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思い込み【エッセイ】一二〇〇字

 数年前。同い年の荒木さんから肺炎を患い入院した、と連絡があった。仕事やゴルフで付き合いがあり、6年前、私と同じく65歳を過ぎたところで会社を整理し、東京から熱海に移住した。ところが、購入した中古マンションの備付エアコンをそのまま使っていたようで、カビが原因らしい。
 エアコンに住みつく雑菌の代表格が、レジオネラ菌。知らないうちに繁殖していくようだ。体力が低下しているときや、高齢者などが菌に犯されると、発熱・肺炎を招くことがあるほか、死に至るケースも。フィルターを洗うだけでは取れない。なので、2年に1度は、エアコン掃除を依頼することにしている。
 「レジオネラ菌」、いま話題になっている。福岡・筑紫野市の昭和天皇も宿泊した由緒ある老舗旅館で、基準値の最大3700倍の菌が検出され騒動になった。大浴場のお湯を年に2回しか換えていなかったらしい。この旅館からは被害者は報告されていないが、過去に他県の温泉宿泊施設で利用者が感染し死亡した事故があったようだが、謝罪会見で社長は、「自分の所では大丈夫と思った」と平然と語った。無責任そのもので、施設は1か月の営業停止となり、運営会社の社長は辞任した。
 この雑菌は、大浴場だけではないらしい。家庭の風呂でも警戒しなければならないと、メディアが報じる。
 わが家の水の交換は、3日に1回(震災対策として、湯船に絶えず水を満たしている)。清掃は、週に1回。独居なのと、全身を洗ってから湯船につかっているし、追い焚き配管自動洗浄付きの最新給湯器であるからと、高を括っている。が、浴槽のお湯を抜きシャワーをさっとかけるだけで、一見、キレイになっているようだが、細菌が1/3は残っているらしい。なので、年に2回ではあるが、誕生日と半年後に洗浄剤を使って配管掃除を行っている。
 しかし、ウエルシアのCMの“薬剤師みならい”くんが言う「バッチリ!」よろしく完璧と思っていたのだが、最近、こんなことがあった。
 寒い日の朝。浴室を温めるために、シャワーを浴槽に向けて10分くらい流しぱなしにした。すると、浴槽の底に2~5mmくらいの黒いカスのようなものが100個以上、沈殿しているではないか。びっくりして、ネットで調べてみると、これが「レジオネラ菌」かもしれないのだ。体が凍り付いた。これまで、シャワーを浴びるたびに、雑菌を浴びていたかもしれないのだ。「バッチリ!」どころか、「自分の所は大丈夫」と同じではないか。幸い健康への悪影響は、いまのところないようだが、シャワーヘッドやホースをバッチリ清掃するか、交換時かもしれない。自宅では対策を講じていても、ゴルフ場の浴場とかのシャワーは清掃されているのだろうか、かなり不安を感じる。
 冒頭の荒木さんはしばらく体調に異変があったようだが、回復したようだ。先日、メールがあった。体調のことではなく、「エイジシュート」を達成したと。おいおい、心配させやがって、自慢かよ。

※「エイジシュート」:ゴルフのスコアで、自分の年齢以下でまわること。普通は、上手なひとでもスコア80から90なので、72以下で回るのは極めて難しい記録になる。

(後記)

シャワー放水初日

撮影を忘れたため、目撃した状況を描いてみました

シャワー放水二日目

10分の1に減り、三日目には(目視では)確認できませんでした。


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