではなく、上下で用いる人間が増えてしまったから。
これが原因です。

永田町に増えたのは勿論ですが、永田町以外でも増えてしまった。
政官財全てそうです。
ハラスメントの記者会見を見れば一目瞭然です。

パワハラ不祥事の記者会見を外側に向けて発するのに、内側の上側に対する敬語を欠かさない。
敬語として単純ミスであるにもかかわらず。
敬語だ、礼儀だ、というパワハラをする組織が、どれだけ腐り果てているか、敬語でわかります。

最重要事項は内外である

だからこそ私は敢えて申し上げたい。
政官財に不祥事の相次ぐ今こそ申し上げたい。

敬語の基礎基本にして最重要事項は内外です。
上下は二の次です。

読者の皆様、自組織に持ち帰ってみてください。
それで屁理屈や正当化を言う人間を発見したら、人災です。
組織としては禍根を抱えています。
硬直化や腐敗化の渦中であるかもしれません。

謙譲語には勇気が要るんです。
内側かつ下側に使って賢しらぶるためのものでは絶対にありません。
内側かつ上側にこそ勇気をもって用いましょう。
それで屁理屈が出てくるなら、組織の一員として喋らせないというパワハラなんです。
屁理屈、正当化、硬直化、腐敗化、全て悪です。

勇気や自信、正義感や使命感をもって、基礎基本かつ最重要事項に立ち戻りましょう。

何度でも言います。内外であると。

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