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この人【エッセイ】

 「永久」のヒーロー。彼が「崩御」してしまったときには、国葬にすべき、とさえ思う。長嶋茂雄。背番号「3」。
 デビューの年は、小学一年だが、夢中になったのは、家にテレビが入った三年のとき。北海道なので、画面からだけの声援。「ここで一発、打ってくれ! 」と願っていると、必ず打ってくれたのが、長嶋さんだった。
 父親が野球をやっていたこともあり、まもなくチームに加わる。もちろん、背番号は、「3」(マジック書きだが)。必ず取り合いになるが、威勢のいいヤツが、手にしていた。
 十数年前。外苑西通りの新宿御苑近くの信号で、停車していた。魚屋のトラックが、横に。同世代の五十がらみの男が、かん高い声でまくし立てた。「あんた、長嶋のファンだろ。オレもだ。普段の車は、オレも、サンさ。カニ持っていくか、カニ」と。さすがに、丁重にお断りし、手を振って別れる。
 私のナンバーを見て、声をかけてきた、のだった。希望番号申込サービスが始まった直後だったので、「3」がとれた。しかし、今は、「33」。「3」が取れなかったので、監督時代の背番号にする。長嶋ファンが多い。さすがに威勢だけでは、取れっこない。
 因みに「わが巨人軍は~ 」の日は、大学四年。後楽園から程近い四畳半の部屋で、十インチの画面を前に、一人、大泣きしていた。

※画像は、グーグルサイトから借用しました

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