「新・ていねいな暮らし」とSDGsを視聴して

「人新世」の齋藤幸平氏のTwitterでのリツイートで知った番組。ハフポストのYouTubeチャンネル「ハフライブ」の一回目の放送らしい。

テーマがいくつか提示され、それに沿って進むのかと思っていたが、初めのテーマと最後のテーマ以外は、初回のせいなのか幾分流動的に進んで行った。

まず最初のテーマは「環境問題は炎上しやすい?」だ。ゲストの一人は先日

「この商品は環境に配慮していますか」と一言聞くだけで、お店の人は「あ、そうか、お客様は環境に配慮したものを求めているんだ」という意識につながると思います。

という発言をして炎上したトラウデン直美さんの問題から。彼女自身はこれを炎上とは思っていない。問題提起と議論のきっかけ作りが出来たと言われている。彼女自身の言葉で

「1人の100歩をより、100人の1歩」

という言葉が印象的だった。

しかし第三者はこれを炎上と見た。そこには日本での環境問題はタブーというイメージ的な概念と情報量の少なさがあげられていた。

「あなたにとって気候変動問題はどのようなものですか?」と日本と世界(World Wide Views on Climate and Energy 世界市民会議「気候変動とエネルギー」の参加国76の国と地域が参加 96ヶ所)と比較した場合、

気候変動が生活の質を脅かすと思うのが、日本で60%、世界は17%。生活の質を高めると思うのは、日本で26.75%、世界は66.24%だった。

これだけ日本の環境問題に対する負担感が大きい。この要因の一つは圧倒的な情報量の少なさがある。だから曖昧なイメージで悲観的に捉えてしまうのだろう。

それは個人だけの問題ではなく、企業側もそうなのではないか。企業が環境問題に対して二の足踏んでしまうのは、個人とは違う要因として、現状の生産工程等やサプライチェーンの複雑さで、環境問題と現状がアンビバレントになっていまうことへの危惧があり、なかなかファーストペンギンになれないのではということだった。

企業も個人も完璧を求めず、やれることからやっていけばいいのではないか。そのためには企業と個人が相互補完し、消費者が企業へ提言し、企業はそれを商品や社員教育へと反映する。更に言えば、企業に環境問題への取り組みを促進する方法として、財務諸表にないような部分で評価する(上場の条件など)仕組みを作ったらどうかという意見もあった。

企業と環境問題を取り上げる時に、その代表的な業種として、アパレルが挙げられる。

年間に廃棄される服はなんと
10億枚(推計)あるらしい。

環境破壊に占めるファッションの割合として、

世界の排水の20%
世界の炭素排出量の10%
洗濯で流出するマイクロファイバーは年間50万トンだ。

それと服作りの裏で強制労働させられている、奴隷労働のリスクがある製品(上位5品目)の輸入額で、日本はアメリカに次ぐ2位となっている。

そんなアパレル業界の環境破壊を世界的に認知させた事故があった。

 2013年4月24日、バングラデシュで複数の縫製工場が入ったビルが崩落し、死者1138人、負傷者2500人以上を出す大惨事が起きた、「ラナ・プラザ(RANA PLAZA)の悲劇」だ。

この建物は法律上は5階までしか建てられないが、3階も違法増築されていたもので、そこに縫製に使うミシンが大き荷重となっていた。

一階はIT系の銀行が入っていたが、ピルに入っていた亀裂の異様さに休業を取っていた。しかし縫製工場は納期のプレッシャーから休業することが出来なかった事も、被害を甚大はものにしてしまった。

それらの事から教訓を得たアパレル業界は少しづつ変化しているようだ。例えば、環境に配慮している「H&M」やコレクションを減らしている「アルマーニ」や「クロエ」など、ハイエンドなブランドは積極的になっているらしい。

それでは私達個人はどうすればいいのか。そうなるとやはり齋藤幸平氏の「人新世」での資本主義に対する姿勢とリンクしてくる。

当番組でも言及されていた「消費サイクルを落とす」こともそうであるように、人間の限りのない欲望をつき動かし続ける、資本主義という構造の歯車である需要と供給を、流されるままに回し続けるのではなく、供給側で出来なければ、せめて需要側である私たち消費者が、その歯車の回転速度を、出来れば止めたいところだが、まずは緩めるべきではないだろうか。

それに関するトラウデン直美さんの提言として

〇マイバッグ、マイボトルの次はマイカトラリー
〇何かを買う前に、一度は自分と相談「これは本当に必要?」
〇お店の人にAsk!「この商品は環境に配慮している?」
〇誰かと一緒に3〇〇チャレンジ
〇周りの人と環境について話してみよう

その他の出演者、arca CEO 辻愛 紗子さんからは「連帯」と「納得」

鎌倉サステナビリティ研究所 代表理事、青沼 愛さんからは「好きだから 知りたい」

国立環境研究所 地球環境研究センター 副センター長、江守 正多さんは、
「良いもの長く使う」が提言されていた。

江守さんは、これも齋藤幸平氏の「人新世」と関わるのだが、「3.5%の綱引き」(動画あり)というものを提言されている。「人新世」においては

ハーヴァード大学の政治学者エリカ・チェノウェスらの研究によると、「三・五%」の人々が非暴力的な方法で、本気で立ち上がると、社会が大きく変わるというのである。

と紹介されていたが、江守氏はそれを綱引きに置き換えて説明している。

個人それぞれがこの3.5%になるべき時なのだろう。

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